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第5部-4、現実を消去した父親

2009/06/12(Fri) Category : 仮面の家
第5部 帝国vsレジスタンス

■4、現実を消去した父親-----------------------------

勉強では自分を認めさせられなくなった諒君は、音楽に自分の居場所を見出そうとします。そして、高2の3学期から不登校となり、音楽を聞いたり作曲したりの生活に突入しました。

『私は長男の将来について絶望するやら、がっかりしてしまいました』と言い、『長男に「高校ぐらい卒業しておかないと」と、繰り返すだけ』のあけみさんは、いい家庭という虚構の枠組みが崩壊することしか嘆いていません。息子が自分たちの望むレールを逸脱したことへの嘆きなのです。

そして、『最後はほんとうに、追い出すようにして外へ出し』ていますが、長男は学校へは行かず、そのうち『もう布団から出ないで、もぐったままで最後はいました』という状況に追い詰めていきます。布団に立てこもる諒君の気持ちが思いやられますが、その諒君の気持ちなど考えもせず、ただ遮二無二レールに戻すことしか考えていません。

りょう先生もまた逸脱を認めようとしません。
『このときの親の態度はかなり粘り強く、言い聞かせたりしていた』と弟が述べています。りょう先生は、何としても自分の枠組みを押し付けようとしていたわけです。



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しかし、「いままで留年した人は例がない」と高校の先生に言われたりょう先生は、自ら退学届けを出しにいきます。かつて成績トップだった息子の留年という汚点をりょう先生は認めたくなかったのでしょう。そして、その汚点が高校初のことであり、かつその高校の歴史の中に残り続けることを認めたくなかったのでしょう。

そのため自主退学という形をとることで、その「現実」を“消去”しにいったのです。りょう先生は、息子が提供してくれた「現実」と向き合うチャンスを自ら葬り去ったのでした。

いかがでしょうか。
りょう先生は見方に寄れば、一見子どものために行動しているように見ることもできますね。しかし、人が行動するのは自分のためです。人は自分の人生脚本に沿って生きています。りょう先生は自分のシナリオ(人生脚本)にあってはならない事実を自主退学という形で消し去ったのです。



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りょう先生は、教職にある自分の子が中退するなんて辛い、と姉の前で“泣く”ほどの反応を見せました。ここで2つのことが分かります。

1)自分の人生がわが子の人生に依存していること

父子の人生が切り離されていません。子の挫折が自分の人生の挫折に直結しています。子のために泣いているのではなく、自分の構築してきた世界が崩壊することが悲しいのです。
この自分の姿を見て、自分がどれほど子どもにおんぶしてきたか気づくことができれば、諒君がくたびれ果てていることも分かったことでしょう。
 


2)両親には弱みをさらせないこと

りょう先生が泣いたのは、親の前ではなく姉の前でした。つまり、同居する両親に弱みは見せられなかったということです。なぜなら、りょう先生は両親に、特に自分が背負う母親に認めてもらいたくて頑張っているからです。「ほら、僕はいい家庭を作り、息子も優秀で頑張っているでしょ、褒めて」と、母親に認めてもらいたいのです。言い換えれば、母親に認めてもらうために妻子を自分の道具にしているということです。
実は、このように無意識に自分の親に認めてもらいたくて現家族を道具にし、結果子どもたちがボロボロになっている家庭はたくさんあります。その親たちの特徴は実家にはいい顔しか見せない、実家に相談しないことです。

もしここで母親に向かって泣き、母親に受け止めてもらえていれば、あるがままでいいんだということが分かって肩の力が抜けていたかもしれません。






【無意識に子どもを自分に同化している事例】
ロザンナさんへ-母親は父親にならなくてよいのです

【追い詰められた人間が事実を消すための行動の事例】
京都小6女児刺殺事件-(4)“事実を消す”ための殺人


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