放射能:累積被曝量と癌・白血病の関係~そこに住み続けるかいなか
2011/06/15(Wed) Category : 地震・災害・脱原発
★各地に点在するホットスポット
★一般の大人の被曝量上限は年間1mSv
★原発労働者の年間の許容被曝量は20mSv→福島対応のみ250mSv
★2500mSv浴びると人は死ぬ
★累積被曝量50mSvで亡くなった事実
★年間20mSv以下でも、累積被曝量で癌になる
★累積被曝量50mSvが多発性骨髄腫発症の閾値
★放射能と人は共生できない(当たり前)
★終わりなき人体汚染:生物濃縮の実態
★米科学アカデミーが「放射線に、安全な量はない」と結論
★事実を知って自分の意志で行動しよう
★各地に点在するホットスポット--------------------------------------
昨日の「とくダネ!」で、南相馬市で避難区域になっていない地区で20ミリシーベルト(年換算)を超える汚染地域(ホットスポット)が見つかったことを報じていました(計画避難区域とは年間被曝量が20mSvに達する地域)。
さらに、南相馬市の退去地区から避難する人への取材で、その人々が向かうといっていた伊達市。そこでも、各地に20ミリシーベルトを超えるホットスポットがあることがわかりました。
おそらく日本各地に、そのようなホットスポットが見つかることでしょう。そこに住み続けるとはどういうことでしょうか?
また、低線量地域なら大丈夫なのでしょうか?
★一般の大人の被曝量上限は年間1mSv----------------------------------
まず、一般の大人の年間許容被曝量は1ミリシーベルトが上限とされています。これは、広島で被爆して以降30年間、「ぶらぶら病」を追跡されてきた医師の肥田舜太郎さんが、『1ミリシーベルトは、皆さんの幸不幸の分かれ目になる』と“体験として”言われていたことと合致します。
基準になっている20ミリシーベルトとは、原発労働者の年間の許容被曝量です。つまり、ホットスポットのまさに中心である原発内で作業する人に対して、やむを得ず決めている基準です。そもそも「放射能の海」という密閉された特殊空間に入ることを前提とした数字であって、開かれた空間で適用できる数字ではありません。
にもかかわらず、この数字を提示した専門バ家と、それを子どもにまで適用しようとした文科省には、その無責任さと非人間性に怒りを禁じえません。
【小佐古敏荘氏、子どもの命を守らない政府へ抗議の辞任】
また、原発は開放定常系(生態系)には決してあってはならないものであることが、改めてわかると思います。
そして、このブログで何度も書いてきましたが、価値閉塞系で事件や事故が起こります。しかも、その人災が全地球規模に及びました。私達が声を上げなければ、この国は、いえ地球は滅びます。
原発撤退を決めたドイツ、イタリアに続きましょう。
開放定常系とは相容れない原発は廃棄、及び
価値閉塞系である産官学の原発村は解体しなければなりません。
(永遠に管理しなければならない人々を残して)
★原発労働者の年間の許容被曝量は20mSv→福島対応のみ250mSv-----
ところで、昨日の朝日新聞の1面は『被曝限度250ミリ超8人に』という見出し(100ミリ超102人)。
この見出しのつけ方に戦慄を覚えました。
事情をよく知らない人は、この『被曝限度250ミリ』というのが頭にインプットされることでしょう。この数字がインプットされた後で小さな数字を見ると、大したことはないと思ってしまいます。
それが社会のムード(雰囲気)を作ります。そして、細かい数字を気にする人に神経質とレッテル貼りするような無言の圧力が形成されていくことにもなるのです。
ああ、このようにしてマスコミは「新たな社会の常識」をひそやかに形成していくんだなぁ、とその“現場”を目の当たりにした思いでした。
やがてそれが「現実」として登場するようになり、今度は「現実を見ろ」とその“現実”を人に強制してくるようになるのです。こうして本末転倒社会が出来上がってしまいました。
このような見出しのつけ方をすること自体、相当の社会的責任があることをマスコミは知るべきです。いついかなるときも、人の命を守るジャーナリズムの精神に基づいて行動してほしいと思うのです。
