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「東京に暮す(1928-36)」―(1)キャサリンの対象に向き合う姿勢

2010/11/11(Thu) Category : 見方・考え方・価値観-パラダイム
私の父や母が生まれた昭和一桁はどのような時代だったのか。戦争に向かう暗い時代という側面と、母の幼き日の話から伺える桃源郷のような地域―両極端のイメージが共存している時代だ。つまり、国家の動きと民の生活が乖離していた時代だ。

ちょうどその頃、外交官の妻として東京に滞在したイギリス人キャサリンが、ユーモアたっぷりに日本をきめ細かく観察した本がある。「東京に暮す(1928-36)」という本だ。

LivinginTOKYO東京に暮す―1928~1936 (岩波文庫)

そこには、私が生まれるわずか20年余り前の東京の様子が描かれている。自分が生まれる前というと遠く感じるが、現時点に置き換えてわが子が生まれた頃と思うと20年なんてあっという間の歳月だ。

その、あっと言う少し前の世情は、恐慌による失業、身売り、言論弾圧、満州事変、犬養首相暗殺、国連脱退、小林多喜二拷問死、2.26事件と、暗い上にも暗い。
が、この本には、そういう世情は微塵も出てこない。時代背景を知らずに読むと、一体いつの時代の平和な日本だ?と思ってしまう。


そこがとても面白い。
キャサリンは、日本に住むというチャンスを得た。しかも世情が急速に悪化しファシズムに向かうという激変の時代に。
もしキャサリンが外交官の妻として、日本の政情や社会情勢に目を向けていたら、全く異なった日本観察記が出来上がっていたことだろう。この時代の日本を批判することはとても簡単だ。何せ材料には事欠かない。戦時中の御用ジャーナリスト達のような記事を書くこともできただろう。そして、それを読んだ外国の人々に、そのような印象の日本観が形成されていくだろう。


しかし、キャサリンは『日本を観察していて感心すること』の二つのうち一つに『日本人が幸せな国民であるということ』を挙げている。そのような眼差しで日本を見ていたということだ。とてもありがたい。

彼女は、日本という社会の現実を、どのような切り口で切り取ることもでき、いかようにも書くことができただろう。その切り取られて形に残ったものが、さも真実のように流布されていくことになる。だから、暗黒の世情にあってなお、このような切り口を見せてくれたことがうれしい。


何がうれしいかと言うと、暗黒の時代にあっても「幸せ」な側面を見出すことができることを証明してくれたからだ。

いつの時代も、幸せな側面と不幸な側面があるのだと思う。
そのどちらに目を向けるのか。
目を向けたところに自転車が進むように、目を向けたところにあなたは棲むことになる。


現実は多様だ。
それをどのように切り取るのか。
その切り口、語り口に現れるのは、本人の露な姿である。

自分が何か(対象)のことを書いているつもりでも、その文章が表しているのは本人が切り取った事実と解釈。そこには、その人が無意識にどのような世界に棲んでいるのかという実態が隠しようもなく現れる。


キャサリンは、批判の世界ではなく気づきと学びの世界に棲んでいる。だから、本人が地理的にどこに行こうとも、彼女が行くところには「幸せ」が現れてくるだろう。
『日本人は幸せな国民である』と言えるキャサリン自身が幸せな人なのだ。


そのキャサリンが結ぶ。
『二十世紀の人類は、東洋人も西洋人も、一緒に笑い、語り、学ぶことで、先輩たち、半世紀前に出会って親しくなった進取の気性に富んだ先輩たちの努力の仕上げをしなくてはならないのです』

ここに、時代や民族を超えて、常に「今」と向き合っているキャサリンの姿勢が現れている。




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この時代、国家は「富」を目指し民を亡くしてまで闘おうとしたが、キャサリンは「幸」を目指して学ぶべき生活を観察し、その“幸せのスタイル”を世界に知らしめた。

世界中の民の命を犠牲にしてまで求めた富で、今、世界は平和ではなく人々は幸せではない。

一方、キャサリンの描く当時の質素な日本は、キャサリンの言うとおり、とても幸福だ。わざわざ言うこともないが、「富」と「幸せ」は全く別物だ。

モノに踊らされた次はおカネに踊らされ、
すっかり自分を見失ってしまった私たちは、
富ではなく幸せを再構築しなければならない土壇場に来て、
ようやく目が覚め始めようとしている。
(成果指標はいい加減、GDPではなくGNHにしたらよい)



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そして、『衰退する町の再生―西郷真理子さんの挑戦』で見たように、20年あれば、まるっきり一からでもコンパクトシティを作りあげることができる。

武士が“殿様を守るため”に作った城下町や、
企業が“物を作るため”に作った工場城下町などを考えると、
女性が“生活を楽しむため”に作った町ができたことは、
ようやく社会が、「人生」というものを自覚的に考えられるところにきたかと感慨深い。


社会はこんなにも変化するのか、とわかれば、循環と共生の「歌の町」を取り戻すのも夢ではない。夢見る力は、本当のパワーとなる。まずは、どのような町を目指したいのかというビジョンを一人ひとりが心に持つことだと思う。

そのビジョンを持つための一つのモデルとして、キャサリンが見た“幸せな国”日本を次項で紹介します。



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東大名誉教授の月尾嘉男さんがTBSのラジオ番組の中で紹介していた本『逝きし世の面影』にも幸せな国であった頃の日本が描かれています。

西洋の人たちも当時あった日本の良さが、西洋の文明が押し寄せることで消えて行ってしまうことを憂いていたようです。

http://www.amazon.co.jp/dp/4582765521
(長いURLは画面が型崩れするようです。ので、短いURLに変えさせていただきました。)

 
    
 
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