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崩壊した最後の砦-家庭

2008/10/19(Sun) Category : 人生・世代
子どもを追い詰める価値の押しつけ】-4/4

■崩壊した最後の砦-家庭

昭和一桁(第一世代)、五十代(第二世代)ともに、子どもの気持ちを受け止めずに価値の押しつけをするという子育てをするのだが、その家族を取り巻く環境は大きく変化した。

五十代の小さい頃には子ども社会があった。
しかしその後、家族が地域から分離された結果、子に対する親の影響力が圧倒的に大きくなった。

完璧な人間などどこにもいないからこそ、親の影響を相対化するために家が地域に開放されている必要があったのだが、今や家は価値閉塞空間になってしまった。密室の中で価値が暴走し、事件にまで至るようになってしまったのである。

ネットカフェ難民世代

そして、世を震撼させた酒鬼薔薇事件(九七年)が起きる。
心を疎外し続ける中で、ついに第三世代から殺人ゲームが起きてしまった。

自分の存在を無視され続けている人間はストローク飢餓に陥る。
ストロークとは、相手の存在を認める働きかけのことで、目を見たり、傾聴したり、抱きしめたりすることもストロークである。
人がストロークを求めて仕掛けるものをゲームという。



ところが、日本社会はここで間違った方向に転換した。
ゆとりとは名ばかりで、規制緩和(九八年)による仁義なき競争戦争へと突入したのである。

「自己責任」という言葉と相まって「だまされるほうが悪い」という風潮ができていく。心理学的に言えば、政治がモラルをなくす「許可」を与えたのである。

九八年を期に、以降十年に渡って自殺者数が三万人を超え続けていることは、この政策が人間を追い詰めていることを示している。

無条件に相手を認め合う最後の砦であるはずの家族。
信じるものを失ってネットカフェに漂白する五十代と二十代―心のコップが一杯で、誰も受け止め手がいないことを示している。
親子世代がともに漂白するこの事実は、日本の家庭が崩壊しつつあるのではなく、既に崩壊してしまっていることを示しているのではないだろうか。

もはや仁義なき競争戦争を終わらせなければならない。
社会がモラルを取り戻さなければならない。
心の通い合うペースで生活しなければならない。


成長を追うのはやめよう。



幸福を取り戻そう。













【叉葉 賢 「また、派遣」】


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家屋の建て方にも現れていると思います。

中尾先生こんばんは。

失業して一ヶ月近くたち、この週末、要らないバイクやらを売りに出して、生活費の足しにしようとトラックを借り、行きつけの郊外のお店に泊めてもらったりして運んできました。
友人やいとこがトラックを貸してくれたり、必要なものをくださったり、この旅で自分が家族や友人たちの暖かい気持ちに支えられていることを改めて実感することが出来ました。

ところで、最近うちの周りでは、第二、第三世代による家の建て替えが多いのですが、新築された家屋を見るたびに「なんじゃこりゃ?」と思います。
土地の枠一杯にそびえ立つ箱。
大きな家でも庭はほとんど無く、完全防壁の中に暮らす核家族。
立派な家ほど、まるで内面を覆い隠す要塞のように見えます。

垣根越しに、隣人と挨拶を交わしたり、ばあちゃんちの裏の畑を耕していると、近所の人との交流も自然と行われるものですが、そんな交流が出来ない「箱モノ」になりつつあるような気がします。

うちの界隈には、「生き字引」と云う言葉がぴったりのおばちゃんが住んでいたのですが、今年に入って、突然の病で他界されました。
どこの子供でも愛情いっぱいにかわいがってくださり、いつも気にかけてくださる素晴らしい方でした。

世界大戦のように見えなくとも、もはや戦争のように人が亡くなり、気持ちを失って競争し、えらい時代になったと実感しています。

コンピュータよって管理され、機械的な仕組みに合わせてシステム化され、生き物にとって益々恐ろしい社会です。

 

ありがとうございました。

私は20代ですが、視線恐怖と言いますか、人と向き合ったり街を歩いたりするのが苦手です。
今でこそ良くなってきてますが、それまでは郵便ポストの新聞を取りに行くのも一苦労でした。
小さい頃から親から価値観を押し付けられたり人格を否定するような接し方をされてきたせいだと思い、それを理解してくれない親にキレたりしたことがあります。
自分の子を同じ目に遭わせたくないと思い、結婚するつもりはないと言い放ったこともあります。
完全に親個人を憎んでいたんですね。
でもある時から少しずつ変わってきました。
親は年のせいか押し付けや否定をしなくなりましたし、支えてくれる人もいたので、自分の心に余裕が出てきていたのだと思います。
そうした中で、親個人が悪意を持っているのではなく、社会の流れみたいなものこそが家庭の不和の原因だというふうに、少しずつ考え方が変わるようになったんですね。
おかげで今は家庭の不和も峠を越えて落ち着いてきたように思います。

中尾先生のブログを読んでいると、社会に翻弄されてきた親とその上の世代の想いが具体的に実感できるような気がします。
「まだ戦争は続いている」にはハッとさせられました。
こういったことの積み重ねを段階と時間を経て繰り返すことが、世代間連鎖を食い止めることにつながるのですね。
まだ不完全かもしれませんが、私のような若者が問題と対策を客観的に捉えることができるようになってきていて、それを希望と考えることもできるのかなと思います。

中尾先生の記事、そして他の来訪者の方々のコメントは共感できるものがあり、読めて本当に良かったなという想いです。
一方的ではありますが、ありがとうございました。

 
    
 
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