人はどのように育つのか
2008/03/29(Sat) Category : 家族心理・子育て講座
【第1回拡大ワークライフバランス研究会講演録-2】
*人が、どのように自己認識し、自己形成し、心理的成長を遂げていくのか、その心の成長と発達について時系列的に説明します。
■「内向」と「外向」の形成
生後3ヶ月しかたっていないのに、大きく明暗を分けた赤ちゃんの例を体験しています。
Aちゃんはニコニコと看護師とも愛着関係(アタッチメント)ができていましたが、Bちゃんはこちらが構おうとしても目を合わせようともせず、身じろぎもしない-とても不自然に硬直していました。不思議に思って看護士に訊くと母親が粗相をしても叩くというのです。
生まれてこの世がどういうところかわかっていないBちゃんがわかることは、自分の生理現象でも叩かれるということです。つまり、自分はこの世に受け入れられていないんだ、ありのままの自分ではだめと感じ、自分を出さないことにエネルギーを使うようになります。自分を抑え込むためにエネルギーを使っていた姿が、あの硬直した姿だったのです。
一方のAちゃんは、いつも笑顔で迎え入れられていますから、そのことで存在は認められています。ですから自分の有り様を気にすることもなく思いのままに好奇心を外に向けて発散しているのです。
つまり、ユングのいう「内向」「外向」という指向性の違いが生後直後の環境から形成されるということです。
■「自己概念」の形成
さて、Bちゃんは反応しませんから人が寄っていきません。すると長じるにつれて「自分は無感動無表情で人から嫌われる」という自己イメージを作っていきます。それは本当の自分ではなく、自己防衛から生まれた「性格の鎧」(ライヒ)なのですが、あたかもそれが生まれながらの自分だと思ってしまうのです。このように自分で作る自己イメージのことを「自己概念」と言います。
■「禁止令」による自己概念の強化
親の方も生後3ヶ月の間に子供にしたことなど覚えていませんので、「この子は生まれつき引っ込み思案で気むずかしい」などと思ってしまいます。
そこを変えようと親が「あれやれ、これやれ」と発破をかけるとします。すると、それは「楽しむな」という禁止令として子供に伝わります。
また、「お前がもっと積極的ならいいのにねぇ」というのは、「お前自身であるな」という禁止令です。
いずれにせよ、親はあるがままの子供を否定しているわけで、子供は、自分の持つマイナスの自己概念を親によってますます強化されていくわけです。
■「人生脚本」の形成
こうして、10歳前後のとき、「自分はこういう人間だから、このように生きていくんだ」という自分の人生のシナリオを無意識に作っていきます。
■「背骨」の形成
次に、そのシナリオに沿って歩き始める上で背骨が必要になります。
昆虫を見るとわかりますが、芋虫の時に背骨がないのに、蝶になると背骨があって飛び立っていけますね。
どこで作るか?
そう、サナギの時ですね。
しかし、この時に人の手が加わると必ず奇形になります。
ですから、外部から介入されないようにサナギは繭の中に引きこもるのです。
■中学生はサナギの時期
丁度、このサナギに当たる時期が中学です。
このサナギの時期に人が手を出すと昆虫は奇形になりますよね。触ってはいけないときなのです。
しかし、昆虫でも異様な形をするときですが、人間でも最も変化が激しくて訳がわかんないとき(思春期)であり、つい親があれこれと介入するから、きちんとした背骨ができず奇形になってしまうのです。そして、生きづらさを抱えていくことになります。
■子は親の背中を見て育つ(モデリング)
この時に親がなすべき事は、ただ自分がこの社会に立っている姿を見せるだけです。人はモデルを見て成長していきます。親は子供のための背骨モデルになっていればよいのです。
「子は親の背中を見て育つ」の通り、子供に見られて恥じない姿で立っていればいいのです。
■誰でも、生き直すことができる
さて、Bちゃんは生き直しができないかというと、できます。
自分の「人生脚本」に気づくこと。
そこから、本当の自分の人生が始まるのです。
【ご参考】
★子育て心理学
●「自己概念」
リアリティとは(2)-「レッテル貼り」が不幸を呼ぶ
●自己概念の強化
押しつけのパラドックス(3)―親の望みと正反対の子供が育つわけ
●人生脚本
人間は環境の動物である
●背骨の形成
中学生はサナギの時期
●モデリング
モラハラの構造(4):なぜ、結婚すると突然モラ夫になるのか?
