ワークライフバランス(1)-追いつめられた「life」
簡単に言えば、「仕事と生活の両立」という意味だ。
本来仕事は生活するためにある。
生活が目的で仕事は手段だ。
ところが、仕事に追われて生活が成り立たないまでに追い込まれてしまった。
それが象徴的に現れているのが、「少子化」現象である。
生活が成り立ってはじめて子を生むことができる。
生活を成り立たせるとは、男女が協力して家を支えること。
昔は祖父母がいて4本の柱で家を支えていた。磐石だ。
それが核家族になって2本柱になった。不安定だ。
そのうち1本の“大黒柱”はどんどん細くなり、ついには消えた。
かろうじて、残る1本で家を……支えられはしない。
少子化とはつまり、子を産む環境がないことの象徴なのである。
それは、家族カウンセリングで東北から九州まで各地のご家庭を実際に訪問している私の実感だ。今や地域を問わず、「日本」の家庭は追いつめられている。
そして、ついに「ワークライフバランス」という“言わずもがな”の言葉が登場した。
いたるところで目的が失われ、手段が目的化している日本
この言葉の登場は、空洞化した日本の有様の象徴のように思う。
【life】『生存; 生命; (個人の)命; ((集合的)) 生物; 一生, 一生のある時期;生活, 暮らし方; 生計; 人生; 世間; 伝記; 生気, 活力; 生きがい; 中心, かなめ; 実物(大), 本物』が、【work】によって追いつめられている。
「過労死」とは、まさに「overwork」によって「life」の余地がなくなってしまったこと。
work に偏りすぎたアンバランスによって、life が消滅したのである。
life(命)の危機さえ感じる overwork。
そういう日々にあっては、life(暮らし方)や自分のlife(生きがい)、life(本物)は何か、今後のlife(人生)についてなど考えている暇もない。
『会社の中期計画は書けたが、5年後、10年後の自分の姿を書けなかった』とショックを隠しきれずに言った40代女性。
『大組織に居ると殆ど考えない。考える場さえない』と言った50代男性。
いつしか自分のlife(中心)は空洞化し、life(生気)やlife(活力)が失われていく…。
work が、人に対して働きかけることであるとすれば、
life は、自分そのもの、人生そのものである。
「work-life balance」が言わんとすることの本質は、
自分のlife(命)をlife(中心)に置き自分を大事にして、自分の手にlife(人生)を取り戻すことなのだと思う。
「Enjoy your life !!」
ワークライフバランス(仕事と生活の調和)の実現
日本の正社員は、長期雇用と安定賃金などを保障される代わりに、残業、休日出勤、配置転換などについては企業の言うなりになっており、愚痴はいいつつも、継続して仕事が続けられるという独特の文化が根強い。 ワークライフバランス(仕事と生活の調和)の実現のために・・ ...