近代世界システムを「終わらせる地」であり、「始まりの地」である日本
昨夜の「教科書にのせたい!」で、イースター島のことが出ていましたね。豊かな森林と生態系を持った楽園だったのが、巨大なモアイ像を立てたほうが勝ちという部族間競争に駆り立てられ、モアイの建設運搬のために木を刈りつくして生態系が崩壊し、果ては食糧難から人肉食に至った島です。
モアイ建設は、その時代の共同幻想では価値があり必要なことだったのでしょう。しかしそれは、生態系やエントロピーを無視した価値でした。人間が熱に浮かされやすいこと、またエゴで突っ走るとどうなるのかをイースター島は教えています。
昨日掲載した槌田敦教授の指摘どおりだと思いました。
・CO2温暖化脅威説は世紀の暴論
― 寒冷化と経済行為による森林と農地の喪失こそ大問題 ―
海岸に立ち並ぶ原発が、現代のモアイ像に見えてしまいますね。
★科学技術という傲慢な堕天使--------------------------------------
7日の新聞に、『3.11に砕かれた近代の成長信仰』と題して、世界を一つの系としてとらえる「世界システム論」の研究者である川北稔大阪大名誉教授のインタビューが掲載されていました。
(「一般システム論」から派生した分野の方が登場するのは嬉しいですね。今回は歴史学です。なお、ニコラテスラの言う世界システムは別物ですが、こちらもまた今後注目されるでしょう)
川北教授は近代を「経済成長を前提にした時代」ととらえ、「成長はいいこと」「ゼロ成長なんてとんでもない」という発想を持つ「成長パラノイア」と呼んでいます。(パラノイアとは、妄想症、偏執病)
そして、「成長パラノイア」が「魔法の杖」として頼ってきたのが科学技術。しかし、大規模災害さえも乗り越えてきた科学技術でしたが、今回次の2つのことに気づかされたといいます。それは、
1、科学技術でさえも抑え込めない自然災害があること
2、科学技術自体が巨大な災害を生んでしまうこと
成長パラノイア達を従えて、われは神(自然)をも超えると飛翔してきた科学技術。その粋を集めたものとして降臨した現代の神―原発。
その傲慢な現代の神が、ついに堕ちたのです。
まるで、堕天使ルシファーのようですね。
★成長信仰で玉突きバブルをしていく近代世界システム-----------------
川北教授によると、現在の世界システムは16世紀のポルトガルに始まりましたが、その地位が低下していった18世紀半ばに首都リスボンを大地震と津波が襲い、1/3の人々が亡くなりました(歴史の相似形に驚きます)。
その後(成長パラノイアの観点から見ると)ポルトガルは凋落していきますが、川北教授は、現在のポルトガルは安定し、幸せであると見ています。
その頃は世界システムの中心はロンドンにあり、政治・経済・文化のすべてが一極集中していました。
当時、世界システムの「外」にあった日本は、政治=江戸、経済=大阪、文化=京都と三都に分散してバランスが取れていました。
が、世界システムに巻き込まれる中で東京に一極集中し、今回その日本に巨大災害が到来しています。リスボン→ロンドン→東京と、成長信仰の世界システムに巻き込まれたところは一極集中した挙句、バブルがはじけて崩壊していますね。
が、災害はリスボンのときのように東京を直撃しませんでした。幸いなことに、日本人は道を選択するための猶予が与えられたのです。
それは、なぜでしょうか?
★「猿の惑星」化を進める原発原理教---------------------------------
私はこう思いました。
16世紀に始まった世界システムの流れが東の果ての日本にまで到達し、地球最高の低エントロピー源である「水(絶対的富)」を豊富に持つ日本で科学技術が(現代文明においては)地球最高度に花開きました。
ここで日本人の霊性が科学技術とバランスをとり、精神性と科学のバランスが取れた文明を築くことができればよかったのですが、成長パラノイアに感染してしまいました。そして、「科学+成長」信仰の頂点に立つ原発原理教を推進する原発3大勢力の拠点となってしまったのです。
問題はそれが国ぐるみということです。今朝(20日)の新聞で、原子力を規制するはずの米原子力規制委員会(NRC)が、原子炉を売り込んでいたことがウィキリークスによって暴露されました。
日本でも原子力安全・保安院の機能不全ぶりが白日の下に晒されましたが、日米仏ともに国ぐるみであることがよくわかります。
「猿の惑星」という映画がありましたね。
あの中で未来人たちは、核ミサイルを神として奉っていました。あの不安に怯えた未来人たちはパラノイアだと笑い話で見ていましたが、何のことはない、私たちもまた原発という神棚をあちこちに奉っていた成長パラノイアだったわけです。
このまま声を挙げずに成長パラノイアたちに任せていれば、私達は将来テイラーと同じ風景を見ることになるのかもしれません。そのときに叫んでも、遅いのです。
★「3度目」の意味------------------------------------------------
そこにきたのが、「3度目」です。
「3度目の破壊的原発事故」と「3度目の放射能被曝」―
地球最悪の高エントロピー排出物質を選んだ
地球最高の低エントロピー資源(水)を持つ国に対して、
目を覚ませ!