団塊ジュニアに聞いた(1)~モデルの喪失
*人が、どのように自己認識し、自己形成し、心理的成長を遂げていくのか、その心の成長と発達について時系列的に説明します。
■「内向」と「外向」の形成
生後3ヶ月しかたっていないのに、大きく明暗を分けた赤ちゃんの例を体験しています。
Aちゃんはニコニコと看護師とも愛着関係(アタッチメント)ができていましたが、Bちゃんはこちらが構おうとしても目を合わせようともせず、身じろぎもしない-とても不自然に硬直していました。不思議に思って看護士に訊くと母親が粗相をしても叩くというのです。
生まれてこの世がどういうところかわかっていないBちゃんがわかることは、自分の生理現象でも叩かれるということです。つまり、自分はこの世に受け入れられていないんだ、ありのままの自分ではだめと感じ、自分を出さないことにエネルギーを使うようになります。自分を抑え込むためにエネルギーを使っていた姿が、あの硬直した姿だったのです。
一方のAちゃんは、いつも笑顔で迎え入れられていますから、そのことで存在は認められています。ですから自分の有り様を気にすることもなく思いのままに好奇心を外に向けて発散しているのです。
つまり、ユングのいう「内向」「外向」という指向性の違いが生後直後の環境から形成されるということです。
■「自己概念」の形成
さて、Bちゃんは反応しませんから人が寄っていきません。すると長じるにつれて「自分は無感動無表情で人から嫌われる」という自己イメージを作っていきます。それは本当の自分ではなく、自己防衛から生まれた「性格の鎧」(ライヒ)なのですが、あたかもそれが生まれながらの自分だと思ってしまうのです。このように自分で作る自己イメージのことを「自己概念」と言います。
■「禁止令」による自己概念の強化
親の方も生後3ヶ月の間に子供にしたことなど覚えていませんので、「この子は生まれつき引っ込み思案で気むずかしい」などと思ってしまいます。
そこを変えようと親が「あれやれ、これやれ」と発破をかけるとします。すると、それは「楽しむな」という禁止令として子供に伝わります。
また、「お前がもっと積極的ならいいのにねぇ」というのは、「お前自身であるな」という禁止令です。
いずれにせよ、親はあるがままの子供を否定しているわけで、子供は、自分の持つマイナスの自己概念を親によってますます強化されていくわけです。
■「人生脚本」の形成
こうして、10歳前後のとき、「自分はこういう人間だから、このように生きていくんだ」という自分の人生のシナリオを無意識に作っていきます。
■「背骨」の形成
次に、そのシナリオに沿って歩き始める上で背骨が必要になります。
昆虫を見るとわかりますが、芋虫の時に背骨がないのに、蝶になると背骨があって飛び立っていけますね。
どこで作るか?
そう、サナギの時ですね。
しかし、この時に人の手が加わると必ず奇形になります。
ですから、外部から介入されないようにサナギは繭の中に引きこもるのです。
■中学生はサナギの時期
丁度、このサナギに当たる時期が中学です。
このサナギの時期に人が手を出すと昆虫は奇形になりますよね。触ってはいけないときなのです。
しかし、昆虫でも異様な形をするときですが、人間でも最も変化が激しくて訳がわかんないとき(思春期)であり、つい親があれこれと介入するから、きちんとした背骨ができず奇形になってしまうのです。そして、生きづらさを抱えていくことになります。
■子は親の背中を見て育つ(モデリング)
この時に親がなすべき事は、ただ自分がこの社会に立っている姿を見せるだけです。人はモデルを見て成長していきます。親は子供のための背骨モデルになっていればよいのです。
「子は親の背中を見て育つ」の通り、子供に見られて恥じない姿で立っていればいいのです。
■誰でも、生き直すことができる
さて、Bちゃんは生き直しができないかというと、できます。
自分の「人生脚本」に気づくこと。
そこから、本当の自分の人生が始まるのです。
【ご参考】
★子育て心理学
●「自己概念」
リアリティとは(2)-「レッテル貼り」が不幸を呼ぶ
●自己概念の強化
押しつけのパラドックス(3)―親の望みと正反対の子供が育つわけ
●人生脚本
人間は環境の動物である
●背骨の形成
中学生はサナギの時期
●モデリング
モラハラの構造(4):なぜ、結婚すると突然モラ夫になるのか?
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