心の気嵐(けあらし)
2009/04/24(Fri) Category : パワハラ(パワーハラスメント)
【パワハラうつ地獄からの復活物語】<心理解説3>
■心の気嵐(けあらし)
気嵐(けあらし)というのをご存じでしょうか。
寒いときに川面から蒸気が立ち昇りますね。あれを北海道の方では気嵐と呼ぶようです。
気体、液体、固体という3つの相をもつ水は、その相の間を水分子が行ったり来たりしています。気温よりも水温の方が高いとき(温度差が大きいとき)、運動量の大きな水分子が大気中に飛び出していきます。しかし、飛び出した途端に冷気に冷やされて結晶化し、目に見える霧となって立ちこめるわけです。
さて、凍っていた心が溶けて液状化してくると再び感情が動き始めます。「心のコップ」という器はまだ冷たいけれど、中で動き始めた感情そのものはホットですからね、運動量が大きいわけです。そのため、感情が気嵐のように立ち昇り、心(のコップ)を満たすわけです。
これは、川面の霧が抑えようと思っても抑えられない自然現象であるのと同じように、抑えようと思っても思っても抑えられるものではありません。そして、その感情がなくなっていくまで、あるいは「心のコップ」がウォームアップしていくまで出続けるわけです。
そして、1年半もの長期にわたって佐藤さんを苦しめ続けました。
まさしく、人を地獄に落として苦しめる「気持ちの嵐」=「気嵐」という呼び名がピッタリのように感じました。それも、グツグツと煮えたぎる地獄のゆで釜から立ち昇る湯気のような気嵐です。
そこで、私はこういう状態を「心の気嵐」と呼んでいます。
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気嵐の最初に噴出してくる感情は、もっともエネルギーの強い感情―そう、復讐心と殺意でした。
自分の人生をメチャクチャにされたのだから当然です。自分をこんな目に遭わせた奴を同じような目に遭わせなければ気が収まらない凄まじい怒りが渦巻いています。当に気嵐のように立ち昇る怒りと殺意の渦を止めることはできません。
抑えようとすれば、圧力釜のように内圧が高まって爆発してしまうでしょう。「何をするかわからない」「何かをしそうで怖い」…こう思うときは、感情の内圧が高まっている証拠です。どんどん放出していく以外に手がありません。
問題は、水分子は空間が受け止めてくれますが、気持ちは人が受け止めてくれなければ出ていかないと言うことです。
佐藤さんの怒りの矛先はパワハラ上司に向いています。が、直接ぶつけられませんので、自分の中で渦を巻きます(これは、親に直接ぶつけることのできない子どもの立場も同じですね)。
夫も一杯一杯で受け止められないどころか、いつまで嘆いているんだと責められると、もはや人の手を借りてまで復讐してやると思ってしまうのです。
さらに、その怒りの矛先は、自分がこのような生き方をする原因を作った親、そしてパワハラ上司を放置した会社、間違った価値観を押し付けている社会、何もしてくれない社会へと拡大していきます。一歩間違えれば事件に至るでしょう。
そして、そういう自分もイヤで、この執着から解放されない不安からこの先も苦しむことがイヤで、自殺願望が出てきます。
が、そう思ったとき、一生懸命頑張って生きてきただけで何も悪いことをしていない自分が、ただ一方的に死ぬこともイヤだという強烈な感情が出てきて、人の不幸を願うようになるわけです。
そして、そういう自分になってしまったことを嘆き、改めて恨みが湧き……無限ループの苦しみですね。このような心の気嵐が、ほぼ1年間にわたって続きました。佐藤さんにしてみれば、無間地獄に身を置かれたような状態でした。
「気持ちは人が受け止めてくれなければ出ていかない」と書きましたが、この間、佐藤さんは自分で自分を受け止め続けたのでした。
尚、佐藤さんが自分と向き合うに当たって大きな支えとなったのが、ご主人でした。はじめは翻弄されていたご主人でしたが、ただ見守ることが大切であることがわかって姿勢が変わられたのです。