このような報道をする場合は、次のことを常に明示してほしいと思います。
・一般の大人の被曝量上限は年間1mSvであること。
・原発労働者の年間の許容被曝量は20mSvであること。
・福島原発作業においてのみ、20mSv→100mSv→250mSvと引き上げられたこと。
★2500mSv浴びると人は死ぬ-------------------------------------------
しかも、なぜ250mSvにまで引き上げられたのかがわかりません。
昨日掲載したガンダーセン博士によれば2500mSv浴びると人は死ぬとのこと。人が死にいたる1/10を許容値に設定しているのです。
私に推測できるのは、20mSvに比べると限界作業時間が12.5倍になるということです。言い換えれば、20mSvのままであればあまりにも作業時間が短くて何もできないために250mSvと設定されたのではないかということです(つまり、それほどに放射能が高いということです)。
この本末転倒した感覚がまかり通っていることが無念です。
たがが外れれば、なしくずしになります。東電の人命軽視とも言うべきずさんな管理が問題視されていますが、被曝限度を250mSvに上げたこと自体も問われるべきです。既に、20mSvを超えた方が734名もいらっしゃいます。
『実物大の模型を使って2、3週間かけて訓練します。作業員は高レベルエリアで3分間の作業を行なって、1年分の被曝を受けます。私たちは彼らに報酬を支払い、どうもありがとう、来年また会いましょう、と言います。福島でもそういう状況になるでしょう』
―ガンダーセン博士は、そう言っていました。
2、3週間かけて訓練して3分間の作業です!
これが、原則を決して曲げないやり方なのではないでしょうか。
なぜ、そこまで徹底するのか。
それが、人命を尊重するということだからです。
では、放射能被曝により原発作業員がどうなるでしょうか。
厚労省が初めて明かした数字を見てみましょう。
★累積被曝量50mSvで亡くなった事実-----------------------------------
【共同通信 2011/04/28】35年間で10人労災認定 原発労働者のがん
厚生労働省は27日、がんになった原子力発電所の労働者のうち、過去35年で10人が累積被ばく線量などに基づき労災認定されていたことを明らかにした。福島第1原発の事故を受け、初めて労災の認定状況を公表した。
1976年度以降、労災認定された10人のうち白血病が6人。累積被ばく線量は129・8~5・2ミリシーベルトだった。このほか多発性骨髄腫が2人で、それぞれ70・0、65・0ミリシーベルト。悪性リンパ腫も2人で、それぞれ99・8、78・9ミリシーベルトだった。
厚労省によると、がんに対する100ミリシーベルト以下の低線量被ばくの影響は科学的に証明されていないが、線量が増えれば比例して発がん可能性も増すとの仮説があり、同省は「100ミリシーベルト以下での労災認定もあり得る」としている。
―という記事がありましたが、それらの方の記録が紹介されていました↓
「子どもが年間20ミリシーベルトって?」によると
・50.63mSv 慢性骨髄性白血病により死亡
・70mSv 多発性骨髄腫
・99.76mSv 悪性リンパ腫により死亡
いかがでしょうか。累積被曝量50mSvで亡くなった事実があるのです。この一つの事実で十分ではないでしょうか。そこに、失われた尊い命があるのです。
★年間20mSv以下でも、累積被曝量で癌になる---------------------------
『原子力資料情報室通信』350号(2003年8月1日発行)に、『原発被曝労働者に発症した多発性骨髄腫を労災に認定せよ!!』という阪南中央病院内科部長・検診センター長 村田三郎氏の意見書が掲載されています。
それによると、福島第一原発2・3号機、浜岡原発1・2号機、新型転換炉ふげんで配管工事や現場の監督をした、元石川島プラント建設正社員である長尾光明さん(77歳)は、1998年に骨髄の癌の一種である多発性骨髄腫を発症しました(上記2番目の方です)。
77年度に16.7mSv
78年度に10.7mSv
79年度に13.0mSv
80年度に 5.6mSv
81年度に24.0mSv
合計70mSvの被曝をしたとのことです。
