メンタルレスキュー協会下園壮太先生のクライシス支援
2010/09/02(Thu) Category : 自殺・自傷
前回に続き、産業カウンセラー協会主催の講演をご紹介します。
下園先生は、陸上自衛隊コンバットストレス教官。まさに命のやり取りの現場におけるストレスケアをされてこられた方です。その方が、自衛隊で培われた支援方法をNPOメンタルレスキュー協会(MR)を通して民間に普及しようとされています。
上記サイトと講演を含めてのメモです。
■1、クライシスのときの「痛さ」-----------------------------------------
・緊張―まだ危機が続いているという緊張
・不安―これからさらに悪くなるという不安
・自責―努力が足りなかったという自責の念
・罪悪感―悪いことをしてしまったという罪悪感
・疲労感―自分がやらなければならないという疲労感
・無力感―何もできない、捨てられるという無力感
*上記の中で、次の感覚は生体保護のためのメカニズム
・緊張―危機への構え
・自責―対策を真剣に考えるための原動力
・無力感―2次被害にあわないよう身を引いて守る(近づかないようにする)
*これらの強い感情を記憶することにより過敏アンテナが立つ。
それがPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症させていく。
■2、クライシス支援における2つの問題-----------------------------------
1,支援する行為で逆に傷つけてしまうことがある
2,支援者自身が傷つくことがある
1―「裏メッセージ」による傷つき
・「裏メッセージ」とは、支援者の意図にかかわらず当事者が受け取るメッセージ
(あえて区分すれば、当事者側に起因する裏メッセージと支援者側に起因する裏メッセージがあるように思った)
a)当事者側に起因する裏メッセージ
例えば支援者が「何があったのですか」と問いかけたとき、支援者に他意がなくとも、事件当事者は『自分の責任を追及されている』と感じてしまったりする。
あるいは、何をしなくても→『無視された』とかんぐったりする。
b)支援者側に起因する裏メッセージ
惨事の責任を支援者がどう考えているか、その姿勢が言動に出る場合。
・「何が自殺の原因だと思いますか?」
→『何か原因があるはずだ。それをお前は知っているだろう』と感じさせる。
2―緊張・不安・自責・無力感
サイトによれば、『自分の行為(支援)が相手の助けになっているのだろうか、逆に苦しめているのではないだろうかという不安にさいなまれます。また、クライシスは「緊急」の対応が必要であることが多く、行動に際し充分な検討をする時間が無いことも多いのです。その結果、支援の後も自分自身を責め、無力感に陥る場合が少なくありません』―つまり、内容は異なれど、当事者が蒙る心的外傷と同じような心の傷を負うことがある。
■3、自殺対処と惨事対処------------------------------------------------
この難しいクライシスにおける心理状況に対応するため、メンタルレスキュー協会では自殺対処と惨事対処の2つの講習を行っている。
・『誰であろうと同じような反応をするので、限られた対処を覚えればいいのです』
・『複雑な対応は危機状態には必要ありません。簡単な対応でいいのです。しかし、それができるかできないかは、大きな差を生みます』
・『本協会はクライシス対応のみに特化して訓練を提供するものであるため、ある程度のカウンセリング技術等を習得している者を講習の対象とすることとします』
*命にかかわる惨事を対象としていますが、今や家庭という日常現場で心的外傷が多発している社会状況です。メンタルレスキュー者の認定は厳しく行って当然と思いますが、協会の講習は広く普及してほしいものと思いました。
下園先生は、陸上自衛隊コンバットストレス教官。まさに命のやり取りの現場におけるストレスケアをされてこられた方です。その方が、自衛隊で培われた支援方法をNPOメンタルレスキュー協会(MR)を通して民間に普及しようとされています。
上記サイトと講演を含めてのメモです。
■1、クライシスのときの「痛さ」-----------------------------------------
・緊張―まだ危機が続いているという緊張
・不安―これからさらに悪くなるという不安
・自責―努力が足りなかったという自責の念
・罪悪感―悪いことをしてしまったという罪悪感
・疲労感―自分がやらなければならないという疲労感
・無力感―何もできない、捨てられるという無力感
*上記の中で、次の感覚は生体保護のためのメカニズム
・緊張―危機への構え
・自責―対策を真剣に考えるための原動力
・無力感―2次被害にあわないよう身を引いて守る(近づかないようにする)
*これらの強い感情を記憶することにより過敏アンテナが立つ。
それがPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症させていく。
■2、クライシス支援における2つの問題-----------------------------------
1,支援する行為で逆に傷つけてしまうことがある
2,支援者自身が傷つくことがある
1―「裏メッセージ」による傷つき
・「裏メッセージ」とは、支援者の意図にかかわらず当事者が受け取るメッセージ
(あえて区分すれば、当事者側に起因する裏メッセージと支援者側に起因する裏メッセージがあるように思った)
a)当事者側に起因する裏メッセージ
例えば支援者が「何があったのですか」と問いかけたとき、支援者に他意がなくとも、事件当事者は『自分の責任を追及されている』と感じてしまったりする。
あるいは、何をしなくても→『無視された』とかんぐったりする。
b)支援者側に起因する裏メッセージ
惨事の責任を支援者がどう考えているか、その姿勢が言動に出る場合。
・「何が自殺の原因だと思いますか?」
→『何か原因があるはずだ。それをお前は知っているだろう』と感じさせる。
2―緊張・不安・自責・無力感
サイトによれば、『自分の行為(支援)が相手の助けになっているのだろうか、逆に苦しめているのではないだろうかという不安にさいなまれます。また、クライシスは「緊急」の対応が必要であることが多く、行動に際し充分な検討をする時間が無いことも多いのです。その結果、支援の後も自分自身を責め、無力感に陥る場合が少なくありません』―つまり、内容は異なれど、当事者が蒙る心的外傷と同じような心の傷を負うことがある。
■3、自殺対処と惨事対処------------------------------------------------
この難しいクライシスにおける心理状況に対応するため、メンタルレスキュー協会では自殺対処と惨事対処の2つの講習を行っている。
・『誰であろうと同じような反応をするので、限られた対処を覚えればいいのです』
・『複雑な対応は危機状態には必要ありません。簡単な対応でいいのです。しかし、それができるかできないかは、大きな差を生みます』
・『本協会はクライシス対応のみに特化して訓練を提供するものであるため、ある程度のカウンセリング技術等を習得している者を講習の対象とすることとします』
*命にかかわる惨事を対象としていますが、今や家庭という日常現場で心的外傷が多発している社会状況です。メンタルレスキュー者の認定は厳しく行って当然と思いますが、協会の講習は広く普及してほしいものと思いました。