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【中尾英司講演】「ITを用いたBPRその成功の秘訣」-受講記

2004/09/04(Sat) Category : 会社・改革
2004年9月2日、3日 タワーホール船堀(江戸川区総合区民ホール)でPMシンポ2004(主催:JPMF及びENAA)が開催されました。そのとき、JPMF書評執筆者の金子雄二氏が、私の講演を聴いてくださいました。当時、オンラインジャーナルに特別寄稿された「受講記」を掲載いたします。

pm2004s


●9月3日(金)14:00~16:30 (定員84名満員御礼)
●講演副題 「ITを用いたBPR その成功の秘訣」

【セッション概要】
問題と不満を抱えながらも変化を拒んでいた会社が、数々の企業が失敗に終わっているITを用いたBPRをどのようにして成し遂げたのか。実体験を基に、システム導入・業務プロセス変革・意識改革の三位一体の改革を成し遂げたプロセスをリアルに説き、プロジェクトマネジメントの成功ノウハウを伝える。

【セミナー・コンテンツ】
①プロジェクトの3フェーズと各フェーズの留意点
②成功に導くプロジェクト組織の形態、会議のやり方
③ボス、コアメンバー及びコンサルタントをコミットさせる方法
④一般社員の巻き込み方
⑤プロジェクト成功のメルクマール
⑥BPR崩壊過程を知る

【受講をお奨めする方】
①組織改革事務局、チェンジリーダー及びタスクフォースの方(求める現実解があります)
②組織改革を考えている経営者の方(組織変容の全プロセスを知ることが覚悟につながります)
③ITCの方(コーディネータの一つの具体的モデルがあります)
④コンサルタントの方(企業へのコミットのありようが分かります)





■はじめに--------------------------------------------------

当日の会場は満席となる盛況で、参加者の年齢は従来のPM講演会と比べて多少若い人と女性が多かったように思える(筆者の周りの数名の女性と名刺交換したためであろうか)。

講演は、講師の実体験によるBPRの実例として話された。
従って、ノンフィクションであり、しかも当人が目の前で話しているので、本にはない迫力が伝ってきた。

筆者は会場が見渡せる最後尾の左隅に座り、2時間半受講者の状況を良く観察させて貰った。その率直な印象は、殆んどの人が居眠りもせず真剣に聞いている様子がよく分かった。

講演の最後に参加者の一部の人が参加動機を話されていたが、プロマネ的立場の人が多く自分の立場と比較して聞いていたようだ。この点は話のストーリ建てと問題点が、聞いている人の立場と同じレベルで話されたことと、講師の話が非常に歯切れ良く居眠りしている暇などなかったからであろうか。

実際に体験された事実関係とその問題点の指摘から解決へのプロセスが明快であり、誰もが納得できる。そして自分でも出来そうな問題解決の糸口となるヒントが幾つか感じられた講演であった。そんな具体的な点を少し探ってみた。



■1、講演会でしか経験できない「遊び心」--------------------------

講演の始まる前に、講師は参加者に同じ席の方々との名刺交換を呼びかけ会場の雰囲気を和らげると同時に、終了後の情報交換を勧めた。普通の講演会では、終了後の懇親会やパーティ等で名刺交換するが、懇親会等のない場合は余程のことがなければ隣同士での会話もないまま帰路につくのが一般的だ。これを冒頭会場に呼び掛けたことで、実は次の次を狙った講師の思惑があったのではなかろうか。

途中の休憩までは、この名刺交換が功を奏して、会場が打ち解けた雰囲気になったとは感じられなかった。しかし講演終了後、正確には終了10分前に講師は、会場での5分間ゲームの参加を呼びかけた。当初は7名程度であったが、数分後に10名(女性4名)の勇気ある参加者が壇上に上った。

ゲームは非常に簡単なもの(参加者全員が隣人以外の人と手を握って、その手を離さずお互いに動いて一つの輪に戻す)であったが、ゲームに参加しない会場の人を巻き込んで、一体となって輪が戻る状況を楽しんだ。短い時間で一体感を味わえる楽しいゲームであった。これは講演会でしか味わえない雰囲気であった。そして、このゲームには、後で述べる組織運営上の問題解明のキーが隠されていた。



■2、今までのPMセミナーにはなかった「新鮮味」---------------------

講師はIT経験者ではなく、人事・教育専門の道を歩んできたと自己紹介した。
そしてITプロジェクトマネジャーとして苦労してビック・プロジェクトを完成させた。
だから従来のプロマネの成功談にあるような、余り馴染みのないカタナカのPM専門用語が出てこない。その代わり、産業カウンセラーとしての目新しい言葉が出てきた。