81年以外は、国が決めた年間20mSvを超えていませんよね。
でも、白血球数は77年6700/μ→81年8600/μに漸増しており、骨髄に影響を及ぼしていたことがわかります。
どんなに低い線量でも、「影響はある」のです。だって放射線が飛んでいる限り、遺伝子を傷つけ続けているわけですから。
★累積被曝量50mSvが多発性骨髄腫発症の閾値--------------------------
同レポートでは、『広島・長崎の原爆被爆者に多発性骨髄腫が多く発生していることは、原爆被爆者の寿命調査や成人健康調査結果からも明らかである』と述べています。
また、オークリッジ国立研究所の調査によると、
45歳以後に10mSv累積被曝した場合、
10年後の癌死率は4.98%増。
20年後の癌死率は7.31%増。
これは、一定の被曝量であっても年を経るごとに影響が出てくることがわかりますね。
ノースカロライナ大学によると、
累積被曝量が50mSvを超すと多発性骨髄腫の発生率が高まるそうです(10mSv以下の者の3.5倍)。前の抜粋記事で、[アメリカの放射線作業員の年間被曝許容量は、50ミリシーベルトです]とありますが、このノースカロライナ大学の調査結果を基準にしているんでしょうね。
(ただ米国の原発労働者の上限も20mSvという記事もあってはっきりとしません。50mSvを超すと多発性骨髄腫が発生することがわかっているわけですから、上限を20mSvととする方が妥当だと思いますが)
いずれにせよ、累積被曝線量50mSvが多発性骨髄腫発生の境目となる数字(閾値)なのだということがわかります。
★放射能と人は共生できない(当たり前)------------------------------
これで、肥田舜太郎さんが『1ミリシーベルトは、皆さんの幸不幸の分かれ目になる』と言われていた理由がわかる気がします。年間1mSvで50年間では50mSvですから、少なくとも50年間は癌にならずに生きていけるだろうということでしょうか。しかし、上記事実を見るとおり、50mSvで亡くなっている方もいらっしゃいますから、『幸不幸の分かれ目』なのでしょう。
少なくとも、そこに50年間住むということを仮定した場合は、年間1mSvという値さえもギリギリの値なのです(人工的放射線は本来ゼロであることを念頭に置いて下さい)。
【補足:この「当たり前のことを常に念頭に置く」ということが、本末転倒をさせないことにつながります。IPに苦しめられている方は、当たり前ではないことが脳に刷り込まれているために苦しんでいます】
米国の研究結果を地域の居住可能性に当てはめると次のようになります。
例)放射線量が年間10mSvの地域
・そこに1年居住しただけでも、20年後の癌死率は7.31%増
・5年居住した場合、累積被曝量50mSvとなり多発性骨髄腫になる可能性
いかがでしょうか。年間10mSvの地域であっても、住むことはできません。
年間20mSvを小学校の校庭に適用した場合、小学校の6年間で累積被曝線量が120mSv(!)となります。この数字を挙げた専門バ家は一体何を考えていたのでしょうか。
放射能が検出される地域に人は居住できないということが、(わざわざ言うまでもないことですが)改めてよくわかるのではないでしょうか。
ホットスポットに住んでいたブラコフさんは、ある日突然白血病になりましたね。【脱原発―現在のベラルーシに見る20年後の日本】
また、黒い雨でホットスポットになった地域に住んでいた人々も癌死しましたね。【脱原子力―子供達に放射能汚染の無い未来を】
けれど、いずれも国からなんらの補償もなされてはいません。
そして、南相馬市のホットスポットに住む人々も、国からの補償がないために身動きできずに“そこ”にいます。
・・・でも、何より大切な健康を、一生涯失うことになるかもしれないのです。それは、被災地の問題ではありません。今や日本全国民の問題です。
★終わりなき人体汚染:生物濃縮の実態---------------------------------
ホットスポットと認定されていない低線量地域でも被曝障害が起きていることが、ドキュメンタリーにありました。
【チェルノブイリ原発事故人体汚染4】
土地の汚染量が低いのに体内被曝量が高い。なぜ?
