偽装自分と脱洗脳
2008/11/04(Tue) Category : 心と感情
偽装とは、ごまかすこと。
また、ごまかすために装ったり行動したり、カムフラージュすること。
見た目重視になり、見抜く目を失った現代では偽装が大流行である。
偽装結婚、偽装食品、偽装建築、偽装請負、偽装管理職、偽装表示、偽装サークル…まぁ、日常の衣食住から働き方に至るまで詐欺が蔓延している。
さて、「心のコップ」のメカニズムで見たとおり、自分の気持ちを吐き出せず、溜め込んでいくだけでとても大変なことになる。生き地獄と言ってよい。
しかし、さらに、その感覚や嗜好、感情さえもが押し付けられたものである場合がある。つまり、知らない間に本当の自分は完全に封印されていて、作られた自分で生きているわけだ。その偽装自分は、自分さえもを誤魔化して生きている。
そんなバカな?!
確かに、SF映画で時に見かける設定だが、そういう映画を見る度に、「実際にあるよなぁ…」と私はため息が出る。偽装嗜好、偽装感覚、偽装感情―それらに囲まれた偽装自分……
あなたは
「自分」 ですか?
「お前ホントはクラシック好きじゃないだろ」
「え?! いやホントに好きだよ」
なぜ、友人がそんなこと言うんだろうと訝しがっていた青年。
私のカウンセリングを受けたその夜、ラジオからaikoの歌が流れてきた。
いつもなら速攻スイッチオフにしているが、なぜかそうせずに聞いていると、「感情」が流れ込んできた。
極めて個人的な歌詞。
しかし確かにそこに存在する気持ちの世界が胸を打った。
その瞬間、いかに自分が父親に支配され、自分の感情をなくして生きてきたのかが分かった。
----------------------------------------------------------
上記は、「虚飾をはぎ取れ、そして自分を取り戻せ」に書いたエピソードである。
その青年は、クラシックと美術が好きで、ファーストフードと田舎は嫌いだと自分で思っていた。だから、美術展があると朝起きたら顔を洗うくらいの当たり前のこととして自動的に足が向く一方で、下りの電車には乗るのもイヤな気がした。
が、カウンセリングにより親の呪縛が解けて以降、そのどれもが嘘っぱちだと気づいたのである。自分は感覚や嗜好までもが親に作られ、偽装された自分を生きていた―そのことに気づいた。
----------------------------------------------------------
なぜ、こういう事が起こるのか?
父親が存在不安の塊だった。
存在不安のある人間は、自分の存在がどこかに位置づけられていなければ不安でいたたまれない。だから、世間が認めるもの-常識や権威、スタンダードなど“確かなもの”とされているもの(←それも所詮は幻想だが…)と自分を結びつけたがる。遮二無二安心を求めて生きている。
喜怒哀楽は安心の上に満喫できるもの。
不安の中に棲む人間は気持ちで生きることができない。
だから、背骨ができない。
そのため全てを本で学び、理屈と蘊蓄で身を固めて生きる。
つまりは、父親自身が自分を自己洗脳して生きているわけだ。
そうやって懸命に作り上げた「世界」を壊されてしまっては父親は生きていけない。そこで、生まれた子どもを徹底的に洗脳していくのである。
北朝鮮を見ればおわかりの通り、思想統制するためには日々の努力が必要である(支配者は大変不自由)。日常の全てに渡り、微に入り細を穿って介入、指示、支配をし、感覚までもを刷り込んでいく。まぁ、サティアンに生まれ落ちたと言ってもよいだろう。
この青年がどれほど苦しい思いをして自分にすり込まれたタブーと闘ったかを見れば、いかに「脱カルト」が難しいか、いかに洗脳から社会復帰することが大変かがよく分かると思う。
そして、「家庭」とは、このようにサティアンになりかねない「場」なのである。
(皆さんの中にも、好きな色、好きな服、好きな食べ物、好きなインテリア、好きな趣味、好きなタイプ、好きな動物……等々、自分の“好み”を親に押し付けられた人は沢山いるのではないでしょうか)
脱洗脳のためには、次のような段取りが必要です。
1,無意識の構造に気づくこと(自分への気づき)
2,それをもたらした世代間連鎖の構造に気づくこと(全体構造への気づき)
3,禁止令に対する「許可」をもらうこと(行動開始)
4,気持ちのままに行動し始めること(背骨作り)
5,感情爆発、グリーフワーク、癒し(インナーチャイルドの救い)
6,背骨が育ってきたら、枠組み破壊(インナーペアレンツの消滅)
7,あるがままの自分に戻る(第二の誕生)
3の「許可」とは、理屈と感情の両面からの許可が必要です(何しろ、敵は理屈で固めた強固なインナーペアレンツですから…)。世代間連鎖に基づくカウンセリングは、その両方を同時に行っているわけです。
そして、上記の青年も、美術館に向かう途中で足が重くなってきたときに、私の声が聞こえたそうです。
「気持ちのままに」
この許可の言葉が、彼を美術館とは反対の方向に歩かせ、
生まれて初めて美術展に行かなかったこの日、
彼は父親の縛りから一つ解放されたのでした。
「生まれて初めて、自分の足で歩いている気がしました」
―ここから、自分の背骨作りの第一歩が始まったのでした。
・心の乗っ取られ方 5タイプ
・「神世界」に見る霊感商法被害者の心理
・完璧な洗脳―起承転結・絶
・モラハラの構造(3):モラ夫に洗脳されるメカニズム
・渋谷夫殺害事件 歌織被告-(16)防衛機制の皮肉→「洗脳」段階への移行
・JR福知山線脱線事故の深層-第4部「日勤教育」に見る洗脳の仕方
・9年で人は変わる:断ち切る3年―背骨を作る3年―育ち直しの3年
・5つの自分を見分けよう-自分を動かしているのは誰?
