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JR福知山線脱線事故の深層 の記事一覧

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JR福知山線脱線事故の深層-第2部 信楽高原鉄道事故の教訓 (4)イネイブラーとなった裁判所

2007/07/22(Sun) Category : JR福知山線脱線事故の深層
■4,イネイブラーとなった裁判所

イネイブラー(enabler)とは「悪しき状態を維持し支える人・状況」のことを言います。

この事故で、高原鉄道側の運行管理者ら2名と信号設備会社の技師1名が有罪となりましたが、JR西日本は直接的な責任関係が立証されなかったため不起訴処分となっています(刑事責任)。もし、司法が本質を見据えた裁きを行っていれば、福知山線の大惨事を防ぐことができたでしょう。

このとき、裁判所はJR西日本のイネイブラー(悪しき状態を維持し支える人)となったのです。

先に、軌道カイアクをノーチェックで許可した役所がJR西日本のイネイブラーとなったことを書きましたが、機能すべき公的機関が機能を果たさない場合、それは、心理学的に言えば、やっていいよ、逸脱していいよという「許可」を与えたことになるのです。
JR西日本には、裁判所と役所という公的機関が2つもイネイブラーとして支持に回りました。

 
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JR福知山線脱線事故の深層-第3部 服部運転士の自殺が教えている企業ポリシー (2)「安全第一」か「定刻厳守」か

2007/07/23(Mon) Category : JR福知山線脱線事故の深層
■1,「定刻厳守」に隠されたねらい

さて、民営化されて競争に勝つためにスピードアップを図りたいJR西。
しかし、「安全」より「スピード」を取れとは口が裂けても言えません。それを公然ということは倫理に反することであり、社会的な信用を失うからです。表向きは信用を失わないよう、しかし実質は極限までスピードアップしなければならない-この相反することを、どのようなカラクリで切り抜けたのでしょうか。
そのカラクリが「定刻厳守」というスローガンでした。

先ず、スピードアップとは言わずに「定刻厳守」と言います。
「定刻を守ることがお客さんの信頼を勝ち得ることである」そう言われればすんなり入ってくるし、反論の余地はありません。
しかる後に、その定刻と定刻の間-つまり「時間」を縮めていけばよいのです。これで実質のスピードアップを図ることができ、かつ、言うことは一つでよいのです。
「定刻を守れ」と。

こうして、運転士は定刻を守るために、区間のスピードを上げざるを得なくなっていきます。


(なお、このようなやり方はどのような組織でもやりがちなことです。それがどのような結果を生むことにつながるのか、その怖さを知ってほしいと切に思います)



 
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JR福知山線脱線事故の深層-第3部 服部運転士の自殺が教えている企業ポリシー (3)絶対禁忌となった「遅刻」

2007/07/23(Mon) Category : JR福知山線脱線事故の深層
服部運転士の自殺事件は2つのことを示しています。

1つ目は、JR西の絶対価値は「定刻運行」=言い換えれば、絶対禁忌(タブー)は「遅刻」
2つ目は、日勤教育の本質です。

タブーとは、絶対に犯してはならないもののことです。
“絶対に”ということは理由の如何を問わないと言うことです。つまり、遅刻は理由を問わず無条件に“悪”なのです。それが「安全点検」という乗客を守るための行為であってもです。

そのタブーを犯した者は、徹底して懲罰します。
いかなる理由があっても犯してはならない絶対禁忌であることを身にしみさせ、同時に、さらし者にすることによって、それが何人も犯すべからざるタブーであることを組織の者全員に知らしめるためです。



 
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JR福知山線脱線事故の深層-第4部 「日勤教育」に見る洗脳の仕方 (1)「日勤教育」の現場

2007/07/24(Tue) Category : JR福知山線脱線事故の深層
服部運転士がどのように追い詰められていったのか見てみましょう。


■1,「日勤教育」の現場

さて、すべからく洗脳とは理屈を用いません。
理屈では納得しないからです。
では、どうするか。
最も効果があるのは、プライドをズタズタに引き裂くことです。
では、どのようにそれをしたのか。「日勤教育」の現場を見てみましょう。

マスコミで伝えられた「日勤教育」の現場は次のようなものです。
運転士は、管理者7,8名がいる「部屋」に出社しなければなりません。机は、その真ん中です。

 
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JR福知山線脱線事故の深層-第4部 「日勤教育」に見る洗脳の仕方 (2)「精神の背骨」の折り方

2007/07/24(Tue) Category : JR福知山線脱線事故の深層
■2,「精神の背骨」の折り方

この「日勤教育」には期限がありませんでした。
あるはずがありません。
徹底して服従をたたき込むことが目的だからです。

期限があれば我慢もできるでしょう。
期限がないからこそ怖いのです。
自分が節を曲げない限り、そこには無間地獄が待っています。

ここで、運転士は自分の良心との闘いに直面させられることになります。
「安全」をとるのか、「効率」をとるのか。

脳裏には、自分が責任を持って運んでいる乗客の顔が浮かぶことでしょう。乗客を裏切ることはできません。しかし、裏切らなければ自分が精神的に潰されてしまいます。
何という非人間的な、凄まじい葛藤でしょうか。