牧草の放射能は土の15倍。
それを牛が食べ、その牛乳から人間へと次々に濃縮されていった。
これまでは、放射線量に基づく汚染地図しかなかった。
が、低線量地域でも高線量地域と同じ被害が生まれている。
人体への健康被害という観点から見て、「放射能汚染地図が大きく書き変えられる」と、ベラルーシ国立土壌研究所は述べています。
*尚、上記動画が全内容文字起こしつきで下記にあります。ありがとうございます。
・NHKスペシャル|終わりなき人体汚染~チェルノブイリ原発事故から10年~
【参考】米国コロンビア川での放射能濃縮データ
★米科学アカデミーが「放射線に、安全な量はない」と結論--------------
・低線量被曝でも発がんリスク―米科学アカデミーが「放射線に、安全な量はない」と結論―(2005)
『原子力の体制派から「自然放射線レベルの線量リスクはとるに足らない」とか「低線量の被曝は免疫力を高め、むしろ健康のためになる」などの強い主張があった。米国科学アカデミーの電離放射線による生物学的影響に関する調査委員会がBEIR-VII報告としてまとめた内容が、これらの主張を否定したことに大きな意義がある』
上記調査は、『15カ国の59万8,068人の原子力施設の労働者のうち1年以上原子力施設で働き、外部被曝線量記録がはっきりしている40万7,391人で、集団の90%は男性。追跡調査を含めて、約520万人・年分の調査を行なった。これまでの原子力施設労働者の調査では最大規模である』
『被曝線量は、
集団の90%は50ミリシーベルト以下、
500ミリシーベルト以上被曝した人は0.1%以下で、
個人の被曝累積線量の平均は19.4ミリシーベルト』
―全世界約40万人の原発労働者の平均被曝量は19.4mSvです。
『100ミリシーベルト被曝すると
白血病を除く全がん死のリスクが9.7%増加し、
慢性リンパ性白血病を除く白血病で死亡するリスクは19%増加する』
『ICRPは職業被曝限度を5年間で100ミリシーベルトを超えず、1年間に50ミリシーベルトを超えないようにと勧告している』
★事実を知って自分の意志で行動しよう---------------------------------
私が言いたいことは、ホットスポットであれ低線量地域であれ、関係ない。
注目すべきことは、累積被曝量であるということです。
たとえ1ミリシーベルトでも、10mSv累積被曝した場合の10年後の癌死率は4.98%増加し、50年間そこに居続ければ多発性骨髄腫が発生する可能性があるということです。
とどのつまり、
原子力と生命は共存できないのです。
目を背けずに事実を知ることです。
見たくないからと言っても、事実はそこに在ります。
不安を見たくない人がどんなに理屈で自分を守ろうとしても、
事実から自分を守れるわけではありません。
理屈で頭をごまかすことはできても、
体は蝕まれていくのです。
事実を知った上で、どう行動するのかは
あなたの意志です。
【RANKIN TAXI 「誰にも見えない、匂いもない」】
★一般の大人の被曝量上限は年間1mSv
★原発労働者の年間の許容被曝量は20mSv→福島対応のみ250mSv
★2500mSv浴びると人は死ぬ
★累積被曝量50mSvで亡くなった事実
★年間20mSv以下でも、累積被曝量で癌になる
★累積被曝量50mSvが多発性骨髄腫発症の閾値
★放射能と人は共生できない(当たり前)
★終わりなき人体汚染:生物濃縮の実態
★米科学アカデミーが「放射線に、安全な量はない」と結論
★事実を知って自分の意志で行動しよう
★各地に点在するホットスポット--------------------------------------
昨日の「とくダネ!」で、南相馬市で避難区域になっていない地区で20ミリシーベルト(年換算)を超える汚染地域(ホットスポット)が見つかったことを報じていました(計画避難区域とは年間被曝量が20mSvに達する地域)。
さらに、南相馬市の退去地区から避難する人への取材で、その人々が向かうといっていた伊達市。そこでも、各地に20ミリシーベルトを超えるホットスポットがあることがわかりました。
おそらく日本各地に、そのようなホットスポットが見つかることでしょう。そこに住み続けるとはどういうことでしょうか?
また、低線量地域なら大丈夫なのでしょうか?
