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自由からの逃走―(1)存在不安と役割喪失不安

2010/05/20(Thu) Category : 自律(自由と責任)への道
さて、前項で第二の誕生後に転んだ時を「第一の関門」と書きました。ということは、第二の関門があるの? と思った方―そーなんです。あるんです(^^)

第二の誕生とは、ブラックホール(共依存界、ハラスメント界)からオンギャーと生まれ出ることが出来たということ。だから、とてもおめでたいのです。でも、赤ちゃんが生まれた直後はまだ母体とつながっていますよね。そう、へその緒です。

このへその緒を切って、「呼吸の仕方」という生きる上での根本メカニズムを変えて初めて“外”の世界で生きていくことができます。つまり、大気の中で生きるときは、羊水の中にいたときの生きる方法論をすべて捨てて抜本的に切り替えなければなりません。

この切り替える瞬間は呼吸も止まって、死ぬのではないかと、とても怖い思いをするのではないでしょうか。そして時に産婆さんがピシッと叩いて刺激を与えて「オンギャー」と初呼吸(初発声)ということもあるわけですね。

第二の誕生後も、この時と同じ恐怖が待っていることがあります。




★独り立ちするときに襲う二つの不安-----------------------------

図を見てください。第二の誕生をしたということは、ブラックホール(共依存界、ハラスメント界)から抜け出せたと言うことでとてもおめでたいのです。が、まだ赤いへその緒がくっついていますね…。

jiritu-kyoizon3


生まれたのにへその緒がついたままだと赤ちゃんは死んでしまいますよね。第二の誕生後も同じく、へその緒がついたままだとまたブラックホールに引き戻されて本当の自分は死んでしまいます。(上図左)

ですから、生まれた後はへその緒を切らなければなりません。(上図右)
つまり、共依存界とのしがらみを断ち切っていくということですね。

そのしがらみをつないでいるのが、ICの親への思いでありIPです。
それからもう一つ、へその緒を切って何にもつながらず一人になってしまうことへの不安なのです。

この不安には2種類あるように思います。
一つは、親から認めてもらっていないという存在不安。
もう一つは、自分の役割が無くなってしまうという役割喪失不安。

存在不安とは、自分は愛されない存在なのではないかという、自分の存在についての根源的な不安です。つまり、あるがままの自分(Be)に自信がなく心許ない状態です。

そのため、何かの役割を果たす(Do)ことで自分を認めてもらおうとします。たとえば親の受け皿になっている人は、受け皿をすることが自分の存在価値の証明になると錯覚するのです。その役割を失うことは、自分の存在価値を失うようで怖い―それが、役割喪失不安です。




★役割(Do)がなければ存在(Be)もない?------------------------

共依存界にいる人は、まず自分のことより親(人)のこと。
自分の思いで行動してよい、自分で判断してよいという側面は“禁止”され、親(人)のことを気遣え、言うとおりにしろという側面は“強化”されて育っています。

そして、ヒーロー(頑張り役)、プリンセス(お人形役)、スケープゴート(生け贄役)、ピエロ(楽しませ役)、プラケーター(なだめ役)、ロストワン(見捨てられ役)などの“役割”で生きるようになります(そのどれもが親の受け皿です)。そして、友人、夫婦、職場関係などでもその役割で生きていこうとするわけです。つまり誰もが、AC(アダルトチルドレン)なのです。

その生き方が苦しくなったとき、あるいは心や体の病を通じてその生き方がおかしいことに気づいたとき、人は自律を目指すわけですね。
そして、人を道具にする共依存界から、何をするも自分次第という自由な世界との境界に到達します。さぁ、夢にまで見た自由な大地がそこに広がっています。

ところが、いざそこまでくると…
一歩を踏み出すのが怖いのです。

なぜでしょうか。

共依存界から抜け出るわけですから当然役割はなくなって、そこから先はすべて自分次第。何者にも縛られないバラ色の世界……実は、それが怖いのです。そこには次のような理由があります。

・自分の気持ちで判断したり行動することが禁止されている(IP)
・自分が何をしたいのかわからない(ICとつながりきれていない)
・だから、自分(Be)に自信がない(存在不安)
・その上、役割(Do)もなくなると根こそぎ自分がいなくなる(役割喪失不安)