【参考↓】
十分に苦しみなさい
「自分と向き合う人」、そして「傍にいる人」へ
■心の気嵐(けあらし)
気嵐(けあらし)というのをご存じでしょうか。
寒いときに川面から蒸気が立ち昇りますね。あれを北海道の方では気嵐と呼ぶようです。
気体、液体、固体という3つの相をもつ水は、その相の間を水分子が行ったり来たりしています。気温よりも水温の方が高いとき(温度差が大きいとき)、運動量の大きな水分子が大気中に飛び出していきます。しかし、飛び出した途端に冷気に冷やされて結晶化し、目に見える霧となって立ちこめるわけです。
さて、凍っていた心が溶けて液状化してくると再び感情が動き始めます。「心のコップ」という器はまだ冷たいけれど、中で動き始めた感情そのものはホットですからね、運動量が大きいわけです。そのため、感情が気嵐のように立ち昇り、心(のコップ)を満たすわけです。
これは、川面の霧が抑えようと思っても抑えられない自然現象であるのと同じように、抑えようと思っても思っても抑えられるものではありません。そして、その感情がなくなっていくまで、あるいは「心のコップ」がウォームアップしていくまで出続けるわけです。
そして、1年半もの長期にわたって佐藤さんを苦しめ続けました。
まさしく、人を地獄に落として苦しめる「気持ちの嵐」=「気嵐」という呼び名がピッタリのように感じました。それも、グツグツと煮えたぎる地獄のゆで釜から立ち昇る湯気のような気嵐です。
そこで、私はこういう状態を「心の気嵐」と呼んでいます。
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気嵐の最初に噴出してくる感情は、もっともエネルギーの強い感情―そう、復讐心と殺意でした。
自分の人生をメチャクチャにされたのだから当然です。自分をこんな目に遭わせた奴を同じような目に遭わせなければ気が収まらない凄まじい怒りが渦巻いています。当に気嵐のように立ち昇る怒りと殺意の渦を止めることはできません。
抑えようとすれば、圧力釜のように内圧が高まって爆発してしまうでしょう。「何をするかわからない」「何かをしそうで怖い」…こう思うときは、感情の内圧が高まっている証拠です。どんどん放出していく以外に手がありません。
問題は、水分子は空間が受け止めてくれますが、気持ちは人が受け止めてくれなければ出ていかないと言うことです。
佐藤さんの怒りの矛先はパワハラ上司に向いています。が、直接ぶつけられませんので、自分の中で渦を巻きます(これは、親に直接ぶつけることのできない子どもの立場も同じですね)。
夫も一杯一杯で受け止められないどころか、いつまで嘆いているんだと責められると、もはや人の手を借りてまで復讐してやると思ってしまうのです。
さらに、その怒りの矛先は、自分がこのような生き方をする原因を作った親、そしてパワハラ上司を放置した会社、間違った価値観を押し付けている社会、何もしてくれない社会へと拡大していきます。一歩間違えれば事件に至るでしょう。
そして、そういう自分もイヤで、この執着から解放されない不安からこの先も苦しむことがイヤで、自殺願望が出てきます。
が、そう思ったとき、一生懸命頑張って生きてきただけで何も悪いことをしていない自分が、ただ一方的に死ぬこともイヤだという強烈な感情が出てきて、人の不幸を願うようになるわけです。
そして、そういう自分になってしまったことを嘆き、改めて恨みが湧き……無限ループの苦しみですね。このような心の気嵐が、ほぼ1年間にわたって続きました。佐藤さんにしてみれば、無間地獄に身を置かれたような状態でした。
「気持ちは人が受け止めてくれなければ出ていかない」と書きましたが、この間、佐藤さんは自分で自分を受け止め続けたのでした。
尚、佐藤さんが自分と向き合うに当たって大きな支えとなったのが、ご主人でした。はじめは翻弄されていたご主人でしたが、ただ見守ることが大切であることがわかって姿勢が変わられたのです。
【参考↓】
十分に苦しみなさい
「自分と向き合う人」、そして「傍にいる人」へ