★一般の大人の被曝量上限は年間1mSv----------------------------------
まず、一般の大人の年間許容被曝量は1ミリシーベルトが上限とされています。これは、広島で被爆して以降30年間、「ぶらぶら病」を追跡されてきた医師の肥田舜太郎さんが、『1ミリシーベルトは、皆さんの幸不幸の分かれ目になる』と“体験として”言われていたことと合致します。
基準になっている20ミリシーベルトとは、原発労働者の年間の許容被曝量です。つまり、ホットスポットのまさに中心である原発内で作業する人に対して、やむを得ず決めている基準です。そもそも「放射能の海」という密閉された特殊空間に入ることを前提とした数字であって、開かれた空間で適用できる数字ではありません。
にもかかわらず、この数字を提示した専門バ家と、それを子どもにまで適用しようとした文科省には、その無責任さと非人間性に怒りを禁じえません。
【小佐古敏荘氏、子どもの命を守らない政府へ抗議の辞任】
また、原発は開放定常系(生態系)には決してあってはならないものであることが、改めてわかると思います。
そして、このブログで何度も書いてきましたが、価値閉塞系で事件や事故が起こります。しかも、その人災が全地球規模に及びました。私達が声を上げなければ、この国は、いえ地球は滅びます。
原発撤退を決めたドイツ、イタリアに続きましょう。
開放定常系とは相容れない原発は廃棄、及び
価値閉塞系である産官学の原発村は解体しなければなりません。
(永遠に管理しなければならない人々を残して)
★原発労働者の年間の許容被曝量は20mSv→福島対応のみ250mSv-----
ところで、昨日の朝日新聞の1面は『被曝限度250ミリ超8人に』という見出し(100ミリ超102人)。
この見出しのつけ方に戦慄を覚えました。
事情をよく知らない人は、この『被曝限度250ミリ』というのが頭にインプットされることでしょう。この数字がインプットされた後で小さな数字を見ると、大したことはないと思ってしまいます。
それが社会のムード(雰囲気)を作ります。そして、細かい数字を気にする人に神経質とレッテル貼りするような無言の圧力が形成されていくことにもなるのです。
ああ、このようにしてマスコミは「新たな社会の常識」をひそやかに形成していくんだなぁ、とその“現場”を目の当たりにした思いでした。
やがてそれが「現実」として登場するようになり、今度は「現実を見ろ」とその“現実”を人に強制してくるようになるのです。こうして本末転倒社会が出来上がってしまいました。
このような見出しのつけ方をすること自体、相当の社会的責任があることをマスコミは知るべきです。いついかなるときも、人の命を守るジャーナリズムの精神に基づいて行動してほしいと思うのです。
このような報道をする場合は、次のことを常に明示してほしいと思います。
・一般の大人の被曝量上限は年間1mSvであること。
・原発労働者の年間の許容被曝量は20mSvであること。
・福島原発作業においてのみ、20mSv→100mSv→250mSvと引き上げられたこと。
★2500mSv浴びると人は死ぬ-------------------------------------------
しかも、なぜ250mSvにまで引き上げられたのかがわかりません。
昨日掲載したガンダーセン博士によれば2500mSv浴びると人は死ぬとのこと。人が死にいたる1/10を許容値に設定しているのです。
私に推測できるのは、20mSvに比べると限界作業時間が12.5倍になるということです。言い換えれば、20mSvのままであればあまりにも作業時間が短くて何もできないために250mSvと設定されたのではないかということです(つまり、それほどに放射能が高いということです)。
この本末転倒した感覚がまかり通っていることが無念です。
たがが外れれば、なしくずしになります。東電の人命軽視とも言うべきずさんな管理が問題視されていますが、被曝限度を250mSvに上げたこと自体も問われるべきです。既に、20mSvを超えた方が734名もいらっしゃいます。
『実物大の模型を使って2、3週間かけて訓練します。作業員は高レベルエリアで3分間の作業を行なって、1年分の被曝を受けます。私たちは彼らに報酬を支払い、どうもありがとう、来年また会いましょう、と言います。福島でもそういう状況になるでしょう』
―ガンダーセン博士は、そう言っていました。
2、3週間かけて訓練して3分間の作業です!
