第1部-2、割れる世間の目
2009/02/05(Thu) Category : 仮面の家
第1部 家庭内暴力息子刺殺事件
■2、割れる世間の目------------------------------------
<一審>浦和地裁
『長男の立ち直りは極めて難しく、それまでの親の接し方にも間違いはなかった。長男の精神荒廃が極限の状態では、家庭が崩壊させられるか、長男を殺害するかしかの選択しかなかった』(執行猶予付)
<二審>東京高裁
父親は『社会経験が豊富で物事を冷静に判断できる立場にあった』『家庭内暴力が始まってから事件まで1年もたっておらず家族への危害はなかった。社会への適応能力もあり、治癒可能性は十分にあった』(実刑)
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一審の温情判決のウラには長男に対する判断があります。
長男に対する判断を基準に、両親のやったこと(殺人)を情状酌量しているわけです。
仮に全校で1,2番の成績で、かつ軟式テニス部のキャプテンをしていた中学のときに事件を起こしていれば、親の責が問われたかもしれません。しかし、物に当たり散らしていた23歳の時点では長男の責が問われました。
では、中学から23歳に至る経過の中で、長男が突然変異したのでしょうか。
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長男が荒れるようになった理由を、本の中では概要次のように見ることができます。
長男は、高校進学後ガリ勉についていけず、高2から不登校となって中退します。が、大検を受けて一流私大に進学。入学後はスキーサークルに入って1年で全日本スキー連盟の1級取得。スキー、テニス、作詞作曲など青春を謳歌します。
そして、高2から目覚めた音楽と作曲の生活をしたいと思い大学を中退。しかし、経済的自立もしなければなりませんので弁護士になることも考えますが挫折します。その閉塞感の中で、彼女とのセックスが出来なかったことが自信をさらに失わせ、家庭内で荒れるようになった―というものです。
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この長男の生き方を見て、親はこう見ます。
『自己弁護』『自己正当化』『傲岸不遜』
『何事も自分の思うようにならなかったことについて、全部、親のせい』
小さい頃は、兄を尊敬のまなざしで見ていた弟も、次のように幻滅していきます。
『自意識過剰』『自己中心』『怒ったときの激しさは、手がつけられない』『物に当たる』
一方、学友は彼の音楽的センスを「天才肌」と評価し、「頭の中は音楽だけ」と感じ、「この男なら本当にやる」と思い、バイト先の店長などは「柱になってもらうつもり」でいたと言います。
サークルを一つの方向性に取りまとめるリーダーシップを発揮したこともありました。
内と外とで、これほど評価が異なるのです。
内にいる人間は、一人では何もできないと見ており
外の人間は、人をまとめることさえできるだろうと思っていたわけです。
一審は内の評価を重視し、
二審は外の評価を重視しました。
■2、割れる世間の目------------------------------------
<一審>浦和地裁
『長男の立ち直りは極めて難しく、それまでの親の接し方にも間違いはなかった。長男の精神荒廃が極限の状態では、家庭が崩壊させられるか、長男を殺害するかしかの選択しかなかった』(執行猶予付)
<二審>東京高裁
父親は『社会経験が豊富で物事を冷静に判断できる立場にあった』『家庭内暴力が始まってから事件まで1年もたっておらず家族への危害はなかった。社会への適応能力もあり、治癒可能性は十分にあった』(実刑)
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一審の温情判決のウラには長男に対する判断があります。
長男に対する判断を基準に、両親のやったこと(殺人)を情状酌量しているわけです。
仮に全校で1,2番の成績で、かつ軟式テニス部のキャプテンをしていた中学のときに事件を起こしていれば、親の責が問われたかもしれません。しかし、物に当たり散らしていた23歳の時点では長男の責が問われました。
では、中学から23歳に至る経過の中で、長男が突然変異したのでしょうか。
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長男が荒れるようになった理由を、本の中では概要次のように見ることができます。
長男は、高校進学後ガリ勉についていけず、高2から不登校となって中退します。が、大検を受けて一流私大に進学。入学後はスキーサークルに入って1年で全日本スキー連盟の1級取得。スキー、テニス、作詞作曲など青春を謳歌します。
そして、高2から目覚めた音楽と作曲の生活をしたいと思い大学を中退。しかし、経済的自立もしなければなりませんので弁護士になることも考えますが挫折します。その閉塞感の中で、彼女とのセックスが出来なかったことが自信をさらに失わせ、家庭内で荒れるようになった―というものです。
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この長男の生き方を見て、親はこう見ます。
『自己弁護』『自己正当化』『傲岸不遜』
『何事も自分の思うようにならなかったことについて、全部、親のせい』
小さい頃は、兄を尊敬のまなざしで見ていた弟も、次のように幻滅していきます。
『自意識過剰』『自己中心』『怒ったときの激しさは、手がつけられない』『物に当たる』
一方、学友は彼の音楽的センスを「天才肌」と評価し、「頭の中は音楽だけ」と感じ、「この男なら本当にやる」と思い、バイト先の店長などは「柱になってもらうつもり」でいたと言います。
サークルを一つの方向性に取りまとめるリーダーシップを発揮したこともありました。
内と外とで、これほど評価が異なるのです。
内にいる人間は、一人では何もできないと見ており
外の人間は、人をまとめることさえできるだろうと思っていたわけです。
一審は内の評価を重視し、
二審は外の評価を重視しました。