サラリーマンよ、家庭に帰ろう
●自律のために過去の経緯をきちんと把握すること------------
「それにしても島津さんは歴史に詳しいですね」緒方が感服したように言った。
「メルマガにも書いたように、問題に正しく対処するためには過去の経緯をきちんと把握する必要がある。
そうしないと間違った方向に一歩踏み出さないとも限らないからね。
政治家や識者に惑わされず、戦争体験したご老人から自分の耳で直接話を聞くことだ」
●本当のプラグマティズムとは…--------------------------------
「島津さんは、日本人には珍しくプラグマティックな方だと思ってましたが、それだけではないですねぇ」
米国好きの池上に言われて、島津はアメリカ型のプラグマティズムを思い浮かべた。あそこは時間概念を考えなくてよいほどの広大な空間を持っている。
「いや、行動はプラグマティックだと思うよ。
だけど、行動する前にその行動が生む結果をよく考えろということだ。
つまり、“私”の部分でよく考えて、その結果を“公”の部分で行動に移すのさ。
今のサラリーマンに、子育てや家庭や地域など、“私”の部分を考える時間があるかい? 結局、それは自分を大事にしていないことにつながるし、将来の日本に対して極めて無責任だよ。
いい大人なんだから付き合い残業なんかやめてさ、もっと自分の時間を作って本当に考えて行動しなきゃ。
それが本当に世のためだろう」
【以上、「あきらめの壁をぶち破った人々―日本発チェンジマネジメントの実際」より】
*皆が残業で残っている中、先に帰るのは気が引けるものですが、ダラダラ仕事は決して効率を生みません。私の中には、『「公」(空間概念)と「私」(時間概念)』で説明した自分で考えた概念図がありました。自分を支えるものがあれば、人は強くなれます。私は、この概念を心に、帰れるときはさっさと帰りました(^^)。
実際、なぁなぁで動く会社だけの生活に埋没していれば「退化」していきます。私は退化していく人達を見てきました。本人は自分の変化に気づいておらず、ゾッとしたものです。少なくとも、バランスある人間的成長は望めません。
子育てや妻との関係を通して、はじめて男は全的に成長できるのです。育児は「育自」と言うとおり。(関係といっても、「聴く」ことがメインです)
そうやって人間的に成長した男女が社会でそれぞれ役割を果たさなければ、社会がおかしくなるのも当然でしょう。社会を真っ当に立て直すためには、会社が囲い込んでいる成人男女を、社会に返さなければなりません。
が、会社であれ、団体であれ、NPOであれ、サークルであれ、宗教であれ、家族であれ……不健全な組織は、人を囲い込んで自分たちの価値に染め上げようとします。
だから、皆さん、まずは「心理的に脱藩」しましょう。
そして、自分の名前を取り戻しましょう。
「千と千尋の神隠し」のように……
崩壊する「系」(2)-系再生のために自分を大事にすることから始めよう