第4部-7、無視され続けたサイン
■7、無視され続けたサイン---------------------------
さて、諒少年は思春期に入って、今度は外形的な面からサインを出し始めました。
『思春期に入った頃から、背が伸びない、足が短いなどと、外形を気にし始めたという。「どうして、どうして」と訴えてくる長男とあけみさんが言い合いをしていると、祖父が出てきて「もういい加減にしてくれ」などということもあった』
「心身一如」という言葉がありますが、ストローク飢餓にあれば体も成長しません。正常な発育をしないことも、身体に現れた愛情欠乏のサインなのです(↓)。
●「18歳軟禁女性」と「スーザン」と「少年A」
現在では、「愛情遮断症候群」や「愛情遮断性低身長症」「愛情遮断性小人症」として知られています。
諒少年が訴えてくる「どうして、どうして」という言葉が切なくてなりません。彼は、「どうして僕の気持ちを無視するの。どうして僕の気持ちを聴いてくれないの」と訴えているのです。
しかし、そこに祖父が蓋をしに来ます。感情を封印しているこの家では、気持ちを聴かないことが暗黙の了解だからです。
弟は次のように証言しています。
『中学時代から年齢が三つ若い私より背が低いでしたし、周りの同級生から見ても、平均より低いくらいでしたので、この点のコンプレックスがあったのは事実だと思います』
『背の低さ、近眼であることを意外と自分自身で気にしており、中学の頃から、背を伸ばす機会やプロテイン飲料などを買ったりしておりました』
三つ下の弟でさえ、これだけ気になっているのに、親はどうだったのでしょうか。自分の力で何とか自分を伸ばそうと努力する諒少年が哀れです。
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