ウィキリークス―勇気は伝染する
創設者はジュリアン・アサンジュ(Julian Assange)氏(39)。
『アサンジュ氏には、不透明な組織は腐敗し、既存のメディアは十分な監視機能を果たしていない、との思いがある』ということだが、それは誰もが思っていること。だからといって、首や命をかけることまではなかなかできない。
私も、内部告発(←当時はそういう言葉はまだ流行っていなかった)をしたことがあるが、当然首をかけていた。「家族を路頭に迷わすかもしれない。しかし、それでもよい」という覚悟があった。そういう覚悟がなければできないことだ。
(詳しくは「あきらめの壁をぶち破った人々」をお読みください)
私の場合、会社対個人―会社とタイマンを張るという意識があった。組織と自分が対等にならなければできないことだからね。
しかし、彼の場合は政府の機密事項の告発である。タイマンを張る相手は国家だ。命がかかっている。にもかかわらず新聞に顔写真まで掲載されている。一体どういう人物なんだと驚いた。
オーストラリア生まれのアサンジュ氏は、『「学校教育は子供の学ぼうとする意欲をくじく」という母親の教育方針で、決まった学校に長く通わず、独学で学ぶことが多かった』そうだ。なるほど、彼のバックには自分の背骨を持った母親が立っているんだね。
彼は天才ハッカーとなって、31件の不正アクセスの罪で裁判にかけられる。
捜査員は次のように述べている。
『彼の行動には「あらゆる人がすべての情報にアクセスできるべきだ」という信念があった』
信念の人、母親の魂を受け継ぐかのように、彼もまた信念を持って行動しているんだね。「大衆のための初の情報機関」を掲げてサイトを運営するサーバーは、情報保護法制の整ったスウェーデンやベルギーなどに置かれているそうだ。そして、内部告発者やジャーナリストが刑務所に収容されるということがないように、全世界から匿名の情報を受け付けている。
その中に、07年7月に米軍がヘリコプターから記者や市民を銃撃する生々しい空撮映像(バグダッド)があった。戦場という命を奪い合う神の摂理から最も遠い現場に、正義などあるはずがないことを証明した。
彼がウィキリークスという「場」を設けることができた背景には、そういう「場」を求める人々がたくさんいるということ、そして、その「場」を支えることのできる背骨を持った人々がたくさんいるということを示している。
彼は、26日、「オバマのベトナム」と呼ばれる泥沼のアフガン戦争についての機密情報をリークした。記者会見で、「この暴露は、新たな暴露を生むか」と問われたアサンジュ氏は、次のように答えた。
「はい。勇気は伝染する」
【追記20101205】
アサンジュ氏にもいろいろと背景があるようです。
自律のためには、
ハラスメント界から去る。そして、
外野に惑わさされず自分の内面と向き合う。
これが唯一の道なわけで、虚を衝かれないために外の世界でどのような動きがあるのかを知っておくことは必要だろうと思いますが、自分をしっかりと打ち立てていくことをする。それをすることが結果的に社会を変えていくことになると、改めて思いました。
この記事は削除する予定です。