家庭という四角いリング
セコンドについてる母親はハラハラして見ているのだが、
実は見ている人がいる限りどちらかが倒れるまで闘いは続く
なすべきことは、セコンドを降りて四角い舞台から去ること
されば、子はバカバカしくなってリングから降りる
リングの上に取り残されるのは、
その上でしか生きることができない父親だけ
だから、本当は
子供は母親にセコンドを降りて(離婚して)ほしいのだ
しかし、観客がそれを許さない。
自分の親、相手の親、親族、近所や地域の目、世間体……
それらの観客たちが「そこにいろ」と押しつけてくる
その観客を裏切る勇気を持てずに
母親はセコンドを降りることができない
実は、観客の目を意識しているのは母親
自分が見られている状態を手放したくないのかもしれない
そして、
母親から愛されたい子どもは
何ラウンドも何ラウンドも、無益な闘いを続けることになる
が…そのうち、
疲れ果ててノックダウンする(鬱や引きこもりになる)か、
無益な闘いに嫌気がさして自分もしくは相手を刺して終了させるか、
セコンドや観客に殴り込みをかけて脱出するか…
「人目を気にして生きることに疲れた」
―そうつぶやいて、家族全員を殺そうとした子どももいたね…
セコンドは観客に気を取られずに
ただ目の前の子どもに注意を集中して見守り、
異変があればすぐにタオルを投げ入れる勇気を持たなければならない
そして、
闘い続けてきたわが子を抱き留め
ただ静かにリングを去ろう
ただ、
あなたのために
ボロボロになって
闘い続けてきたのだから……