子育て心理学:第3部 7)人がディスカウントされる場が「崩壊基地」
第3部-家庭という「場の機能」(家族機能編)
■7)人がディスカウントされる場が「崩壊基地」
前項で、マイナスのストロークが多く、「癒しと回復」の機能がない家庭のことを「機能不全家族」と呼びました。そこは、子どもにとって「危険基地」であり、逃げ出したり、攻撃的防御や自閉的防御で身を守ったりしなければなりませんでした。
しかし、さらにひどい環境があります。それは、虐待やDVなど身を守るすべさえないような環境です。このような環境を、私は、モラルが崩壊しているという意味で「崩壊基地」と呼んでいます。
まずは、「モラルとモラール」についてご覧ください。
崩壊基地で行われていることは、「ディスカウント」です。
ディスカウントとは「価値を値引くこと」(ディスカウントセールという言葉でおなじみですね)。人に対しては、人の数(カウント)に入れない。つまり、人を人扱いしないと言うこと。人格否定。人権を無視するということです。
・精神的ディスカウント
皮肉、嫌味、けなす、仲間はずれ、無視(精神的殺人)
・肉体的ディスカウント
突き飛ばす、殴る、蹴る、殺す
マイナスのストロークとディスカウントの違いは、
マイナスのストロークは、否定的であるにせよその人の存在を認めているのに対して、ディスカウントは、相手を人として認めていないということです。

精神的暴力、肉体的暴力を問わず、暴力の本質はディスカウントです。
“かわいがり”かリンチかが問われた時津風部屋。その閉塞空間で行われていたことはディスカウントであることがおわかりだと思います。また、「日勤教育」がなされていた現場、秋葉原通り魔事件の被告がいた家庭、短大生遺体切断事件のあった家庭などもディスカウントの場(崩壊基地)であったことがおわかりだと思います。
<時津風部屋暴行致死事件>
(1)心の叫び
(2)モラルの崩壊したDV部屋
(3)強大な支配下でいじめは過激になる
(4)価値閉塞空間となった角界
★ディスカウント---------------------------------------
【discount】
dis-侮辱, 軽蔑, 非難、非・反・不・無を表す接頭語
dis・count 軽んじる
【ディスカウントの定義】
『現実、他者、自分自身の状況の、ある様相を無視したり軽視したりする』心のメカニズムや行動。気づかないままになされることが特徴。
『相手の存在やその価値に対して本当の関心が欠如していることのあらわれ』
【ディスカウントの3領域】
現実の状況、他者、自分自身
【ディスカウントの4フェーズ(様相)】
1.問題の存在そのものをディスカウントする
→問題は、ない。
2.問題の意味をディスカウントする
→問題は、大したことない。
3.問題の解決可能性をディスカウントする
→問題は、どうしようもない。
4.問題解決の能力をディスカウントする
→問題に、取り組む能力がない。
【ディスカウントされた人の4行動】
1.何もしなくなる
現実の状況、他者、自分自身の全てをディスカウントする
2.過剰適応
他人の言うこと、やることに追従する
3.そわそわする
目的のない行動を繰り返し行う
4.感情爆発
ストレスを一挙に放出。外に向かえば、暴力的、破壊的となり、内に向かえば、失神、嘔吐など。
【ご参考】
・ディスカウントされた子供ネロ
・仮面の家 第5部-3、「ディスカウント」vs「傲慢」
・「18歳軟禁女性」と「スーザン」と「少年A」
・躾と教育と体罰について
★ディスカウント
★崩壊基地
★モラルとモラール