「すべては宇宙の采配」-農業維新の志士、木村秋則さんの思い
自然の摂理(宇宙の法則)に従って生きようとする人には奇蹟が訪れる―そう、思った。
完全無農薬で、小さくしぼみはしても2年間も腐らないままの「奇蹟のリンゴ」を作っている木村秋則さんの半生記です。
![]() | すべては宇宙の采配 (2009/07) 木村 秋則 |
■かまど消し-------------------------------------------
婿養子に入った木村家で、秋則さんはリンゴ作りを始めますが、農薬に弱い妻のことを考えているときに、アクシデントから出逢った本が福岡正信さんの「自然農法」。(←このアクシデントも神懸かり的)
お~、出ましたね自然農法。
1997年、39歳の当時、私は正午(40歳)からの人生の本番をどう生きるかに当たって、「人を相手に生きていくか、自然を相手に生きていくか」迷っていました。
http://www.jiritusien.com/counselling/conikki-04.htm
当時、読んだ新聞記事―「川口さんは青年時代、化学肥料や農薬を多用し多収穫をあげてきた。だが78年ごろ、肝臓を病んで寝込んだことから自然農法に転換。3年目からは収穫も出るようになった」―これに惹かれたのです。もちろん、自然農法の創始者は福岡正信さん。結局私は、「人」に決めて、40歳からカウンセリングの勉強を始め、今日に至るわけです。
さて、木村さんの無農薬への挑戦が始まるわけですが、農薬漬けだった畑は地力が低下しているため、農薬で無菌状態を保ってようやく生きながらえているようなもの。そこで農薬をやめたものだからどーにもこーにもなりませんでした。
いわば歯槽膿漏の歯茎の部分がダメになっているから、木に何を施してもうまくいかないのですが、そこに気づかないままに年月が過ぎ、いつしか「かまど消し」と呼ばれるようになります。
■真実は見えないところにある------------------------------
無農薬栽培を初めて7年―ついに畑は差し押さえられ、人に避けられるようになり、無口になって引きこもります。そして首を吊るつもりで入った山で、奇跡的に気づくのです。(←気づきにいたるアクシデントも神懸かり的)
「土を作ればいいんだ!」
地上に見えるところばかりにとらわれ右往左往していた木村さんが発見したのは、リンゴの木ではなく、その木を育む「土」でした。化学肥料を入れるとバクテリアが死にます。今、木村さんの畑は白神山地の原生林と共通するほどになっているそうです。
木村さんの神髄は、「自然を生かして生きる」
背中をぽんと押して、自然のパワーを発揮させるのです。木村さんのやっていることは、自然のコントロールではなく、自然の思いを受け止め開花させるカウンセリングでした。
実際に、技術的なことの他に木村さんは動植物に声がけもしています。その言葉の波動が、まるでテレパシーのように動植物はおろか金属にまで伝わっている不思議なエピソードの数々。
龍神を見たり、宇宙人を見たり、UFOに招かれたり、幽霊を見たり、果ては幽体離脱してあの世まで見てきたり…そして、出てくる曼荼羅―この辺の話もとても興味深いものでした。
■連鎖を断つ孤独な闘い----------------------------------
木村さんは、大地の悪しき連鎖を断ち切りました。
農薬肥料がなければできる“はず”がないという連鎖の中に棲む者(共依存者)たちは、敬遠し、馬鹿にし、さげすみ、病害虫の巣で迷惑だと糾弾し、果ては実家からも絶縁されます。
気づくまでの7年+実るまでの3年―ここにも3年、7年の法則が見られますね。さて、孤立して、孤独な10年の闘いを経て、ようやく実ったときには、今度は逆襲を受けます。肥料業界からつるし上げを食らったのです。
私は、まさに自律を獲得するためのIP(インナーペアレンツ)と人生脚本連合軍との戦いを見る思いでした。
農薬肥料を使う“べき”と言うIPを排除はしても、土を無視した上で成立している自分の人生脚本にはなかなか気づきません。IPとの闘いのみに気をとられて追い詰められていった7年間は、自身の人生脚本に気づくために必要な期間でもありました。
そして、3年かかって自分が思いのままの行動を達成したときに、IPから痛烈な逆襲が来ます。これまた、自己との闘いを続けていらっしゃる多くの方が経験されていることです。
このすさまじい闘いを大地を土俵にして木村さんは闘ったのだと思いました。木村さんの闘いは、今一人で闘っていらっしゃる方すべての参考になります。
■それは「生きる自由」を求める闘い-------------------------
彼は、「自由」を求めました。「栽培の自由」です。
「自由に生きる」ことを求めた坂本龍馬と同じ。
おー、木村秋則さんは平成の坂本龍馬だ―そう、思いました。
しかし、自由に生きるためには、支配と服従の上に成り立つ幕藩体制をぶち壊さなければなりませんでした。そのためには、まず自分自身がフリーな立場に身を置かなければなりません。それこそが自分の立ち位置を明らかにするということです。