と、原発の事故が起こったのではないでしょうか。
原発を選ぶことができたのも、水という「絶対的富」を持つからです。
しかし、日本人は、これだけ恩恵にあずかりながら水の本当の価値を知りません。
そして、高い金を払って何のご利益もない宝塔を買っています。
この詐欺の神に対して本当の神(大自然)が怒っているように思います。
★トラウマを克服したら手放せ---------------------------------------
ただ…黒舟(鉄の船)に侵入されて鉄鋼産業を我が物とし、
次に、原爆に傷ついて原発を我が物とし―
この過程は、トラウマを克服していく過程として責められません。
が、もはやそれを克服して我が物としたのであれば、手放しましょう。
克服し、魂が成長するために、その課題はやってきたのですから。
悔しい気持ちも意地もわかりますが、我が物としたものを武器にしようと思えば、かつて自らが味わった苦しみを他の人々に拡大することになります。ハラッシーがハラッサーに転化するのです。
放射能被害者(被曝者)だった日本人が、今海に垂れ流して放射能加害者となっているように。そして、最後に手痛いしっぺ返しを受けるのは自分です。
この延々たる連鎖を、いつまで人類は続けるつもりでしょうか。
★執着から自分を解放しよう-----------------------------------------
今回の震災で目が覚めた人はたくさんいます。
延々たる連鎖の中で、20年近くも親と口をきいていない人がいました。
『それがなぜか、今謝らなきゃ!と思うと同時に電話を持っていました』
謝って、愛していると言って、長生きしてほしいと言って……次々に言葉ができたそうです。あぁ、この方はアセンションするな(←今風に言えば)と、思いました。
今伝えたいことは今言おう―そういう風潮が出てきています。
明日命があるかどうかわかりませんからね。
つまらない意地を張っている時間的余裕は残されていません。
行動できない理由を考えている間に新たな災害が起こるでしょう。
思ったときに行動する―もうそれしかないのです。
親に伝えたいことを伝えたら、あとはすべてのチャイルドを自分が引き受けるだけのことです。その覚悟しましょうよ、みんな。
日本も、これほどに世界から注目されていることがわかったのですから、もはや認めてもらおうと頑張る必要はありません。ナンバー1でなくてもよいのです。意地もプライドも執着―すべての執着を手放しましょう。そして、執着から自分を解放しましょう。
神と仏の国日本から、その範を世界に示しましょう。
行動に移すだけ。
明日から、あなたも変わることができるはずです。
★500年にわたる近代世界システムの終焉------------------------------
東日本大震災は、個人の執着を打ち砕いたのみではなく、16世紀~20世紀にかけて、実に500年にわたって積み上げてきた人類の嘘(妄執)を、ほんの一瞬で暴いて見せました。もはや500年にわたる近代世界システムは、行き先のない終焉に向かっています。
今、日本人に求められているものは、人類のエゴに基づいた科学技術を手放し、木村秋則さんのように宇宙の法則に基づく真の智恵を発揮して、新たな生態系文明を築いていくことです。
それは、
自然と共存する智恵を持ち、
また科学技術へのトラウマを克服し、
かつその怖さも身をもって体験した日本人だからこそできることなのです。
ここまでよくやってきました。
しかし、もういいのです。
今の文明を手放しましょう。
……もしかすると、霊性の高い文明だったレムリア(ムー)と、科学技術文明だったアトランティス―この二つの文明の融合という見果てぬ夢が、今、日本に託されているのかもしれません。
ただ、きちんと終わらせる決意をしなければ、次に向かってスタートできません。これまでの人生脚本に感謝し、そして終わらせましょう。
まずは、嘘の神=原発を終わらせる決意をすること。
そこからです。
極東の国 日本は「終わらせる国」であり、
日出ずる国日本は「始まりの国」なのです。
【かりゆし58「オワリはじまり」】