「滅私奉公」という意識のインフラ整備
●「滅私奉公」という意識のインフラ整備-------------------------
「うん。しかし、これから自由平等の社会が来ると『御一新』に期待した民衆は幻滅した。さらに世界恐慌が起こって雇い主と大地主の横暴がひどくなって小作争議が激発するようになる。そこに愛国心がうすければ戦争の役にたたないと危機感を募らせた軍部が登場する」
「軍部がなにかやったんですか」
「いろいろとね。『人事破壊―新しい日本よ、こんにちは (PHP文庫)』という本に分かりやすく紹介されている。たとえば隣組なんかも国民の役人化だそうだ。組長になった人は役人気取りで一銭もかからずに愛国心が高揚した。
企業や学校にも軍人が乗り込んできてね、会社のために働くのではない天皇のために働くんだ、と滅私奉公を意識づけしたんだ。当時、雇い主や大地主を恨んでいた民衆には受けたかもね」
「そういう恨みのエネルギーが、日本を間違った方向へと走らせたんですね」
「そうかもしれない。その後成立した大日本帝国憲法は、天皇主権、国民は臣民と明確にうたっているからね。ついに国の法律にまでなってしまったわけだ。滅私奉公という日本人の意識のインフラ整備が、この時に完成したと考えてもいいんじゃないかな」
【以上、「あきらめの壁をぶち破った人々―日本発チェンジマネジメントの実際」より】
*「私には自分がない。自分なんか信じられない。でも、何かを信じたい。だから天皇」―かつて、そう言った少女。
アトピー、いじめ、リスカ、不登校、家出、自己嫌悪、自殺未遂(OD)……そして、居場所を求めて右翼活動へ。
社会がおかしい=大人が信用できない=親も自分を受け止めてくれない…ということになれば、何か信用できるものを求めて彷徨い、宗教や権威に向かうのも無理はない。
が、この生きづらさは「個人の心だけではなく、構造の問題なのでは?」という認識に辿り着き、プレカリアート(不安定労働者)運動に身を投じた。
ロックバンドを率いた「ミニスカ右翼」から、「プレカリアートのマリア」へ―雨宮処凛。
彼女の活動は、生きることに右も左もないことを示している。
同時に、右だとか左だとか言っていられないほどに現代日本では「生存権」が脅かされていることを示している。
しかし、経済的困窮と荒んだ心、破壊衝動を最終的に利用するのは戦争(事業)である。
軍需産業が戦争を仕掛け、経済格差により貧困層を生み出し、貧困層から経済的徴兵を行って戦場に送り出し、帰国後はPTSDに苦しみ、アメリカのホームレスの3人に1人は元兵士という惨状。
その現状を描いた映画「アメリカばんざい」を雨宮処凛が紹介している(↓)。
http://www.magazine9.jp/karin/080730/080730.php
【Why not 9? (Karin AMAMIYA)】
★超早わかり!明治維新以降の日本近現代史
①「公」(空間概念)と「私」(時間概念)
②中央集権体制の作られ方