パワーバランス解消モデルを世界に提示した武装解除人 伊勢崎賢治さん(2)
2009/08/24(Mon) Category : 人物
伊勢崎さんのプロフィールが面白いので、同じく「魂の仕事人」シリーズから紹介したい。
■建築家は、日本では有益性がない-------------------------
『元々は画家とか音楽家になりたかった』という伊勢崎さん。
それじゃ食えないと言うことで、ならば“芸術の一分野”の建築へ。が、
『そもそもこんな狭い島国なのに1級建築士の数が多すぎる。おかしいですよね。こんなにいらない』
『運よくなれたとしても作るものは巨大な公共建築物。建築費、維持費は市民の血税。でも年間どのくらいの人に使われるのだろうかと考えると血税の無駄遣いにしか思えない』
―同感。医療費削減のために医師を減らすという暴挙に出た国。建築士を減らさずにハコモノを作り続ける国。政治が、もはや国の舵取りができていない。
『建築家って、果たして社会の役に立ってんのかな? っていう疑問がだんだん膨らんできて。迷惑なものを作ってるだけなんじゃないかな? ってね。要するに建築家といっても日本では有益性がないことに気づいてしまったんです』
『今は「ビフォーアフター」なんて番組もあって、僕の同級生も出てるけど、見てると複雑な思いですよね。当時は非常に優秀なやつだったんです。でも、こんなもんかと(笑)。もう僕ら48歳ですからね。「ビフォーアフター」は良い番組ですけど、せっかく建築を学んだのに、もう少し大きなことやってもいいんじゃないのかなって』
では、都市計画は?
『結局「都市計画」といっても日本やアメリカなんかの物質的に満たされた先進国で暮らす人のための学問だったんです』
■インドで住民運動--------------------------------------
で、建築を諦め、ひょんなことからインド留学。
『コミュニティ組織論は後でものすごく役に立ちましたね。人々を説得する方法、交渉の仕方、住民を横につなげる技術、それら話術で民衆を動かすテクニック、住民先導術を学んでました。ボンベイ大学はこの学問に100年の歴史がありますからね』
『ソーシャルワークを学ぶうちに、「世の中を変えるんだ!」みたいな気持ちになっちゃった』
そして、『スラム街で生活しつつ、住民運動を指揮』
『市当局に対して、さまざまな不当命令に対する抗議デモ、法廷闘争などで、徹底的に戦ったんですが、ハデにやりすぎたせいかインド政府公安部からマークされて、国外退去命令を受けちゃった。それでしょうがないから帰国』
■シエラレオネで国作り----------------------------------
いわゆる国外退去を受けたあぶれ者である。
『PLAN INTERNATIONALっていう国際NGO』から声がかかり、内戦中のシエラレオネに行かされる。
『年間の国家予算が30億円くらいで、僕の事務所に割り当てられていた予算が数億円でしたからね。僕らがいないと政府が動かないって状態』の中で、『学校設置、職業訓練などの教育事業、診療所、病院設置などの医療事業、灌漑設備や種子倍増などの農業事業など、貧困削減につながる開発をすべてやった』
■天下り官僚に見切り-----------------------------------
帰国後は、前途洋々、所属していた同じNGOの日本支部「フォスター・プラン」に就職するが…
『フォスター・プランっていうのは、財団法人なんです。天下りの温床といわれている悪名高き公益法人(笑)』
『不可避的に、元官僚を理事に入れなきゃいけない。その連中と僕はぶつかっちゃったわけですよ』
当時「子どもの権利条約」を批准した直後の日本。
『理事の何人かが僕に噛み付いてきたわけですよ。「権利とは何ごとだ? 権利なんて言うキミはアカか?」ってね(笑)。「権利」っていうのはアカが使う言葉なんですって。それは青天の霹靂でしたよ。はあ、こうなのか……と(笑)』
『こっちはNGO魂=反体制ですからね。認識のギャップは大きすぎて埋まらなかった。だから8カ月で辞めたんです』
『世界で最も優良な評価を得ているこの国際NGOも、日本に支部をつくるとなると、頭の硬直化した元官僚の年寄り連中を理事にしなければ社会的地位が得られない。悲劇ですね』
―天下りの害の本質ここにあり、という感じだ。税金で、それらの人間を養うという無駄だけではない。優秀な人間をつぶし、やるべきことができなくなってしまい、ひいては日本が世界に貢献できないと言うことなのだ。
■組織に対する姿勢-------------------------------------
『組織は目的をもって作られますよね。それが大きくなってくると、組織の運営・存続自体が目的化しちゃう場合があるでしょ? 組織が間違ったことをしてると思っていても、その存続のために見て見ぬフリをしなくちゃいけない、とか。そういった個人のミッションと組織のミッションに食い違いが起きる場合もありますよね。組織が大きくなればなるほどそういう傾向は強まる。そうなったときに、潔く組織から出ていくということを、いつでも瞬時に決断できる状況にいました。もちろん今も、これから先もそれは変わらないでしょうね』
お見事です!(拍手)
■建築家は、日本では有益性がない-------------------------
『元々は画家とか音楽家になりたかった』という伊勢崎さん。
それじゃ食えないと言うことで、ならば“芸術の一分野”の建築へ。が、
『そもそもこんな狭い島国なのに1級建築士の数が多すぎる。おかしいですよね。こんなにいらない』
『運よくなれたとしても作るものは巨大な公共建築物。建築費、維持費は市民の血税。でも年間どのくらいの人に使われるのだろうかと考えると血税の無駄遣いにしか思えない』
―同感。医療費削減のために医師を減らすという暴挙に出た国。建築士を減らさずにハコモノを作り続ける国。政治が、もはや国の舵取りができていない。
『建築家って、果たして社会の役に立ってんのかな? っていう疑問がだんだん膨らんできて。迷惑なものを作ってるだけなんじゃないかな? ってね。要するに建築家といっても日本では有益性がないことに気づいてしまったんです』
『今は「ビフォーアフター」なんて番組もあって、僕の同級生も出てるけど、見てると複雑な思いですよね。当時は非常に優秀なやつだったんです。でも、こんなもんかと(笑)。もう僕ら48歳ですからね。「ビフォーアフター」は良い番組ですけど、せっかく建築を学んだのに、もう少し大きなことやってもいいんじゃないのかなって』
では、都市計画は?