 
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JR福知山線脱線事故の深層-第4部 「日勤教育」に見る洗脳の仕方 (3)安全否定のための「自己否定」

2007/07/26(Thu) Category : JR福知山線脱線事故の深層
■3,安全否定のための「自己否定」

洗脳の怖さをもう少し知ってください。
洗脳とは、人をまるで違う思想・人格を持った人間に作り替えることです。
(支配すると優越感に浸れる人がいるとすれば、支配することの本当の怖さと不自由さを知らない人です。自分が自由でいたい人は人を支配しません)

では、洗脳するために最初にすることは何でしょうか。
そう、「破壊」です。

破壊して更地にし、その上に新たな構造物を打ち立てるのです。留意すべき事は、破壊するときに選択的に破壊はできないと言うことです。


 
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JR福知山線脱線事故の深層-第4部 「日勤教育」に見る洗脳の仕方 (4)スケープゴートと脳への刻印

2007/08/24(Fri) Category : JR福知山線脱線事故の深層
【え~、随分前の続きです…目次はこちら

テレビで見て驚きました。一般の人が見ている只中で自己否定させられていました。
タブーに抵触した運転士をホームに立たせ、入ってくる電車、入ってくる電車に対して、自分は時間を守れなかったダメな人間であり、そのためここにこうして立たされている、というようなことを大声で言わせていたのです。

人を雑巾としか思っていないかのような、ひどい言葉を浴びせていました。完全に「人権侵害」と言えるでしょう。私がその場で聞いていたとしたら、とても嫌な気分になったので言ったでしょう。

 
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JR福知山線脱線事故の深層-第4部 「日勤教育」に見る洗脳の仕方 (5)行動の自由を奪う「禁止令」

2007/08/26(Sun) Category : JR福知山線脱線事故の深層
禁止令の怖さは、一つの強烈な禁止令を発することで、「上司の命令には逆らえない」という意識を植え付けてしまうことにあります。

例を挙げましょう。
家族カウンセリングで「何もできない子ども」によく出逢います。
http://nakaosodansitu.blog21.fc2.com/blog-entry-505.html

たとえば子どもが風呂から上がってきたときに、「風邪を引くから早く拭いて着替えなさい」と言ったとしましょう。しかし、もたもたしているので待ちきれず、結局母親が体を拭いて着替えさせてしまいました。

この言われていることと、されていることの矛盾の中で、子どもは一体何を学ぶでしょうか。

 
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JR福知山線脱線事故の深層-第4部 「日勤教育」に見る洗脳の仕方 (6)イネイブラーとなった裁判所Part2

2007/08/27(Mon) Category : JR福知山線脱線事故の深層
第2部-4で出てきましたが、イネイブラー(enabler)とは「悪しき状態を維持し支える人・状況」のことを言います。

裁判長は日勤教育を「不愉快で精神的苦痛を伴うもので、2度と受けたくないと思う運転士も少なくなかったと認められる」と結論付けましたが、結局「3日間の日勤教育が原因で自殺することは予見不可能」として原告の請求を退けました(大阪地裁)。

その結果、JR西副社長の丸尾和明氏は「大阪高裁の判決で、日勤教育は有用と認められた」と主張しています。
http://www.kobe-np.co.jp/rensai/200704kigyou/03.html

この判決は、信楽高原鉄道事故の判決と同じく、JR西にとってはイネイブラーとなってしまったのです。この時、「日勤教育」の本質を裁判長が深く洞察していれば、福知山線の大事故は防げたかもしれません。



 
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JR福知山線脱線事故の深層-第5部-「日勤教育」に内在するダブルバインドの構造 (1)完成された支配のメカニズム

2007/08/30(Thu) Category : JR福知山線脱線事故の深層
■1,完成された支配のメカニズム

さて、人を服従させる心理メカニズムをダブルバインド理論で見てみましょう。

先ず、「自己反省文を書け」と命じられます。
自殺した服部運転士のように、書くことがなくても強制されます。これが、「指示に従わないことを禁ずる命令」(第一次禁止令)です。

そこで、運転士が出発が遅れた事情を説明しようとしました(安全点検のためです)。すると、『そんなことを言っても、お前はミスをした』(新聞より)と言われて異議申し立てを封じられます。これが「異議申し立てを禁ずる命令」(第二次禁止令)です。

このように「指示に従わないことを禁ずる命令」(第一次禁止令)と、その命令に対する「異議申し立てを禁ずる命令」(第二次禁止令)を出して二重に拘束(ダブルバインド)し、こちらの命令どおりに文句を言わせず行動させる手法をダブルバインドと言います。


 
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