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橋本武先生の“究極の遅読”の奥義

2011/01/06(Thu) Category : 学校・教育・いじめ
元旦の記事で、もう一つ興味を引いた記事があった。
“伝説の国語教師”橋本武(98)先生の記事だ。

へぇ~、こんな先生いたんだ。
この先生の授業を受けたかったなぁ~、と記事を読みつつ心から思った。

どういう授業かというと、中勘助の小説「銀の匙」(200ページ余)を中学の3年間かけて読むというもの。

主人公が駄菓子を食べれば、買ってきて食べる。
凧揚げやカルタ取りもする。
―そういう究極の寄り道授業(体験学習)だったようだ。

外からの批判をものともせず、50年間貫き通した。
すごいね。以下は、私がすごいなぁと思ったところ。
(勝手に奥義などとつけてすみません m--m)



★奥義1、ストーリーの追体験---------------------------------------

この授業の素晴らしいところは、一つのストーリーを追体験させるところ。
断片的な知識はいくら詰め込んだところで使えない。
一つのストーリーの中に知識が織り込まれているからこそ、そのストーリーとともに知識が身についたとき、人はそれを応用できるようになる。

先生の目標は生徒に知識を詰め込むことではなく、生徒に自信をつけることにある。自信さえつけば、その後の人生何も怖いことはない。
橋本先生に教わった生徒たちは、小説が血肉となり生きる知恵と自信が身についたことだろう。



★奥義2、3年間---------------------------------------------------

それともう一つ。1年ではなく、3年間という期間をかけたこと。
人が成長していくための一つのスパンである。

人が試行錯誤しながら何かをつかんでいくのに3年はかかる。
カウンセリングも同じ。その人のペースで存分に悩みつつ進んでいく。

「すぐ役立つことは、すぐに役立たなくなる。自分で見つけたことは、一生の財産になる」と、橋本先生は言う。

同じことが、さまざまな心理療法にも言えるだろう。
そして、3年もあればそれぞれの子どものいろんなこともわかるだろう。

そういう意味で橋本先生は、3年間生徒に伴走しながら、生徒の成長を見届けていくカウンセラーのような先生なんだなぁと感じた。



★奥義3、「銀の匙」-----------------------------------------------

そして、橋本先生が貫き通せたのは、橋本先生が選び抜いた1冊―「銀の匙」という作品にそれだけの力があったからだろう。ネット上でざっと眺めても、いろいろな要素が含まれていることがわかる。

橋本先生は、その選び抜いた題材を3年かけて教えていく“教材”に作り変えた。200ページの本を3年間持たせるなんて、豊かな発想と練りに練った計画がなければできない。そこに真のすごさがある。

いわば橋本武と中勘助二人のコラボともいえる。背骨を持った二人の人間が力を合わせると、こんなにも強い。折を見て是非読んでみたいものだ。



★奥義4、自律モデル-----------------------------------------------

上記のように、橋本先生が「銀の匙」と出逢い、それを教材に作り変えて、生徒を丸ごと乗せて3年間走れる船(土俵)とした。自分が築き上げた土俵に乗っているからこそ、ぶれもせず、揺らぐこともなく、3年間貫き通せたのだと思う。

さらにその土俵は、橋本先生を50年間支え続けた。

『自分で見つけたことは、一生の財産になる』

この言葉は、自らの体験そのものを言っている言葉だから説得力がある。
自らの姿勢と教材という“形”をもって、橋本先生は3年をかけて、ただこの言葉を生徒たちに“体得”させていったと言えるだろう。そう、ちょうど琵琶法師が平家滅亡の長い物語を語りつつ、『驕れる者は久しからず』という一つの教訓を伝えていったように。

先生が自らの姿をもって教えたのは、「自律」という“生きる姿勢”だった。生徒たちは3年間、自律モデルを見続けた―そのことによって自分の背骨を作っていったことだろう。

