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時代が世代間連鎖に与える影響-日本全国版

2008/10/20(Mon) Category : 世代間連鎖
世代間連鎖の観点から見ると「20代と50代がネットカフェ難民の双璧である理由」が、また別の角度から見えてきたのではないだろうか。
この事例では、昭和一桁―しらけ世代―プレッシャー世代の3世代について見てみた。では、これを全世代に拡大してみてみよう。
【以下、20110813に図を改訂】

以前も書いたが、個別にはいろいろとあれど、ごくごく大ざっぱに分類すると次のような世代連鎖構成になっている。
・90代-60代-30代
・80代-50代-20代
・70代-40代-10代

上記で、ほぼ大方の日本人はカバーできるだろう。これを図示すると下記のようになる。
<図の見方>
・50代には、しらけ世代と断層世代がいる
・40代には、断層世代と新人類、バブル世代がいる
ということです

CompositionofJapanese
【日本人の3世代構造】

さて、図を見て分かること。



■1,戦争の影響を強く受けている第1世代--------------

愛情飢餓、ストローク飢餓、存在不安、承認欲求、ディスカウントに対する怒り―それらの、餓え・不安・欲求・怒りを内在化している世代だ。存在不安から逃れるために縦横に緊密な社会を築き上げたいという欲求、人に認められたいというストローク飢餓が、戦後の急速な復興の原動力となり、現代日本の原型を作り上げた。



■2,「選択」を奪われた第2世代-----------------------

第2世代はタテヨコに完成された社会のレールの上を走らされる世代である。
終戦直後に生まれ、第1世代からバトンを受け継いだ団塊世代は、その数の多さ自体が次の役割を果たした。

1)「不安」が作り上げた社会構造を定着させる役割
会社組織が出来上がった頃に社会進出したので、横には仲間が大勢いて、縦にはヒエラルキーがあった。そのため、縦横の中の“ここ”という「分を守る」意識。しかも成長期であったので単体の仕事でも物量があり、その持ち場に専念するだけでも十分だった。そのように会社の一歯車となって個別分野ごとに専門性を深めていくことが、社会構造を固めることになった。

2)自由競争の幕開け
その数の多さ自体が「比較」と「競争」を呼び込んだ(←復員兵による多産…これもまた戦争の生んだいびつですね)。

それに続く世代は、団塊が集団で踏み固めた構造の上を歩かざるを得なくなる。つまり、選択の余地がなくなるわけだ。人生が選択の連続であるとすれば、選択できない人生など虚しい。団塊に続く世代が「三無主義(無気力・無感動・無関心)」の”しらけ世代”となったのも当然だった。(念のため…団塊世代がそうしたのではなく、しらけ世代の親がそうしたのです)



■3,追い詰められている第3世代-----------------------

競争によってレールの上をただ走らされた団塊の世代。そのマス(集団)のために、社会は団地、家電、車などを次々と用意し、その新たな生活スタイルを求めて団塊は疾走した。次々と現れる新技術・新手法を追うことだけで精一杯。ノウハウ本ブームで出版業界を牽引し、マニュアル子育ての走り、「Doing Parent」の走りも団塊世代だった。

しかし、心を置き忘れて突っ走った世代が、マニュアルで子供を育てられるはずもなく、あれもやりこれもやりした挙げ句、これ以上どうすればいいの、と途方に暮れている。いじくられた30代は、まじめで能力はあるのだが心がボロボロだ。結婚もせず、心の病も多く、自殺も多い。

それに、社会に出た20代は30代の背中を見ている。30代が活き活きしなければ希望をなくしてしまう。引退した団塊世代のやるべき事は、まず自分の心と向き合うこと。そして、「Being Parent」として30代と向き合うことだろう。
なお、20代、10代と若くなるほどに病は深くなっているように思う。



■4,極めて短かった幸せな時代-----------------------

さて、各世代の特徴を表す色を見ていただくと分かるが、殆どが暗い色である。物質的には、日本は一見右肩上がりに経済成長してきたように見える。が、このように心理環境を色にしてみると、平穏な時代というのはとても短かったことが分かる。
日本人が豊かさや幸せを実感できないのも当たり前だ。それが、心理的現実なのである。

では、なぜ幸せな時代はかくも短かったのか?
それは、上記の図に、社会の変貌を重ね合わせてみるとわかる。

CompositionofJapanese2




■5,戦争は続いている-------------------------------

まず、右端を見てほしい。
形を変えて戦争が続いている事が分かるだろう。

戦争は人を道具にする。ディスカウントされた人々が怒りを持つのは当然だ。人を道具にするハラッサーや怒りを吐き散らす「キレる大人」が急増殖したのは、世代連鎖+時代背景の結果だ。時代の価値がいかに社会に影響を及ぼすかが分かると思う。

男性が戦争に取られた戦争未亡人、戦争孤児の時代から
男性が会社に取られて企業未亡人、企業孤児の時代を経て
今や男性さえもパーツとして切り捨てられる時代になっている。