PM経験のない人でもプロマネが務まるといった驚きと、それもPM経験者である上司のプロジェクトリーダーを見事に動かしている(実際は人事交代させた)。
勿論、当人も悩み・葛藤しながらではあったが、組織を動かしつつお互いが傷を負わずにやり遂げた。このことは本にも詳細な経緯が書かれてあるが、本人が言葉少なに語ったことが、真に迫って「非常に大変だった」ことが自然に伝わってきた。

矢張り、これも心理学的なアプローチであったのだろうか。
筆者にはそうは見えなかった。
そのことが返って自然で人間的であり、これが人と人との繋がりからくる常識的結論なのであろう。
これは従来にないPM論で、人の考え方や心理的特性を学問的手法で捉えた非常に新鮮味のあるものであった。



■3、本では書ききれない「ポイントの補強」--------------------------

この「問題点の図示と補強」については、本の中で少し触れている。
即ち、いずれこの本を元に講演をする積りであると書いている。
だから図式や図解は本にはなくストーリで書き通した。

今回の講演ではパワーポイントで段階的に図示しているので、本を読んでない人も含めて状況と問題点をより鮮明に分かり易くなっている。
特にキーとなる言葉の定義(カウンセリング上の重要なキーワード)は、状況を図示してその言葉を列記している。

例えば、「謝罪とは、相手の気持ちを受け止めること。
相手の気持ちを分かってあげること。
それを表現すること」と非常に丁寧に書いていて組織間でもそれが必要であることがわかる。

またプロマネだけでなく、中間管理職のマネジメントの判断基準の大事なポイントを指摘している点は大いに参考になる。

現状の仕事に、兼務で新たな作業を上司から命令された場合の対処(判断)に関して、「自己裁量の問題ではなく、経営判断の問題である」として「守れない約束はしない」ことを明確化している。

一般的には上から押し付けられて、無理やりやる(やらされる)と結果として上手くいっても個人がボロボロとなったり、出来なかった場合は更に個人と組織が駄目になる可能性が高い。だから「守れない約束はしない」ことが重要なのである。

このポイントは、アメリカのギャラップ社が「管理者として必要なこと」を25年間調査した結論であると補足説明している。ならばそれをどう説明して上司を説得するかは各自の問題であるが、この日常(判断)活動こそが経営者を育てる大事なプロセスでもあると指摘している。



■4、本とは違った「説得力」-------------------------------------

講演の中で、幾つか心理学の言葉が紹介される。それも重要なポイントで出てくるのである。

管理部のマネジャーが自分の気持ちを打ち明けるところは、カウンセリングとはこのようなものかと思えるような場面だろう。

自分で行動を選択することを「自律」という解説図が描かれてあるが、そういえば筆者も過去に何回かこうした場面に遭遇して、聞いたこともあり自らも経験したことがある。

更に、リッカート氏のシステム4(連結ピン)の話や会議にはホワイトボード(電子ボード)を使って論議を整理して、対立でなく同じ立場で議論していることの確認や、組織・個人の潜在感情をどう表出するかその問題のキーは責任者が持っていることを理解する等々を指摘している。

これらの点は、従来のPM手法では余り論じられていなかったものである。
こうして問題解決の手法として、成果を収めているので有効な手段として納得できる。

プロマネもメンバーも経験・年齢・職階等の違いはあるが、感情を持った人間である。だから心理学を使った方法に新鮮味と有効性を感じる。特に、組織の活性化のポイントとして、「言葉の共有化」がキーであると指摘される点はどの組織でも通用する。

ならば心理学(産業カウンセラーを含め)を習得した人なら誰でも、プロジェクトマネジメント出来るかというと必ずしもそうではない。矢張りプロジェクトの経験が必要であろう。プロジェクトマネジャーが心理学手法を身に付けることで、より完成度の高いPMか可能となるとのではなかろうか。



■5、おわりに------------------------------------------------

最後に冒頭のゲームでの結果解説に触れて置こう。
ある会社での例として紹介された。

お互いに手を繋いだ二つのグループ(部長さんたちの輪と一般職の輪)が、同時にこのゲームをスタートした。一般職のグループは直ぐに一つの輪に戻ったが、部長グループは一向に動こうとしない。お互いに声は出すが誰も動かないので中々元に戻らなかった。

そこで講師が
「これが現在の組織の実態です。管理者は声を出すが誰も動こうとしない、だから何の問題解決もしない。一方一般職の輪ではお互いに声を出し合って、色々動いたので直ぐに結果が出た、これで何が問題で何が大切か分かったでしょう」と結ばれた。

以上で講演は終わった。
本を読んで書評を書いて、今回講演を聞いてそれぞれの良さを充分納得出来た。更にこれが講演だけで終わるのではなく、ワークショップとしてお互いが体感で出来るなら、PMとして大いに活用出来ることも実感した。

(金子雄二記)



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