子育て心理学:第4部 4)「ストローク欠乏」が「代償行為」を求める
第4部-「心の食生活(生活習慣病)」に気をつけよう(ストローク編)
■4)「ストローク欠乏」が「代償行為」を求める
さて、前項の絵では「ストロークの壷」の中に、「良い食べ物」(プラスのストローク)であれ「悪い食べ物」(マイナスのストローク)であれ、たくさん入っていましたが、食べ物が十分に与えられずに、いつもひもじい思いをしている状況もあります。このようにストローク(心の食べ物)が不足している状態を、「ストローク欠乏」と呼びましょう。
心がどこかひもじい思いをしていると、人は何かでその埋め合わせをしようとします。その事例を幾つか見てみましょう。
1.「ストロークの壷」を埋める代わりに胃袋を埋める---------------
ストローク欠乏にある人が異様にものを食べることに気づかれている人もいるでしょう。食欲と言うよりも、もっと何か無意識的な感じ。ガランとした空き倉庫の中にとにもかくにも食糧を詰め込んでいくかのような無機的な感じ。その詰め込み方は尋常ではありません。そう、「千と千尋~」で豚にされてしまった親が無心に肉に食らいついていたように。
このように、自分が得られない欲求を他の欲求で埋め合わせすることを「代償行為」と言います。
一方で、心が満足していれば、食べ物に対する執着が減ることを実感している方も多いでしょう。
心が飢えていれば、体がその飢えを食べ物で補給しようとし、
心が満ちていれば、体も食べ物への執着をなくす。
心身はバランスしていると、つくづく思います。
2.自分の周りの空間を埋める--------------------------------
『金持ちは、カネで購入したモノで空間を埋め尽くし、
貧乏人は、タダで集めたモノで空間を埋め尽くしているだけのこと。 』
【ゴミ屋敷とゴミの国】
3.心の空洞を見ないように隠す-------------------------------
『なるほど…彼は存在不安の孤独の穴を、檻に入れられたゴチャゴチャした思いで隠していたわけだ』
【男も出産する=ICの誕生―(4)現れた心の穴】
4.心の空洞を見る時間を持ちたくないため時間を埋める------------
『馬車馬みたいに働き者、朝から晩まで体を動かし続ける、手を動かしていないときがない、寝ている姿を見たことがない、常に何かをしている等々』
【存在不安がある人の時間の構造化の仕方】
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このように、ストローク欠乏のある人は、心の空洞を食やモノや行為で埋めていこうとします。しかし、それらすべてのことは代償行為でしかありませんから、心の空洞がなくなることはありません。まるで永久機関のように貪欲にむさぼり続けていくのです。
これまでの一般的な心理の見方では、人間の欲は根源的なもので、しかもそれが悪のように扱われていました。しかし、私は本来の人間は欲にまみれた生物だとは思っていません。自然界の一部ですから。
ではなぜ、欲に翻弄され続けているように見えるのか。その根っこにあるのは上記のようにストローク欠乏だと思います。そして、この欠乏欲求の文明を維持している極めて巧妙な“仕組み”が社会にビルトインされてしまっています。
たとえば、生後すぐに両親から赤ちゃんを引き離すこと。私は、産婆さんによる在宅出産が復活すればいいと思っています。
【ハグする文化の逆説的意味】
代償行為で埋められていく人間の人生という時間。そして、地球という空間。一体、文明社会で生きるということは、どういうことなんでしょうね…。「マトリックス」はリアルな映画だなぁ、とよく思います。
【「欠乏欲求」の国アメリカ】
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皆さんも、何かの行動をするとき、その行動の思いの原点はどこにあるのか―そこを常に注視してください。行動を起こすときに「思考」はさも現実的な理屈をあれやこれやとつけますが、自分の頭にだまされずに気持ちの根源を見つめることです。
自分を動かす思いの根っこに「不安」や「恐れ」があるのであれば、必ずその行動は人を道具にし、共依存を生み出していきます。そうやって創り上げられたのが、今の文明社会なのです。人を道具にしあう社会に未来はありません。なぜなら、それは自然の摂理に反するからです。
この社会を持続可能な社会に変えていけるのかどうかは、ひとえに私たち一人一人が「自分とどう向き合うか」にかかっています。
あなたが自分と向き合うこと=地球を救うことなのです。
★ストローク欠乏
★代償行為
*さらに「ストローク飢餓」に陥った人は?