第8部-3、檻から出よう
■3、檻から出よう---------------------------------------
一人の尊い命が失われました。
「命はあなたを生きている」
そう、命は、ただ“あなた”という個性を活き活きと生ききるために生まれてくるのです。命の使命は、ただ一つ。
活き活きと愛情豊かに生きること。
そのためには、
気持ちのままに生きること。
感情表現をするために、五感と肉体が与えられているのです。
自分の気持ちを抑え、ごまかし、あるいは殺して生きようとしても、その抑圧された感情は必ず衝動となってその人を突き動かし、結局、その人はゲームをし続ける人生を歩むことになります。そして、ゲームをし続ける限り、必ず犠牲者が現れるのです。
自分が関わる人に犠牲を出したくないのであれば、すべての人が自分のことを直視しなければなりません。
でも、直視できない人もいるのです。
自分から逃げ続けることで精一杯という人もいるのです。
この家族の物語を振り返ってみてください。
一人ひとりが懸命に生き方を模索していると言ってよいでしょう。
誰が悪いわけでもない。
しかし、このような結末に至ったのです。
大切なことは、気づくことです。
最も大切なことは、「親子であっても住む世界が違うことがある」ことに気づくことです。しかもそれは、互いが求めるものが互いの人生を奪うことになるくらい対極の世界に住んでいることに気づくことです。
「心なき」世界に住む住人にとって、心を求められることは恐怖です。
「心ある」世界に住む住人にとって、心をなくすよう迫られることは地獄です。
「心ある」者は、「心なき」世界にとどまろうとする限り、圧力と孤独を感じ続けることになります。「心なき」世界に住む親の心を開かせようとすることは、その親にとって人生を失う死活問題にさえなるのです。
ですから、「心ある」者は、心ある世界に立ち去るしかないのです。
そこは愛に満ちあふれています。
あなたは、心がある―それだけで、既に愛にあふれた人なのです。
だから、すぐに「心ある」世界の住人になることができます。
そして、親の人生は親の人生として遠くから見守るしかないのです。
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【鬼束ちひろ 「Cage」】
さぁ、檻(Cage)から出ましょう。
檻の中にいる限り、あなたの心は無意識にバリアを張り続け、エネルギーを浪費して疲れ果てていきます。解けない答えを求めて思考は無限ループし、ぶつけようのない怒りと悲しみは五体を蝕みます。思考も心も身体も、クタクタに朽ち果てていくのです。
夢を見ることさえ奪われて、親や親族や近所にいいように引きずりまわされて全身傷だらけ。でも、まだ使ったことがないその羽根は、実は飛べるんです。
いろいろとレッテル貼りされて、羽根は飛べないと思いこまされているだけ。無用の長物と思いこまされているだけ。レッテルを剥がし、自分を取り戻せば、自由の空を存分に羽ばたくことができます。
ただ、自信は自分だけでつけられるものではない。
だから、私が言いましょう。
「あなたは、間違っていない」
「あなたの周りの全てが狂っているんです」
「あなたは、一人ではありません」
そして、あなたを遠くへ逃がすのは、
神様ではなく、
あなた自身の決意です。