それまで役割を果たす(Do)ことで存在(Be)していたため、役割がなくなるということは自分の存在がなくなるような恐怖を感じるのではないでしょうか。


*ご参考:どー(Do)していいのか分からない親へ




★不安に駆られて陥る罠--------------------------------------

そして、この心の奥底にある二つの不安が、自分を何かにつなぎ止めようとして、突き動かしてしまうことがあるのです。例えば次のように。

・精神科医やカウンセラーとの関係を継続するために、同じところをグルグル回ったり、あるいは症状を無意識に悪化させたりする
・自分が見守られているかどうかを確認するためのゲームを仕掛ける
・自分がなんらかの負債を負うことで関係を保とうとする
・相手を責めることでしがらみを作ろうとする
・新たな依存対象(人、モノ、行為、組織)を探したり、作ったりする
・新たな依存対象と同じ世界に所属しようとする

…いずれもハラスメント界で身についた方法論ですね(--;)。
人が追い詰められたとき、咄嗟に出てくるのは身についてしまった方法論(生き癖)なのです。

それに絡め取られているからハラスメント界から抜けられなかったのですが、いざそこから抜け出られるぞという段になって、寂しさから逃れるために、身についた方法論によって新たな依存を作ろうとしてしまう―これは、よくあることなのです。

結局、共依存界から抜けようとした自分自身が、今度は自ら新たな共依存界を作ってしまうことになるのです。こうして、共依存界は瞬く間に世界を覆ってしまったのでしょう。




★チャンスを生かすも殺すもあなたの勇気-------------------------

冒頭で、『「呼吸の仕方」という生きる上での根本メカニズムを変えて初めて“外”の世界で生きていくことができます』と書きました。自律するとは、共依存界(ハラスメント界)で身についた方法論をすべて捨て去るということです。

第二の誕生を成し遂げたということは、IPは弱くなっており、ICとつながったからこそあるがままの自分(Be)でいられるようになり、だから役割(Do)は不要のまっさらな自分に戻ったということ。もはや何も怖がることはないのに、何の方法論も持たないその裸の自分が怖いんですね。

しかし私たちは皆、死ぬかもしれないという恐怖を乗り越えて、生きる上での根本メカニズムを変えるという人生上最大の“体験”を生まれたときにしています。この体験が人生のスタートラインに組み込まれていることに宇宙のメカニズムの福音を感じます。もう既にあなたは“やったことがある”のです。だから、やろうと思えばできるのです。すべての人に平等に生き直しのチャンスは与えられているのだなぁと思います。

でも、そのチャンスが訪れる人、気づく人は、そう多くはないのかもしれません。そして、チャンスが訪れたときに、それを生かせるかどうか―それは偏にあなたの勇気にかかっています。




★共に歩く仲間---------------------------------------------

どの赤ちゃんも何の武器も役割も持たず裸で無防備で生まれてきますね。でも、生きていけますよね。それは、見守る親がいるから。
第二の誕生後も同じ。まっさらな自分に戻り、その上、前項で書いたように、自分が自分を見守る親になることができるのです。

人は生きるためのすべてを持って、この世に生まれてきているのだなぁと思います。


でも、一人で何もかもやるのは大変?それに寂しい?
人は常に人生の踊り場を生きている』を振り返ってください。

独り立ちしたときに、あなたはともに自律に向かって歩いていく“仲間”になるのです。あなたが一人になるのを怖がって依存しようとしている限り仲間にはなれないのです。

不安に駆られて戻ろうとする共依存界は、あの映画「マトリックス」の繭。本質的に孤独な世界です。
勇気を持って繭を開けた世界は、仲間とともに助け合う共生の世界です。

いつでも仲間になれるのですから行動を急ぐ必要も焦る必要もありません。
必要なのは、ただ決意です。






『君は気づくでしょうか?

その鍵はもう

君の手の平の上に』

http://nakaosodansitu.blog21.fc2.com/blog-entry-936.html






<つづく>





【自由からの逃走】

(1)存在不安と役割喪失不安
(2)人のせいにする心理
(3)操り人形は責任をとらない(とれない)
(4)サティアン化する社会
(5)「○○のために」は「○○のせいで」の裏返し
(6)大義名分が人を滅ぼす
(番外)龍馬と弥太郎と半平太
(7)あなたを縛る「あなたのためだから」
(8)自分のせいにする心理:自己卑下&自己否定
(9)自分のせいにする心理:責めを負う
(10)へその緒を切る(世代間連鎖を断つ)のは、あなた




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女が産んだ者には倒せない者を倒せる者とされています。

生れる時に、どういう体験をしているのでしょうか。

 

