心の絵を読み解くー(6)人間宣言
★その後の2年間----------------------------------------------------------
けれど監獄を遠く離れてから、不安と恐怖との見えない闘いが始まります。
それを見たくないが故の依存やゆり戻しがあるのです。
また親から離れるからこそ安心して感情も出てきますので、
その激情に揺さぶられます。
薬も多くなり、ラピッドサイクラー(急速交代型)と言われたこともあるようです。誰かに頼りたい、一人は疲れた、もういやだ…死にたくなります。
生き地獄を抜け出してきたのに、新天地で待ち受けていたのは、
対象がいないだけに更に辛い地獄
家を脱出する前の朦朧の中での自傷行為も大変なものがありましたが、
家を脱出した後の混沌の中での自殺衝動もありました。
でも、何もできません。
ただ、信じるしかありません。
そういう混沌の中で人との出会いもあります。
それは共依存でもありますが、それでも構いません。
(そもそも今の社会で最初から自律した関係はほぼありえないでしょう)
大切なのは、
「自律への意志」を持ち続けること。
苦しくとも、
この混沌の中を自分の力で歩き続けること。
★チャイルドからの手紙----------------------------------------------------
2年間、その混沌の中を歩いた後、「ICから自分への手紙」をふと書いたそうです。すると、次のような言葉が出てきました。
『おとなのYKへ
さびしいよ こわいよ
わたしはなにをしていいの?
あんしんさせて
このままのわたしをおこらないで
わたしをもっとだいじにおもって
おかあさんとおとうさんにおこらないでっていって
あなたはわたしをたすけられる?
おさないYKより』
この幼い自分の言葉に愛しさを覚えて奮起しました。
そうして出てきたのが、【YK絵19~21】の絵です。
チャイルドが出てきてから2年後―再び描かれた絵でした。
『』内は本人の自己分析です。
もう自分のことを自分で見ることができていますね。
【YK絵19】自分とICとの信頼-------------------------------------------------

四隅にあるオレンジは楽しい人たちだそう。
【YK絵16】と比べると、人々の中にも自分がいられることがわかりますね。
もはや人は怖い存在ではありません。
緑や青のハートは、『健全な私』だそうです。
家を離れた2年間で、懸命に健全な自分を取り戻してこられました。
4人の自分―以前は、躁、鬱、フラット、もう一人の自分の4人でしたね。
その4人の自分が冷静な青と穏やかな緑です。
躁鬱から解放されていることがわかりますね。
縦に並んでいるのは背骨ができた証拠でしょう。
黒い輪は自分の心。
赤はICの言いたいことだそうです。一杯ありますね~。
しかし、紫のIPは四角四面の分厚い壁となってICを出さないぞと囲んでいます。
そこを突破しようとしていますが、なかなか突き破れそうもありません。
でも、面白いですねぇ。
『外にどうしてもつながりたいから、壁を突き破るんじゃなくて
黄色の線でテレポーテーションさせてみる。意外とできるじゃん』だそうです(^^)。自分とICとの間に信頼関係ができているのです。
【YK絵20】私は一人じゃない-------------------------------------------------

『初めは小さい赤丸を書いたけど、それだけじゃ足りないとICちゃんが書いた大きな赤丸。とげもでている』
(まだまだ怒りも含めて言いたいことはたくさんあるでしょう)
『緑と青は健全な私。真っ赤な赤丸を、そのとげも、全部包み込んでいる。
隠しているわけじゃない。青色の中にところどころ赤も入ってるから。
それでも青はそれを包んでくれる』
(優しさと冷静さがある背骨を持った自分がいますね)
『そして青い私はちゃんと人間なんだよ。
ちゃんと顔を持った人間につながってるでしょう。
肌色が人間の印。肌色の部分をどんどん多くしていった』
(生まれたばかりだから体は頼りないけど、その体は自分のものです。
どこにでもいける四肢をしっかりと持っています)
『そしてオレンジの星。外にはもっと楽しいことが待ってるよ』
(オレンジが夢のある輝く星に変わりましたね。しっかりした形を持っています。
もはや外の世界は漠然としたものではありません)
『けどそうだ、水色、黄緑をした青の下で支えている三角。
そう、私は一人じゃない。
何かはうまく説明できないけど、私は支えられてもいる』
(すごいですねぇ…。自分とICだけではなく、その丸ごとの“私”を支える何かもいる…意識が拡大していますね。混沌の中を歩き続ける体験から「何かから支えてもらっている」という体感が生まれてきました)
【YK絵21】人間宣言、勝利宣言!---------------------------------------------

『いきなりチャイルド暴走。
ノートに書く準備するから待ってと言ったのにここに書くと言って書き出す(笑)
2枚目でちゃんと自分が人間であることが分かって超うれしいらしい。
いつも使わない黄色なんか使ってうかれている。
もはや絵じゃないけど』
黄色い希望に満ち溢れた宣言です(^^)。
「天皇の人間宣言」ならぬ「ピノキオの人間宣言」
…いえ、手足さえもありませんでしたので、「“道具”の人間宣言」?
とうとう、人としての「言葉」が出てきたのです!
赤ちゃんが生まれ、育ち、ついに言葉を発したのです!!
ヘレンケラーが「ゥ・オー・ター」と、三重苦の壁をぶち破って声を発したときのようです。それは、人間であることの証明でした。
YKさんのチャイルドも、肌色でしっかりと字を書きました。
白いキャンバスに大きく堂々と―そこに、IPの枠はありません。
なんの枠もなく
自由に
大きく
に ん げ ん な れ る
その周りには希望が満ちています。
輝いています!
とてもうれしかった。
難産の赤ちゃんを取り上げた産婆さんのよう。
「ゥ・オー・ター」を聴いたサリバン先生のよう。
いや~、よかったねー!
チャイルド頑張ったね~。
お母さん(YKさん)と二人で頑張ったね~~。
これは、チャイルドの勝利宣言でした。
そして、それはYKさんにとっても。
自分の気持ちを表す「文字」を、
気持ちのままに書いたのです。
気持ちのままに文字を書いた=肉体を自分のものとして取り戻しました。
ついにYKさんとチャイルドは一体化したのです。
おめでとう!!
★人生が始まる-------------------------------------------------------------
苦難の道でした。
茨の道でした…しかし、
道具としての生から、
人としての生へ―
人生が、
はじまりました。
新たな夢とともに、幼き頃からの夢も待っています。
『子供が帰ってくる時間に、手作りのお菓子を作って帰りを待ち、帰ってきたら子供と学校であったことなどを話しながら、一緒にお菓子を食べて笑い合う』夢が…
【ゆず 「栄光の架橋」】
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