また、ごまかすために装ったり行動したり、カムフラージュすること。
見た目重視になり、見抜く目を失った現代では偽装が大流行である。
偽装結婚、偽装食品、偽装建築、偽装請負、偽装管理職、偽装表示、偽装サークル…まぁ、日常の衣食住から働き方に至るまで詐欺が蔓延している。
さて、「心のコップ」のメカニズムで見たとおり、自分の気持ちを吐き出せず、溜め込んでいくだけでとても大変なことになる。生き地獄と言ってよい。
しかし、さらに、その感覚や嗜好、感情さえもが押し付けられたものである場合がある。つまり、知らない間に本当の自分は完全に封印されていて、作られた自分で生きているわけだ。その偽装自分は、自分さえもを誤魔化して生きている。
そんなバカな?!
確かに、SF映画で時に見かける設定だが、そういう映画を見る度に、「実際にあるよなぁ…」と私はため息が出る。偽装嗜好、偽装感覚、偽装感情―それらに囲まれた偽装自分……
あなたは
「自分」 ですか?
「お前ホントはクラシック好きじゃないだろ」
「え?! いやホントに好きだよ」
なぜ、友人がそんなこと言うんだろうと訝しがっていた青年。
私のカウンセリングを受けたその夜、ラジオからaikoの歌が流れてきた。
いつもなら速攻スイッチオフにしているが、なぜかそうせずに聞いていると、「感情」が流れ込んできた。
極めて個人的な歌詞。
しかし確かにそこに存在する気持ちの世界が胸を打った。
その瞬間、いかに自分が父親に支配され、自分の感情をなくして生きてきたのかが分かった。
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上記は、「虚飾をはぎ取れ、そして自分を取り戻せ」に書いたエピソードである。
その青年は、クラシックと美術が好きで、ファーストフードと田舎は嫌いだと自分で思っていた。だから、美術展があると朝起きたら顔を洗うくらいの当たり前のこととして自動的に足が向く一方で、下りの電車には乗るのもイヤな気がした。
が、カウンセリングにより親の呪縛が解けて以降、そのどれもが嘘っぱちだと気づいたのである。自分は感覚や嗜好までもが親に作られ、偽装された自分を生きていた―そのことに気づいた。
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なぜ、こういう事が起こるのか?
父親が存在不安の塊だった。
存在不安のある人間は、自分の存在がどこかに位置づけられていなければ不安でいたたまれない。だから、世間が認めるもの-常識や権威、スタンダードなど“確かなもの”とされているもの(←それも所詮は幻想だが…)と自分を結びつけたがる。遮二無二安心を求めて生きている。
喜怒哀楽は安心の上に満喫できるもの。
不安の中に棲む人間は気持ちで生きることができない。
だから、背骨ができない。
そのため全てを本で学び、理屈と蘊蓄で身を固めて生きる。
つまりは、父親自身が自分を自己洗脳して生きているわけだ。
そうやって懸命に作り上げた「世界」を壊されてしまっては父親は生きていけない。そこで、生まれた子どもを徹底的に洗脳していくのである。
北朝鮮を見ればおわかりの通り、思想統制するためには日々の努力が必要である(支配者は大変不自由)。日常の全てに渡り、微に入り細を穿って介入、指示、支配をし、感覚までもを刷り込んでいく。まぁ、サティアンに生まれ落ちたと言ってもよいだろう。
この青年がどれほど苦しい思いをして自分にすり込まれたタブーと闘ったかを見れば、いかに「脱カルト」が難しいか、いかに洗脳から社会復帰することが大変かがよく分かると思う。
そして、「家庭」とは、このようにサティアンになりかねない「場」なのである。
(皆さんの中にも、好きな色、好きな服、好きな食べ物、好きなインテリア、好きな趣味、好きなタイプ、好きな動物……等々、自分の“好み”を親に押し付けられた人は沢山いるのではないでしょうか)
脱洗脳のためには、次のような段取りが必要です。
1,無意識の構造に気づくこと(自分への気づき)
2,それをもたらした世代間連鎖の構造に気づくこと(全体構造への気づき)
3,禁止令に対する「許可」をもらうこと(行動開始)
4,気持ちのままに行動し始めること(背骨作り)
5,感情爆発、グリーフワーク、癒し(インナーチャイルドの救い)
6,背骨が育ってきたら、枠組み破壊(インナーペアレンツの消滅)
7,あるがままの自分に戻る(第二の誕生)
3の「許可」とは、理屈と感情の両面からの許可が必要です(何しろ、敵は理屈で固めた強固なインナーペアレンツですから…)。世代間連鎖に基づくカウンセリングは、その両方を同時に行っているわけです。
そして、上記の青年も、美術館に向かう途中で足が重くなってきたときに、私の声が聞こえたそうです。
「気持ちのままに」
この許可の言葉が、彼を美術館とは反対の方向に歩かせ、
生まれて初めて美術展に行かなかったこの日、
彼は父親の縛りから一つ解放されたのでした。
「生まれて初めて、自分の足で歩いている気がしました」
―ここから、自分の背骨作りの第一歩が始まったのでした。
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