■6,崩壊する社会-------------------------------

今度は、左端を見てほしい。
地縁で支え合っていた社会は解体されて核家族が都会へと流出し、社宅や団地に再編されて社縁で支え合うようになる。多様な地域社会はなくなり、均質な働き蜂の「蜂の巣社会」(マンション、団地、アパートなど)へと変貌していく。経済戦争に向けて戦闘体制が準備されたわけだ。

しかし、地域に代わってゲマインシャフト的であった会社はゲゼルシャフトを経て、会社が株主のモノになった頃から社長以下単なるパーツ集団になり、社縁が崩壊していく。

信じられるものは家族縁しかなくなるが、家族を支える地域は既になく、内部は「動的家族画」に見られるとおり空洞化している。さらに、競争にあおられた企業戦士である親は、社会の歯車となるべくわが子にレールを強制し、心の交流がなくなった家庭は完全崩壊していく。



■7,分断される人々-------------------------------

このように、個人が孤立分断されていく過程は、ある意味資本主義の必然なのだ。なぜなら、「個」に分断すればするほどに必要とされる「サービス」が発生するからだ。

人が自分のことを自分でできないようになる=自律できなければできないほど、資本主義は儲かる。共同体が無償で助け合っていたことを、共同体を解体することによってそこにニーズが生まれ、「金」でサービスを買わせることができるからだ。

人は全的に生きられず、何かのプロ(道具)となって生きるようになる。そして、互いに道具として利用し合う関係になっていく=共依存の体系のできあがりである。経済のグローバル化とは、共依存を地球規模に進めていこうというとんでもない思想であると思う…。



■8,各世代の現実--------------------------------

まぁ、難しいことは置いておこう。短い中で書ききれるものではない。
ただ、経済至上主義が生活から幸せを奪っていったという「実感」を信じることだ。図を見て分かるとおり、幸せな日本人など、どこにもいない。まやかしの経済的繁栄ではなく、真実を見なければならない。

第1世代は逃げ切ろうとし、
第2世代は抱え込んだまま動けず、
第3世代が、その身動きの取れない第2世代を懸命に支えようとして苦しんでいる。

不安の第1世代は、自分の内側にある不安を見たくないので死ぬまで動き回り続け、上二世代を抱える第3世代は最も心が重く身動きできない。

外にばかり意識を向け続ける第1世代と
外に絶望して内側に内向していく第3世代
連鎖を断ち切る役割を担っているのは、第2世代であるのだが……



■9,断層世代の役割--------------------------------

私は、断層の世代に属する。
これといった特徴のない世代と言われている世代である。
だからこそ私は、幸せな世代だと思うのだ。

図を見ると分かるが、経済戦争が本格化する前であり、地域が崩壊する前でもあった。
地域(子供社会)が崩壊し、子供が輪切りで遊び始めて登場するのが新人類と呼ばれる世代である。以降、閉塞状況は深化し、競争は仁義なきものになっていき、子供から見て生きるモデルは見えなくなっていく。私が、常々若くなるほど生きづらいというのは、こういうことなのだ。

私の子供の頃は、一言で言えば、まだかろうじてバランスが取れていた。
だから、断層世代は比較的、心に傷を負っていない世代なのかもしれない(もちろん、個別にはいろいろとあるけれど…)。
だからこそ、今の日本で動きの取れる我々世代は頑張ってほしいと思う。

私の目指すところは、プロフェショナルアマチュアである。
これといった特徴のないこと、平穏であることの素晴らしさをどんどん広めていきたい。



■最後に…--------------------------------

闘う相手は、人ではない。

各世代を飲み込んできた時の流れ-時代の価値である。

私の卒論は「パラダイム(時代の価値、社会的尺度、社会の枠組み)の転換」をテーマにしたものであった。

多くの人が時代の価値の中に飲み込まれていった。

怒りさえも、反抗さえも、お釈迦様の手の平の上の孫悟空だ。何しろ、全てを飲み込んでいくブラックホールだからね。


だから、

闘うのではなく、

競争から一抜けする


それが、私の闘い方だ。






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第二次世界戦争の結果として日本のあらゆる権利、権源、請求権が一切制約されない日本国領域内とされた地点を日本人を略奪殺傷して不法占拠して国際司法裁判所から逃げ回っている国民が、自国憲法により国防を義務付けられた状態で大勢国内に居て、権限を持つ教育公務員として公教育の場にもいるんですもの。
日本国内は子供が学習する学校の中迄戦争状態でも構わないとしているのです。

 

読むことができて良かったです。有難うございます。

 

競争から降りちゃいました。きっかけはパニック(障害)。
あれ、とんでもないっす!苦しんだぶん怖いものなしになり
人の目を気にする障害が、人の目がどうでもよくなりました。

 

時代の流れとするには、あまりにも悲しい。

 

こんばんは。
なんとなく『逆噴射家族』という映画を思い出しました。

一家のお父さんが念願のマイホームを手に入れるも家族はバラバラ。
家庭内戦争のようないがみ合いのあと、ある確信から嬉々として家を壊し始める・・・。
青空の下で和気藹々と食卓を囲む家族の図が爽快でした。

ポイントとしては、やはり第2世代が中心となっていること、そして物よりも心を優先していることの2つがあるのかなと思いました。

 
    
 
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