私は帝王切開で産まれました。
産まれる時に産道を通った方と、帝王切開で産まれてきた方の違いはやはり生き方に影響してしまうんでしょうか。
私はずっとロストワンのような生き方を続けてきたような気がします。もちろん産まれ方だけが原因ではないと思いますが、常に誰かに自分の行動を決めてもらい、それに従うのが心地いいと思ってきました。だからいざ自由にしていいと言われた時にとても不安になって行動できなるなります。現在親から離れて暮らしていますが、たまに親と会うときになんでも親に決めてもらう癖が出てしまい、自分で考え、行動することが出来なくなってしまいます。
このままだと一生親から離れられない...と落ち込む日々です。少しでも自律に向かおうとすると、(親や今の生活から)離れたくない!嫌だ!と強く思ってしまい、まるで子供が駄々をこねてギャン泣きするような気持ちになり泣いてしまいます。この子を癒す事が出来ないと前に進めない気がしてなりません。

 

自由が怖いのです。
ほんとそうなのです。
パターンがないことが
枠がないことが怖いのです。
泣き出してしまいそうな私のきもちとも
寄り添っていたいです。
もう二度と私は私を捨てたくないから。


 

自分を見失った姿

自由になれたのに、また何かに依存しようとする。

それってコスプレする人も同じかも、と思いました。
常識からは自由になったのに、わざわざ自分でない、別の人間になろうとする。心の底からそれになった気分になろうとする。

しあわせそうなのに、なぜか見ていると不快になってきたりするのは、そんな理由からなのかな、と思いました。

 

いつも読ませて頂いております。
優しく平易な文章で励まされます。
生きづらさをかかえていた人が少しでも楽になって、より良い社会を築くパイオニアになれるよう、強く優しくありたいです。

 

林檎さん大変でしたね
私もまだまだよくわかりませんが
全く親しくなかったり初対面なのにしつこいくらい自分の弱みや色々ずけずけ聞く人は要注意です
その場を離れるのが一番です!真面目に付き合わないであれ?もう予定の時間だわ~とか言ってさらっと逃げて距離を取るのが一番です

相手に聞かれたことは正直にちゃんと答えなくちゃいけないとか
相手に嫌われないようにしなくちゃいけないとか色々思い込みのしがらみが多いですよね

という私もそれで失敗が多いです
自分を守れるようになりたいですね

 



感情の吐き出しをやって
しばらく快調…で
最近また不調気味…です。
ふたたびお世話になりますm(_ _)m

やはり、弱ってくると友達の前で、あらゆる役割を演じてしまいます。私はほんとはこういう人間なの!!…それを隠してしまうのがつらい。
辛すぎて、ふとした瞬間に切れてしまいそう(笑)

でも、それは…いわば陣痛なのですね。
散々教え込まれた「自己否定」の魔法、必ず打ち破ってみせます。今までだって、何度も何度もあらゆるものを乗り越えたのですから!


…なんて、声高に言うのは明日にします。今は…ぬいぐるみ(小さいちゃん)を抱きしめて寝ます。

おやすみなさい…

 

依存症は病気です。自分や家族で何とかするものではないです。医療機関に任せるものです。見捨てるのではなく(事件になりかねないと思う)、大切なんだ、愛しているんだ、と伝えて(本気で感じてるかが大事かな?伝わっちゃうからね)、医療に繋げるのがいいと私は思うのですが、、、、

渦中にいると、なかなかそうはいかないでしょうが、逃げるだけでは自分の問題には気付かず、成長もなく、連鎖して、他人がおかしいと周りのせいにする世界に居続けるのでしょう。

自分の成長のために、悪者になってくれた人々に対し、感謝したくなる最近の私は、もしや、自律側にいるのかなぁ?と実感しています。

調べて、理解して、根源の親との関係が整理できた時、みんな愛の存在になるのでしょうね。

ありがとうございます。

地球も人類も大好きです。

愛しています。

 

長いこと自律世界とハラスメント界の境界辺りを行ったり来たりしてる自分に気付いていましたが

なかなか、飛び立てずにいます。

でも、自分で考え自分で行動した時のヒヤヒヤ感や恐怖が私をハラスメント界に引き戻していたんだと知りました。

解放された自分、役割の無い自分にも不安がつきまとっていました。


今日はそんな自分を認めて
ゆっくり過ごしてます。

これで良いんだと思えたら体の力が抜けたもので(笑)


 

林檎さん。
いますよね~。そういう人。私も似たような人にひどい目にあったことがあります。こちらが予想する「人としてのモラル」をいとも簡単に踏み越える人達、、、ってのが実在するんですね、、、(^^;)幼稚園のママ友でした。かなりトラウマになりました。

私もハラスメント界からまだまだ抜け切れていないです。
抜けようと思うと父が倒れたり、子どもが軽度発達障害だろうと学校で言われたり(たしかにそうだろ、って位難しい子です)、、、。モラ夫もそうじゃないのか?という話になったり、、、。
やれやれ本当に、ハラスメント界を抜ける、というのは大変な挑戦なんだな、と改めて思います。
自分を責めずに行こうと思います。



 
    
 
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