真っ暗になる米国
【朝日新聞2010.08.12掲載ニューヨークタイムス「クルーグマン・コラム」より】
08年ノーベル経済学賞受賞者クルーグマン教授が次のように書いていた。
『私たちは破滅的なほど間違った方向へとハンドルを切ってしまった。今、米国は明かりのない、未舗装の砂利道の上で、どこにも通じていない道上で立ち往生しているのである』
まぁ、凄いことを書いていると感慨深い。
彼の主張は次のようなものだ。
■政治家(国民の代表)は何を守っているか
『米国の政治階級の大部分は優先順位をはっきりさせている』
『最も裕福な2%程度の国民』に増税することと
『(道路や教育など)国家の基盤が崩れるままに任せる』ことのどちらをとるかを問えば、『大多数は後者を選択しているのだ』。
■なぜそうなったのか?
この30年間、共和であれ民主であれ、反官僚キャンペーンをやってきた結果、
税金は無駄に使われている、『公共部門は何一つ正しいことが行えないのだと多くの有権者に信じ込ませてきた』から。
↓
増税に対する反感を植え付けることに成功
これを「小さな政府」指向と呼びます(「民間にできることは民間に」というキャッチフレーズでコイズミが日本に持ち込んだものですね)
結果的に、最も守られるのは裕福層。(洗脳された民意が裕福層を守っていることになります)
■でも実体は?
『右派が主張するほどの大規模な無駄や不正などはなかったのだ』
■そして、結果(現実)は?
『地方政府はもはや財政的に維持できない道路を壊し、砂利道に戻しているのだ』
『教師は一時解雇され、教育関連の数々のプログラムが撤廃されている』
つまり、
『非常に裕福な人々をのぞくすべての国民が必要とするサービスであり、政府が提供しなければならず、政府以外には誰も提供しないサービス』が崩壊している。
■連邦政府の支出増をよく見ると…
州政府は支出を削減しているにもかかわらず、連邦政府の支出は増えている。なぜか?
『失業保険のようなセーフティネットのプログラムだけ』→つまり、『ほとんどなんの景気刺激策も行われていないということなのだ』
■では、なにをなすべきか。
『富裕層への税金を低く維持すること』か? 違う。
『学校の教師の仕事を救えば、それは疑いの余地なく雇用を支えることになる』→それは、将来の成長を支えることになる。『成長には高教育を受けた人々と高品質の社会基盤が決定的に重要』だからだ。
『連邦政府はインフレ連動型の長期国債をたったの1.04%という金利で売ることが可能であり、金欠状態などにはないのだ。連邦政府は米国の社会基盤と米国の子供たちの未来を守るために、地方政府と支援することができるし、そうすべきなのだ』
*米国の闇も深まっておりますが、このように当たり前のことをきちんと言える人が出てきております。政治家やマスコミをはじめ、多数派といわれる言動に惑わされるのではなく、自分の目でものを見ていきたいと思います。
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