原発不要でした。スマートグリッド(自律分散的電力網)で世界一になれる日本
3/23にコメント欄で紹介され、また3/24に大阪に行く前にお知らせしたいと妻がブログで取り上げ、さらに3/30にも再び取り上げていますが、私も取り上げます。詳しくは下記の対談をお読み下さい。
田中優×小林武史 緊急会議 「今だからこそできる話がある」
http://www.eco-reso.jp/feature/cat1593/20110318_4983.php
http://www.eco-reso.jp/feature/cat1593/20110319_4986.php
★国の決意で送電線を道路のように自由利用できる---------------------
『東京電力は、ここまでは豊かだった。この構造がある意味チャンスなんです。国は一度はお金を払わざるを得なくなるけれど、その分あとで東京電力によこせと言わざるを得なくなるでしょう?その時に、東京電力が持っている送電線を担保に取ってしまえばいい。インフラとなる送電線を、道路のように自由利用の原則に戻してしまうわけです。そうなれば、みんなが原発以外の方法で作ったエネルギーを流すことができるようになり、欲しい人はそこから買えばいいわけだから。すると、いきなりヨーロッパ型の電力体型にもっていけるわけなんです』
★東電の加害責任は明確にすることで送電線を国民のものとする---------
『実は今、大阪で被災者の避難費用の請求を準備してるんです。このままでは善意の人たちの義捐金から払われますね。でも原因を作った東京電力という加害者がいるのに、その被害を市民が負担するのはおかしいと思うんです。それを弁護士に頼んで、政府と話し合いをつけてという道筋で。今回の被害はとても1200 億円では足りないから、どっちにしろ政府が負担することになります。でもそれなら代わりに政府が送電線をもらいうければいいと思うんです』
★元々送電線は自治体のもの-----------------------------------------
『戦前には、600以上の電力会社があって、各駅ごとにあちこちにあった。それが戦争が始まるときに、政府が「日本発送電株式会社」といって、勝手に全てひとつの電力会社にしてしまったんだよ。それを戦後になってみんなに分けなくちゃいけなくなって、九つの地域に分けたから9つの電力会社ができたわけ。実はそのときに、戦前にその中の多くの発電をしていたのは各自治体だったんですよ。その県が「ふざけるな、返せ!」という運動を起こして1965年まで戦っていたんだけれど最終的に負けてしまった』
★電力会社の最大コストは送電線-------------------------------------
『大きな仕組みを維持するには大きな仕組みじゃなくちゃいけないでしょう? だから、巨大な原発を建てて、そこから全部配りますよという巨大なヒエラルキーを作ってしまった。それを今度は地域分散にしていかなくてはいけない。そのほうがコストも安いしね。今まで、青森県に作ろうとしてきた東京電力の東通原子力発電所は、東京までの送電線だけで3兆円くらいかかるの。実は電力会社の最大コストは発電所じゃなくて、発送配電の送電線なんだよね。その送電線を国に戻してもらうことができればと』
★企業が省エネしない理由(使わせるための料金体系)-----------------
『実は家庭の電気料金というのは省エネを進めるために、使うにつれて単価そのものが高くなるようになっているんです。それに対して、事業系の電気料金は使えば使うほど安くなる。だから、省エネしても事業者は得にならない。これを家庭と同じ設定にしてくれれば、企業はたちどころに省エネに取り組みます。確実に 3割は変わってくるでしょう。日本全体の電力の4分の3は企業が使っているので、それが3割減ったら、発電所も直ちに4分の1は止めることができる。つまり、全体の22%ほどである原子力発電所はすべて止めても問題はなくなるんです』
★発電所建設コストは住民が払わされている---------------------------
『各地域の経団連の代表というのは、全部電気会社の代表なんです。なぜなら、電力会社が「ここに発電所を作りましょう」というと、5000億円ほどのお金が動くわけ。それで「君のところに頼もうかな」と言えば、ゼネコンが儲かる。しかもそのお金は、実はかかった費用に3.5%上乗せして、みんなの電気料金からとってもいいことになってるの。だから、お金をかければかけれるほど利益が大きく出るという構造になってしまっている』