これが、原則を決して曲げないやり方なのではないでしょうか。
なぜ、そこまで徹底するのか。
それが、人命を尊重するということだからです。
では、放射能被曝により原発作業員がどうなるでしょうか。
厚労省が初めて明かした数字を見てみましょう。
★累積被曝量50mSvで亡くなった事実-----------------------------------
【共同通信 2011/04/28】35年間で10人労災認定 原発労働者のがん
厚生労働省は27日、がんになった原子力発電所の労働者のうち、過去35年で10人が累積被ばく線量などに基づき労災認定されていたことを明らかにした。福島第1原発の事故を受け、初めて労災の認定状況を公表した。
1976年度以降、労災認定された10人のうち白血病が6人。累積被ばく線量は129・8~5・2ミリシーベルトだった。このほか多発性骨髄腫が2人で、それぞれ70・0、65・0ミリシーベルト。悪性リンパ腫も2人で、それぞれ99・8、78・9ミリシーベルトだった。
厚労省によると、がんに対する100ミリシーベルト以下の低線量被ばくの影響は科学的に証明されていないが、線量が増えれば比例して発がん可能性も増すとの仮説があり、同省は「100ミリシーベルト以下での労災認定もあり得る」としている。
―という記事がありましたが、それらの方の記録が紹介されていました↓
「子どもが年間20ミリシーベルトって?」によると
・50.63mSv 慢性骨髄性白血病により死亡
・70mSv 多発性骨髄腫
・99.76mSv 悪性リンパ腫により死亡
いかがでしょうか。累積被曝量50mSvで亡くなった事実があるのです。この一つの事実で十分ではないでしょうか。そこに、失われた尊い命があるのです。
★年間20mSv以下でも、累積被曝量で癌になる---------------------------
『原子力資料情報室通信』350号(2003年8月1日発行)に、『原発被曝労働者に発症した多発性骨髄腫を労災に認定せよ!!』という阪南中央病院内科部長・検診センター長 村田三郎氏の意見書が掲載されています。
それによると、福島第一原発2・3号機、浜岡原発1・2号機、新型転換炉ふげんで配管工事や現場の監督をした、元石川島プラント建設正社員である長尾光明さん(77歳)は、1998年に骨髄の癌の一種である多発性骨髄腫を発症しました(上記2番目の方です)。
77年度に16.7mSv
78年度に10.7mSv
79年度に13.0mSv
80年度に 5.6mSv
81年度に24.0mSv
合計70mSvの被曝をしたとのことです。
81年以外は、国が決めた年間20mSvを超えていませんよね。
でも、白血球数は77年6700/μ→81年8600/μに漸増しており、骨髄に影響を及ぼしていたことがわかります。
どんなに低い線量でも、「影響はある」のです。だって放射線が飛んでいる限り、遺伝子を傷つけ続けているわけですから。
★累積被曝量50mSvが多発性骨髄腫発症の閾値--------------------------
同レポートでは、『広島・長崎の原爆被爆者に多発性骨髄腫が多く発生していることは、原爆被爆者の寿命調査や成人健康調査結果からも明らかである』と述べています。
また、オークリッジ国立研究所の調査によると、
45歳以後に10mSv累積被曝した場合、
10年後の癌死率は4.98%増。
20年後の癌死率は7.31%増。
これは、一定の被曝量であっても年を経るごとに影響が出てくることがわかりますね。
ノースカロライナ大学によると、
累積被曝量が50mSvを超すと多発性骨髄腫の発生率が高まるそうです(10mSv以下の者の3.5倍)。前の抜粋記事で、[アメリカの放射線作業員の年間被曝許容量は、50ミリシーベルトです]とありますが、このノースカロライナ大学の調査結果を基準にしているんでしょうね。
(ただ米国の原発労働者の上限も20mSvという記事もあってはっきりとしません。50mSvを超すと多発性骨髄腫が発生することがわかっているわけですから、上限を20mSvととする方が妥当だと思いますが)
いずれにせよ、累積被曝線量50mSvが多発性骨髄腫発生の境目となる数字(閾値)なのだということがわかります。
★放射能と人は共生できない(当たり前)------------------------------
これで、肥田舜太郎さんが『1ミリシーベルトは、皆さんの幸不幸の分かれ目になる』と言われていた理由がわかる気がします。年間1mSvで50年間では50mSvですから、少なくとも50年間は癌にならずに生きていけるだろうということでしょうか。しかし、上記事実を見るとおり、50mSvで亡くなっている方もいらっしゃいますから、『幸不幸の分かれ目』なのでしょう。
少なくとも、そこに50年間住むということを仮定した場合は、年間1mSvという値さえもギリギリの値なのです(人工的放射線は本来ゼロであることを念頭に置いて下さい)。