【坂本龍馬の思い】
が、自由を求めた坂本龍馬が「脱藩者(非国民)」と糾弾されたように、共依存体制の中で自由を求めることは“わがまま”と見なされます。体制ができ、役割分担ができてしまうと、その歯車から逸脱することが“わがまま”に転倒するのです。
つまり、共依存社会は、自律を目指すという人間としてごく当たり前のことが“わがまま”とレッテル貼りされる本末転倒した社会なのです。…忌野清志郎の「自由」という歌が響いてきます。
【すべての奴らに気持ちの自由を!】
彼は、その中で10年間孤独に闘いました。しかし、言います。
『だれも理解してくれない、その間に根っこがいっぱい広がっていった』
そう、皆さんも今自由を求めて闘っていらっしゃいます。
そして、今の孤独なときに根っこがいっぱい広がっているのです。
だからこそ、しっかりと立つことができるのです。
■新時代の農業の枠組みの構築---------------------------
龍馬が「船中八策」で新しい国の形を示したように、木村さんが成し遂げたことは、農業に対する概念のコペ転―まさしく、農業維新の枠組みを構築したと言っていいでしょう。
【中央集権体制の作られ方】
地域社会、業界全体を敵に回しての闘いですから、サポーターがいなければ戦えなかったでしょう。いろいろなサポートがありました。中でも、このように大きな改革をするときに必要な要素は二つあります。
【体制を変革する際の最も重要な役割】
1つは、背中を押す者。
1つは、アンシャンレジーム(旧体制)の盾となる者です。
「一生は一回しかないんだから、悔いのない一生を送れ」と言ってくれた実母が背を押す人です。
そして、婿に迎えて世間の冷たい視線にさらされ、癌になりつつも守り通してくれた養父母が盾です。
■危機=ピンチ(危)+チャンス(機)--------------------------
いろいろな人の力で、木村さんは新たな時代を確かに切り開きました。時代が今の社会システムのままでは行き詰まってパラダイムの転換をしなければならない崖っぷちに来ているとき、このような方が現れます。
家族カウンセリングを通して思うことは、危機=ピンチ(危)+チャンス(機)であるということ。崖っぷちのピンチにまで追い込まれなければ、人は生き方を変えようとはしません。変えるためには、それまでのすべてを無くしてしまうという、とても辛い自分との闘いが待っているからです。だからこそ、崖っぷちに立つ人は自分を変えるための、生き直すためのチャンスを手にしているのです。
パラダイム転換前の崖っぷちに立つ現代という時代も同じ。
黒澤明が「人類は今、崖っぷちに立っている」と言ったように、夜明け前の闇がとても暗く深いように、今まさに深い闇が覆っています。
が、それは新たな時代の夜明け前だからです。
■自分の勘を信じよ--------------------------------------
それが見えない人も多いでしょう。
でも、これもカウンセリングを通して言えること。それは、
人は心で思ったことを現実化して生きているということです。
その心を意識していようといまいと、すべての人が心の現実を生きています。
支配と服従の人間関係しか知らない人は、パワーバランスの信者となってミリタリーバランスの世界を生きるでしょう。しかし、いずれその世界は崩壊に向かうでしょう。
自律した人同士の素晴らしい人間関係を知っている私の目には、その世界は虚構にしか見えません。そこで生きながらえたとしても、私にとってそれは「生きた」ことにはならないのです。
その世界の住人と議論することは、私にとっては無意味であり、何よりつまらないのです。せっかく肉体を持って生まれた短い人生を、つまらぬ議論に時間を費やして生きたくはありません。
私にとっては、ダーウィンの唱える「弱肉強食」の世界ではなく、木村秋則さんが体現した「共生」の世界に真実を感じます。それは支配と服従のバランスの上に立つ「共依存」の世界ではなく、互いが「自律」し自由を謳歌し、だからこそ共存共栄できる世界です。
このことを字面ではなく、そういう世界を実現できると実感するのです。それは、現実に、ハラスメント界で苦しまれていた人が自律され、その世界から抜け出て楽に生きていく姿をこの目で見ているからです。
それに、多くの人も既に、優劣や比較や成果や成績など、人生にとって無意味と思っています。あとは、自分と闘うほんの少しの勇気があれば一抜けできるのです。
【時代は、がばいばあちゃんを求めている】
今激変の時代にあって、改めてあの2.26以降の最前線を生き残った方の言葉を記します。
「自分の勘を信じよ」
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今、孤独の中に苦しまれている方々。
あなたがたこそが、次代を担います。
人の表層(外面や思考)をいじくっても幸せにはなれません
人の内面(思いや行動)が変わらなければ幸せにはなれません
その変わるための、最も過酷な自分との闘いを今されているのです。
まずは、是非、ご一読ください。
【木村秋則氏インタビュー】