『結局「都市計画」といっても日本やアメリカなんかの物質的に満たされた先進国で暮らす人のための学問だったんです』
■インドで住民運動--------------------------------------
で、建築を諦め、ひょんなことからインド留学。
『コミュニティ組織論は後でものすごく役に立ちましたね。人々を説得する方法、交渉の仕方、住民を横につなげる技術、それら話術で民衆を動かすテクニック、住民先導術を学んでました。ボンベイ大学はこの学問に100年の歴史がありますからね』
『ソーシャルワークを学ぶうちに、「世の中を変えるんだ!」みたいな気持ちになっちゃった』
そして、『スラム街で生活しつつ、住民運動を指揮』
『市当局に対して、さまざまな不当命令に対する抗議デモ、法廷闘争などで、徹底的に戦ったんですが、ハデにやりすぎたせいかインド政府公安部からマークされて、国外退去命令を受けちゃった。それでしょうがないから帰国』
■シエラレオネで国作り----------------------------------
いわゆる国外退去を受けたあぶれ者である。
『PLAN INTERNATIONALっていう国際NGO』から声がかかり、内戦中のシエラレオネに行かされる。
『年間の国家予算が30億円くらいで、僕の事務所に割り当てられていた予算が数億円でしたからね。僕らがいないと政府が動かないって状態』の中で、『学校設置、職業訓練などの教育事業、診療所、病院設置などの医療事業、灌漑設備や種子倍増などの農業事業など、貧困削減につながる開発をすべてやった』
■天下り官僚に見切り-----------------------------------
帰国後は、前途洋々、所属していた同じNGOの日本支部「フォスター・プラン」に就職するが…
『フォスター・プランっていうのは、財団法人なんです。天下りの温床といわれている悪名高き公益法人(笑)』
『不可避的に、元官僚を理事に入れなきゃいけない。その連中と僕はぶつかっちゃったわけですよ』
当時「子どもの権利条約」を批准した直後の日本。
『理事の何人かが僕に噛み付いてきたわけですよ。「権利とは何ごとだ? 権利なんて言うキミはアカか?」ってね(笑)。「権利」っていうのはアカが使う言葉なんですって。それは青天の霹靂でしたよ。はあ、こうなのか……と(笑)』
『こっちはNGO魂=反体制ですからね。認識のギャップは大きすぎて埋まらなかった。だから8カ月で辞めたんです』
『世界で最も優良な評価を得ているこの国際NGOも、日本に支部をつくるとなると、頭の硬直化した元官僚の年寄り連中を理事にしなければ社会的地位が得られない。悲劇ですね』
―天下りの害の本質ここにあり、という感じだ。税金で、それらの人間を養うという無駄だけではない。優秀な人間をつぶし、やるべきことができなくなってしまい、ひいては日本が世界に貢献できないと言うことなのだ。
■組織に対する姿勢-------------------------------------
『組織は目的をもって作られますよね。それが大きくなってくると、組織の運営・存続自体が目的化しちゃう場合があるでしょ? 組織が間違ったことをしてると思っていても、その存続のために見て見ぬフリをしなくちゃいけない、とか。そういった個人のミッションと組織のミッションに食い違いが起きる場合もありますよね。組織が大きくなればなるほどそういう傾向は強まる。そうなったときに、潔く組織から出ていくということを、いつでも瞬時に決断できる状況にいました。もちろん今も、これから先もそれは変わらないでしょうね』
お見事です!(拍手)