組織風土改革と人の意識改革―石の上にも3年
2009/05/13(Wed) Category : パワハラ(パワーハラスメント)
【パワハラうつ地獄からの復活物語】<心理解説7>
■組織風土改革と人の意識改革
私は組織改革を行ったが、その本質は人の心を変え働き方を変えることだった。価値基準を、それまで従っていたものから新しいものに変えるのに3年かかったと言うことだ。
この間に古きものの創造的破壊と新しいポリシーの種まき、肉付けを行っていった。その途中で旧来の価値観から様々な問題提起がなされ、旧体制からあらゆる抵抗があった(小説「あきらめの壁をぶち破った人々」に書かれていない部分も多々あります)。
この抵抗にあって、ほとんどの組織改革は失敗するのが通例である。ITを用いたBPR(業務改革)が本場米国でさえ1000に3つも成功例がないというのは、その事情をさしている。
大変なのは、反対勢力の抵抗があることだけではない。何より我々自身が、ゴールがどのような姿になるのか、そのビジョンを実感的に描けないことにあった。もちろん、理屈ではわかるし机上の絵は描ける。が、実感が伴わないのである。
それも当然だった。全員が未体験ゾーンだからだ。コンサルタントでさえ大枠(理念)を知ってはいても、その会社に応じた実体システムがどのようになるのかはわからない。「群盲象を撫でる」状況で、とても苦しかった。我々は赤ん坊であり、まだ背骨を持っていなかった。そこで、コンサルタントに次のように手紙で要求した。
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『そもそも外部の力を借りるのは、内部にいては身につけられない判断基準を植え付けてもらうことにあります。最初は借り物の基準であっても、討議によってその基準を肉付けしていくことができれば、やがて自分のものになっていきます。
コアメンバーが自らの判断に自信を持って自律的に動きはじめた時がコンサルタントの手を離れる時であり、システムが動き始める時でしょう。無理に離そうとすれば途方に暮れるか、かえってしがみつくだけです。逆にコンサルタントの判断基準を内在化したときには、いやでも勝手に手を離れて走り始めることでしょう。子育てと同じだと思います。
また、自分たちが判断できるようになる=成長する、ということであり、これこそがコアメンバーの動機づけになります。それは、会議が単なる実務遂行の労役ではなくなり、自己の知見を高め、もって判断能力を高めることのできる成長の場となるからです。自分を成長させてくれる場であれば、自ずと活性化してくるものです。
以上、相手を育成すべき子供と思って、もう少しコミットしていただければ幸いです』
【「あきらめの壁をぶち破った人々」より】
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というわけで、背骨のない我々の背骨モデルになってもらうことと、気持ちで関わってもらうことの2つを要求したのである。
私は医薬開発の専門家ではない。だから、システムの細かい部分は、それを使う当事者である専門家がコンサルタントという背骨に沿いつつ話し合って創り上げる必要がある。
私は、その全員が安心して心をさらけ出して話し合えるための土俵だった。同時に、頭の中には常にポリシー(方向性)のアンテナが張ってあるため、小さな発言でもポリシーに関わるものがあると見逃さずに土俵に乗せるし、ポリシーにそぐわないものが入ってきた場合は退けた。そういう意味で、私は土俵であると同時に見えない背骨=「環境」となっていた。
その中でメンバーはどんどん活性化し、組織が生き返り始め、ついには仕事の仕方を変える=業務全ての面において発想の仕方が変わる新たな枠組みができたのである。
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仕事の仕方が変わる=人の行動が変容する←これはカウンセリングのゴールだ。実は、この組織改革の過程は私が行っているカウンセリングの過程とよく似ている。
相談者の方は、インナーペアレンツに支配され、もしくは存在不安から逃れるために自ら無意識に構築した世界の中に棲んでいる。その世界を破壊しなければ自由な世界に出ていくことはできないのだが、背骨を持っていないために破壊することが怖い。
それに、インナーペアレンツや存在不安という“抵抗勢力”が徹底して抵抗してくる。
そこで私が環境となり、仮の背骨となって、私という土俵の上でとことん自分と闘ってもらう(大ざっぱに言えば、インナーペアレンツvsインナーチャイルドvs存在不安の3つどもえの闘いになります)。
私は、その人があるがままの自分にたどり着くまで、インナーペアレンツや存在不安に牽制球を投げ、インナーチャイルドを力づけ、環境となって見守るのである。
こうしてみると、私が会社でやってきたこと、家族に対して行っていること、個人に対して行っていることは皆同じと言うことがわかるだろう。
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尚、佐藤さんは私とのカウンセリングが始まる前に1年間鬱で苦しまれている。その期間も含めると、鬱になって一度回復し、続いて抑うつ神経症になり、そして完全回復まで3年かかっていると言うことだ。