【補足:この「当たり前のことを常に念頭に置く」ということが、本末転倒をさせないことにつながります。IPに苦しめられている方は、当たり前ではないことが脳に刷り込まれているために苦しんでいます】
米国の研究結果を地域の居住可能性に当てはめると次のようになります。
例)放射線量が年間10mSvの地域
・そこに1年居住しただけでも、20年後の癌死率は7.31%増
・5年居住した場合、累積被曝量50mSvとなり多発性骨髄腫になる可能性
いかがでしょうか。年間10mSvの地域であっても、住むことはできません。
年間20mSvを小学校の校庭に適用した場合、小学校の6年間で累積被曝線量が120mSv(!)となります。この数字を挙げた専門バ家は一体何を考えていたのでしょうか。
放射能が検出される地域に人は居住できないということが、(わざわざ言うまでもないことですが)改めてよくわかるのではないでしょうか。
ホットスポットに住んでいたブラコフさんは、ある日突然白血病になりましたね。【脱原発―現在のベラルーシに見る20年後の日本】
また、黒い雨でホットスポットになった地域に住んでいた人々も癌死しましたね。【脱原子力―子供達に放射能汚染の無い未来を】
けれど、いずれも国からなんらの補償もなされてはいません。
そして、南相馬市のホットスポットに住む人々も、国からの補償がないために身動きできずに“そこ”にいます。
・・・でも、何より大切な健康を、一生涯失うことになるかもしれないのです。それは、被災地の問題ではありません。今や日本全国民の問題です。
★終わりなき人体汚染:生物濃縮の実態---------------------------------
ホットスポットと認定されていない低線量地域でも被曝障害が起きていることが、ドキュメンタリーにありました。
【チェルノブイリ原発事故人体汚染4】
土地の汚染量が低いのに体内被曝量が高い。なぜ?
牧草の放射能は土の15倍。
それを牛が食べ、その牛乳から人間へと次々に濃縮されていった。
これまでは、放射線量に基づく汚染地図しかなかった。
が、低線量地域でも高線量地域と同じ被害が生まれている。
人体への健康被害という観点から見て、「放射能汚染地図が大きく書き変えられる」と、ベラルーシ国立土壌研究所は述べています。
*尚、上記動画が全内容文字起こしつきで下記にあります。ありがとうございます。
・NHKスペシャル|終わりなき人体汚染~チェルノブイリ原発事故から10年~
【参考】米国コロンビア川での放射能濃縮データ
★米科学アカデミーが「放射線に、安全な量はない」と結論--------------
・低線量被曝でも発がんリスク―米科学アカデミーが「放射線に、安全な量はない」と結論―(2005)
『原子力の体制派から「自然放射線レベルの線量リスクはとるに足らない」とか「低線量の被曝は免疫力を高め、むしろ健康のためになる」などの強い主張があった。米国科学アカデミーの電離放射線による生物学的影響に関する調査委員会がBEIR-VII報告としてまとめた内容が、これらの主張を否定したことに大きな意義がある』
上記調査は、『15カ国の59万8,068人の原子力施設の労働者のうち1年以上原子力施設で働き、外部被曝線量記録がはっきりしている40万7,391人で、集団の90%は男性。追跡調査を含めて、約520万人・年分の調査を行なった。これまでの原子力施設労働者の調査では最大規模である』
『被曝線量は、
集団の90%は50ミリシーベルト以下、
500ミリシーベルト以上被曝した人は0.1%以下で、
個人の被曝累積線量の平均は19.4ミリシーベルト』
―全世界約40万人の原発労働者の平均被曝量は19.4mSvです。
『100ミリシーベルト被曝すると
白血病を除く全がん死のリスクが9.7%増加し、
慢性リンパ性白血病を除く白血病で死亡するリスクは19%増加する』
『ICRPは職業被曝限度を5年間で100ミリシーベルトを超えず、1年間に50ミリシーベルトを超えないようにと勧告している』
★事実を知って自分の意志で行動しよう---------------------------------
私が言いたいことは、ホットスポットであれ低線量地域であれ、関係ない。
注目すべきことは、累積被曝量であるということです。
たとえ1ミリシーベルトでも、10mSv累積被曝した場合の10年後の癌死率は4.98%増加し、50年間そこに居続ければ多発性骨髄腫が発生する可能性があるということです。
とどのつまり、
原子力と生命は共存できないのです。
目を背けずに事実を知ることです。
見たくないからと言っても、事実はそこに在ります。
不安を見たくない人がどんなに理屈で自分を守ろうとしても、
事実から自分を守れるわけではありません。
理屈で頭をごまかすことはできても、
体は蝕まれていくのです。
事実を知った上で、どう行動するのかは
あなたの意志です。
【RANKIN TAXI 「誰にも見えない、匂いもない」】