★メディアが電力会社に逆らえなかった理由---------------------------
『テレビコマーシャルなどで「原発はいいものだよ」とPRするたびに、それも経費として3.5%利益としてとれる。その結果、あらゆるメディアは電力会社にビビって、電力会社の意向に逆らうことだけは言えなくなった。それで情報鎖国ができちゃったわけ。日本だけは異常な常識が通る。世界で一番安いのは自然エネルギーなのに、日本でだけは自然エネルギーが高いと教わっていてさ。そういう仕組を作ってしまったのは、お金の流れなんだよね』
★ドイツは自然エネルギーを進めて雇用を生み出した-------------------
『ドイツは自然エネルギーを進めて、27万人の雇用を生み出している。それと、炭素税を導入したんです。その税の使い道は自然エネルギーだけではなくて、圧倒的に企業が負担していた年金の半額部分。そこに助成金として配ったんだよ。アルバイトは雇っていても助成金がとれないけれど、正社員ならばとれる。そしたら企業はみんな正社員に切り替えちゃった。それで25万人の雇用が増えたわけ。ドイツは日本の3分の2の人口だから日本の数字に直すと、トヨタ自動車グループの3倍分である78万人の雇用が増えているんですよ。だから、政策によって従来のものと切り替えていけば、自然エネルギーは規模も小さいから雇用者数も増えるんです。にも関わらず、コストは安いんです』
★犬吠埼の風力発電だけで東電の全電力を賄える-----------------------
『九州大学がもう作っているんです。それはカーボンファイバーというすごく軽い物質で作っていて水に浮くから、海の上に並べておくと勝手に発電して電気を送ってくれるという仕組み。日本は国土が狭いけれど、海の面積を入れれば12倍になるんですよ。そうすると、日本はすごく大きい国になれる』
『今の電気をまかなうのに、そんなに本数はいらないからね。東京電力が東京大学に委託して、犬吠埼に風力発電を建てたらどれだけ発電するかを調べたそうです。そうしたら出てきたデータが「東京電力がまかなっている電気が全部作れます」というものだった。犬吠埼の沖合だけで、だよ』
『そうしたら東京電力は「そのデータは公表しないでください」と言った。だけど、こっそりとインターネットに公表されていたのを僕は検索して見つけてさ』
【ご参考】実験始まる洋上浮体風力
★シンプル低コストで発電量は多い波力発電----------------------------
『もうひとつすごいのが、神戸大学院の先生が作ったものなんだけれど、波力(波の力)で発電する仕組みがあるんです。今までもあったんだけど、すごく複雑で大掛かりなものだったわけ。だけど、神戸大学院の先生が作ったものは、たった9メートル×15メートルという小さな発電機を、海に浮かべて回すだけで、45キロワットずつ発電するというものなんです。ジャイロっていうんだけど。世界で最もシンプルなもので、コストは安い、発電量は多い、というもの』
★シンプル低コストで発電量は多い波力発電----------------------------
『スマートグリッドを進めていくのに必要なのはね、まず自然エネルギー。これは実は世界の中でも日本がトップの技術を持っている。その次にバッテリー。これも日本が世界でトップですよ。次は電気自動車。これも実は日本で開発されているものが、世界一効率がいいと言われている。あとはIT。これも日本が得意なジャンルじゃない。
で、もうひとつは省エネ。ここに関しても実は日本がいちばんなの。電力会社が邪魔していて伸びることができなかっただけで、電力会社をよっこらしょってどけることができたら、スマートグリッドを世界一、進めることができるのは、実は日本なんだよね』
【追記】
「新しいエネルギーの未来」に次の訂正が付記してありましたので追記させていただきます。
注1:記事掲載時、本文にてスパイラルマグナスについて「風速50mでも発電した」と記載しておりましたが、
正しくは、「風速50m/sの風に風車本体が耐えた」(風車は回転させておらず、本体が強風に耐えた)という
ものだったため訂正させていただきました。
注2:本文にて、「犬吠崎の沖合に風車を建てたとしたら」と記載しておりましたが、正確には「関東地方沿岸
50km以内に風車を建てたとしたら」というものであったため、ここに関する内容を訂正させていただきました。
*原発にかけた巨額のお金を自然エネルギーの研究開発にまわしてほしいものです。
【ご参考】
・田中優の'持続する志'
・原発について、とても重要な田中優氏の話
・原発がなくても大丈夫な理由!
・スマートグリッド日本