組織改革も3年。
個人があるがままの自分に戻るのも3年。
「石の上にも3年」だ。
■組織風土改革と人の意識改革
私は組織改革を行ったが、その本質は人の心を変え働き方を変えることだった。価値基準を、それまで従っていたものから新しいものに変えるのに3年かかったと言うことだ。
この間に古きものの創造的破壊と新しいポリシーの種まき、肉付けを行っていった。その途中で旧来の価値観から様々な問題提起がなされ、旧体制からあらゆる抵抗があった(小説「あきらめの壁をぶち破った人々」に書かれていない部分も多々あります)。
この抵抗にあって、ほとんどの組織改革は失敗するのが通例である。ITを用いたBPR(業務改革)が本場米国でさえ1000に3つも成功例がないというのは、その事情をさしている。
大変なのは、反対勢力の抵抗があることだけではない。何より我々自身が、ゴールがどのような姿になるのか、そのビジョンを実感的に描けないことにあった。もちろん、理屈ではわかるし机上の絵は描ける。が、実感が伴わないのである。
それも当然だった。全員が未体験ゾーンだからだ。コンサルタントでさえ大枠(理念)を知ってはいても、その会社に応じた実体システムがどのようになるのかはわからない。「群盲象を撫でる」状況で、とても苦しかった。我々は赤ん坊であり、まだ背骨を持っていなかった。そこで、コンサルタントに次のように手紙で要求した。
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『そもそも外部の力を借りるのは、内部にいては身につけられない判断基準を植え付けてもらうことにあります。最初は借り物の基準であっても、討議によってその基準を肉付けしていくことができれば、やがて自分のものになっていきます。
コアメンバーが自らの判断に自信を持って自律的に動きはじめた時がコンサルタントの手を離れる時であり、システムが動き始める時でしょう。無理に離そうとすれば途方に暮れるか、かえってしがみつくだけです。逆にコンサルタントの判断基準を内在化したときには、いやでも勝手に手を離れて走り始めることでしょう。子育てと同じだと思います。
また、自分たちが判断できるようになる=成長する、ということであり、これこそがコアメンバーの動機づけになります。それは、会議が単なる実務遂行の労役ではなくなり、自己の知見を高め、もって判断能力を高めることのできる成長の場となるからです。自分を成長させてくれる場であれば、自ずと活性化してくるものです。
以上、相手を育成すべき子供と思って、もう少しコミットしていただければ幸いです』
【「あきらめの壁をぶち破った人々」より】
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というわけで、背骨のない我々の背骨モデルになってもらうことと、気持ちで関わってもらうことの2つを要求したのである。
私は医薬開発の専門家ではない。だから、システムの細かい部分は、それを使う当事者である専門家がコンサルタントという背骨に沿いつつ話し合って創り上げる必要がある。
私は、その全員が安心して心をさらけ出して話し合えるための土俵だった。同時に、頭の中には常にポリシー(方向性)のアンテナが張ってあるため、小さな発言でもポリシーに関わるものがあると見逃さずに土俵に乗せるし、ポリシーにそぐわないものが入ってきた場合は退けた。そういう意味で、私は土俵であると同時に見えない背骨=「環境」となっていた。
その中でメンバーはどんどん活性化し、組織が生き返り始め、ついには仕事の仕方を変える=業務全ての面において発想の仕方が変わる新たな枠組みができたのである。
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仕事の仕方が変わる=人の行動が変容する←これはカウンセリングのゴールだ。実は、この組織改革の過程は私が行っているカウンセリングの過程とよく似ている。
相談者の方は、インナーペアレンツに支配され、もしくは存在不安から逃れるために自ら無意識に構築した世界の中に棲んでいる。その世界を破壊しなければ自由な世界に出ていくことはできないのだが、背骨を持っていないために破壊することが怖い。
それに、インナーペアレンツや存在不安という“抵抗勢力”が徹底して抵抗してくる。
そこで私が環境となり、仮の背骨となって、私という土俵の上でとことん自分と闘ってもらう(大ざっぱに言えば、インナーペアレンツvsインナーチャイルドvs存在不安の3つどもえの闘いになります)。
私は、その人があるがままの自分にたどり着くまで、インナーペアレンツや存在不安に牽制球を投げ、インナーチャイルドを力づけ、環境となって見守るのである。
こうしてみると、私が会社でやってきたこと、家族に対して行っていること、個人に対して行っていることは皆同じと言うことがわかるだろう。
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尚、佐藤さんは私とのカウンセリングが始まる前に1年間鬱で苦しまれている。その期間も含めると、鬱になって一度回復し、続いて抑うつ神経症になり、そして完全回復まで3年かかっていると言うことだ。
組織改革も3年。
個人があるがままの自分に戻るのも3年。
「石の上にも3年」だ。