「百聞に一見はしかず」―何より自律モデルの行動を見ることが、自律への近道である。現代人がなかなか自律できないのは、身近に自律した大人がいなくなってしまったからだ。そういう意味で、3年間自律モデルを見続けたこと―これが生徒にとっての最大の福音だと思う。






その橋本先生のノンフィクションが、昨年12月に出版されたそうだ。
いつか読んでみたい。

・「奇跡の教室 エチ先生と『銀の匙』の子どもたち


ところで、先生が導かれた生徒は約2000人。
下記に生徒だった方の記事がありました。
拝啓 橋本武先生


最後に、先生方(現場)の自由裁量を認めた度量の広い旧灘中に深く感謝したい。






【201206 追記】
*橋本先生のように子を育てる先生もいれば、先生を育てる子どもたちもいました。「Always 三丁目の夕日」の時代の日本です↓
先生を育てる社会

*しかし、日本の教育はだんだん硬直化していきます
教育行政に見るダブルバインドの構造

*そして、監獄のような学校が出現するようになります
ハラスメント・スクール

*さらに、下記のような学校を経由した2世たちが、例えば政治家や経営者になるとすれば、日本の政治経済は国民から乖離していき、没落していくでしょう。
教育大国ジパンでの生涯

*日本を立て直すには、背骨を持った日本人を作る以外に道はありません。そのためになすべきことは、そう難しいことではありません。それは、「大人たちがすべてのコントロールを手放すこと」―
それができないのは、根底に不安があるからです。内なる不安を見たくないために何かにしがみつく-それが、コントロール(支配)となります。内なる不安と向き合い、支配を手放し、楽になりましょう。
教育行政のなぜ?(3)~見守るが、干渉しない




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ブログ記事と関係ありませんが。。。

こんばんは。
一人暮らしを始めて一年半ほどです。
アルバイトをやめてからなかなか仕事が決まらないので、生活給付金がもらえる基金訓練スクールというのを受けようかと考え中です。

明日はその説明会ということで、IPが大騒ぎで恐怖感が出て判断力が奪われ、説明会に無事行けるかという感じです。

先日ハローワークに問い合わせの電話をしたところ、なにかいけないことをしたような感じや、職員の方に冷たくあしらわれたような感じがして、背中と頭がこわばり、数時間どうしたらいいかわからない感じでした。

「助けてくれそうな人と話すたびにこれからもこんな恐怖感に襲われるのか」と憂鬱になりました。

このところは家事もできていたので部屋の中もかたづいていたのですが、また何もせずにぼんやりしてしまうことが多くなりました。

「ともかく今夜はお風呂に入って明日に備えよう」と、「IP退散!」と言いながらお風呂に入りました。

夫のDVで家を出たすぐは、「いつも怖い。いつもこわばる」といった感じでした。
それを思うと今はなんでもないときは楽しいときもあるので「随分変わったな」と思うのですが、こういうイベントがあるとIPに邪魔をされます。

「いったいいつまで?この先ずっと?」とつい思ってしまいます。

ブログ記事と関係の内容ですが、書き込ませていただいてありがとうございました。

 

こんな妄想、してました

小学1年から哲学を必修にする

外国語をひとつ選択する
英語、ロシア語、チベット語、ポルトガル語・・・・
どんな言語であろうと、希望があれば対応する
チベット語を学びたい子どもには、チベット人の先生を呼ぶ

“お金がかかる・・・・”
それがなんだ
それが、日本の政府のイカンとこだ

子どもたちは、自分が学ぶと決めた言語の文化を学ぶことになる

日本の神話を教える
日本の起源をつぶさに知れば、維新以降の歴史の意味を自分で考える

日本史を、小学校の6年間をかけてじっくり、議論しながら学んでゆく

日本人であることと、自分で選んだ外国の言語と文化を学んだ子どもたちが、同じ教室で交流する

中学あたりで、哲学を提示する


きっと面白いことになる

 
    
 
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