子育て心理学:第5部 2)一人前の条件は健全な「PAC」が揃うこと
2010/01/08(Fri) Category : 心理学
【子育て心理学】
第5部-子どもに「何を」育てるのか?(自我形成編)
■2)一人前の条件は健全な「PAC」が揃うこと
さて、単純化して言えば、赤ちゃんにはPとAがまだありません。そこで、親がその部分を教えなければなりません。つまり、育てるとは、子供の中にPとAを健全に発達させることなのです。

両親が教える内容に役割分担があるわけではありませんが、形式的に分けるとすれば上図のようになります。子はそこから学んで、自分の中にPとAを育てていき、PACが自分の中にそろうと、その社会で独り立ちできるわけです。
上記でわかるとおり、子供が発達させなければならない親の自我(P)は2つあります。交流分析では、それを次のように呼びます。
CP(Critical Parent:批判的な親)
NP(Nurturing Parent:養育的な親)
A(Adult)は、現実に行動するために冷静に判断する部分といってよいでしょう。
-------------------------------------------------
ところで、「PとAを健全に発達させる」と冒頭に書いたのは訳があります。不健全に発達させることもよくあるからです。何事も表裏一体。CPとNPの別の側面を見てみましょう。
CP―権威・厳格・懲罰・非難・批判・説教・封建
NP―過保護・過干渉
例えば、次のような親に育てられるとどういう性格が形成されるのかを図式的に見てみましょう(いろいろなパターンがありますので、下記は原因→結果のように一義的に対応しているものではありません)。
・権威的な親→反抗的な子
・厳格な親→感情抑制的な子
・懲罰的な親→自責的な子
・非難的な親→悲観的な子
・批判的な親→消極的な子
・説教的な親→懐疑的な子
・封建的な親→迎合的な子
・過保護な親→依存的な子
・過干渉な親→無責任な子
このように親の不自然な姿勢によって、子どもの側にいろいろとひねくれた感情姿勢が育ちます。この子どもの側に新たに生み出されていく適応姿勢をAC(Adapted Child アダプティッドチャイルド)といいます。
子どもはこのように、自分の中にACを育てていきながら、体は親のやり方を覚えていくことになります。つまり、上記右側の姿勢を作っていきながら、体は上記左側のやり方も覚えるということです。そのため、上記の対で書かれている感情姿勢は一人の人の中に同居することになるのです(それを表現するかどうかは別として)。
よーく自分の中を見てみてください。右側の自分は認識しやすいですが、対になっている左側の自分もどこかに潜んでいるはずです。そこに気づかなければ、自分が親になったとき無意識のうちにわが子などに同じ事をするようになってしまうのです。
このややこしい自分(^^;)を変えていくには、これまで受け止めてこなかったIC(感情)を感じ表現して心のコップを軽くしていくこと。自分の生育歴を振り返る中で、どのようにIP(ドライバー&禁止令)が植え付けられたかを知り、それらに「許し」(そうでなくていいんだよ、という許可)を与えていくこと。
そうする中で、ACは解放されてFC(フリーチャイルド)に戻っていくでしょう。つまり、上記右側の部分が解消されていくわけです。すると、左側の部分も手放すことができます。残るのは、生まれたときのあるがままの自分です。
【参考】
フロイト的に言えば、
Cが、欲求の源泉であるリビドー、
Pは、その欲求を現実原則に従わせようとするスーパーエゴ、
Aは、リビドーとスーパーエゴの狭間で葛藤しつつ行動を選択する部分ですので、エゴということになります。
上記の他にも、“劣等感情”→“OKじゃない感じ”、“代償感情”→“ニセの感情”のように、バーンは精神分析用語を日常の言葉に置き換えました。このように、フロイトの精神分析をわかりやすくしたイメージもありますので、交流分析のことを「口語体の精神分析」と言われることがあります。
第5部-子どもに「何を」育てるのか?(自我形成編)
■2)一人前の条件は健全な「PAC」が揃うこと
さて、単純化して言えば、赤ちゃんにはPとAがまだありません。そこで、親がその部分を教えなければなりません。つまり、育てるとは、子供の中にPとAを健全に発達させることなのです。

両親が教える内容に役割分担があるわけではありませんが、形式的に分けるとすれば上図のようになります。子はそこから学んで、自分の中にPとAを育てていき、PACが自分の中にそろうと、その社会で独り立ちできるわけです。
上記でわかるとおり、子供が発達させなければならない親の自我(P)は2つあります。交流分析では、それを次のように呼びます。
CP(Critical Parent:批判的な親)
NP(Nurturing Parent:養育的な親)
A(Adult)は、現実に行動するために冷静に判断する部分といってよいでしょう。
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ところで、「PとAを健全に発達させる」と冒頭に書いたのは訳があります。不健全に発達させることもよくあるからです。何事も表裏一体。CPとNPの別の側面を見てみましょう。
CP―権威・厳格・懲罰・非難・批判・説教・封建
NP―過保護・過干渉
例えば、次のような親に育てられるとどういう性格が形成されるのかを図式的に見てみましょう(いろいろなパターンがありますので、下記は原因→結果のように一義的に対応しているものではありません)。
・権威的な親→反抗的な子
・厳格な親→感情抑制的な子
・懲罰的な親→自責的な子
・非難的な親→悲観的な子
・批判的な親→消極的な子
・説教的な親→懐疑的な子
・封建的な親→迎合的な子
・過保護な親→依存的な子
・過干渉な親→無責任な子
このように親の不自然な姿勢によって、子どもの側にいろいろとひねくれた感情姿勢が育ちます。この子どもの側に新たに生み出されていく適応姿勢をAC(Adapted Child アダプティッドチャイルド)といいます。
子どもはこのように、自分の中にACを育てていきながら、体は親のやり方を覚えていくことになります。つまり、上記右側の姿勢を作っていきながら、体は上記左側のやり方も覚えるということです。そのため、上記の対で書かれている感情姿勢は一人の人の中に同居することになるのです(それを表現するかどうかは別として)。
よーく自分の中を見てみてください。右側の自分は認識しやすいですが、対になっている左側の自分もどこかに潜んでいるはずです。そこに気づかなければ、自分が親になったとき無意識のうちにわが子などに同じ事をするようになってしまうのです。
このややこしい自分(^^;)を変えていくには、これまで受け止めてこなかったIC(感情)を感じ表現して心のコップを軽くしていくこと。自分の生育歴を振り返る中で、どのようにIP(ドライバー&禁止令)が植え付けられたかを知り、それらに「許し」(そうでなくていいんだよ、という許可)を与えていくこと。
そうする中で、ACは解放されてFC(フリーチャイルド)に戻っていくでしょう。つまり、上記右側の部分が解消されていくわけです。すると、左側の部分も手放すことができます。残るのは、生まれたときのあるがままの自分です。
【参考】
フロイト的に言えば、
Cが、欲求の源泉であるリビドー、
Pは、その欲求を現実原則に従わせようとするスーパーエゴ、
Aは、リビドーとスーパーエゴの狭間で葛藤しつつ行動を選択する部分ですので、エゴということになります。
上記の他にも、“劣等感情”→“OKじゃない感じ”、“代償感情”→“ニセの感情”のように、バーンは精神分析用語を日常の言葉に置き換えました。このように、フロイトの精神分析をわかりやすくしたイメージもありますので、交流分析のことを「口語体の精神分析」と言われることがあります。