存在不安が強い人の家の結界 4宝物殿―化石の森
★宝物殿------------------------------------------------------------
本殿に行く前に宝物殿を見ておきましょう。
存在不安の強い人は、感情で生きていません。自分の気持ち以外の何かに従って生きるということは「操り人形」ということです。操り人形がどんなに行動したとしても、後には何も残りません。「生きた記憶」がないわけですからね・・・。
たとえば、次のように
・母親という「ザ・ワールド(世界)」
ですから、存在不安の強い人は、自分の生きた証=物を残そうとします。
物を見る度に、過去に自分が存在したことを証明できるからです(それほどに自分の存在が心もとない)。だから、必ず物置の様な部屋が少なくとも1室は存在します。
たとえば、次のような感じです。
・モノに宿る餓鬼というもののけ(物の怪)→4,展示会場のような部屋
部屋を開けると、幼少期から現在までのさまざまなアイテムが所狭しと置かれていたりします。しかも、引き出しがきちんと閉じられてなかったりして、一望できるようになっていたりします。
昔の人はそんなアイテムが多いわけではありませんので、主に衣類、そしてそれを納める箪笥でしょうか。
さて、アイテムにまつわる色鮮やかな思い出が溢れてきそうなものですが、私が受ける感じはカタコンベ(地下墓所)です。
その部屋の中に時は流れず固化しています。
とても静謐で、鎮魂の森、化石の森という印象です。
★存在不安の人の居場所----------------------------------------------
ところで、その宝物殿の位置はどこにあるでしょうか。
ここでちょっと部屋の配置を見ておきましょう(尚、以下はよく見られるものですが、その家によって様々です)。
【事例A】例えば3世帯同居の場合―
大体入口近くの部屋は“門番(番犬)”の居る場所―子ども部屋。
2階建てであるなら、2階の部屋は子宮の壁としての部屋―親の部屋。
門番と子宮の壁に囲まれた1階の内奥が、支配者の部屋―祖父母。
→まぁ、存在不安の強い人が最も安心できる子宮の一番奥を選ぶわけですね。
【事例B】例えば2階建てで2階に家族の寝室がある場合―
やはり玄関側は子ども部屋。
奥が妻の部屋(別に寝ている場合)。
真ん中が夫の部屋。
→この場合、2階の真ん中の部屋を選ぶ夫が、最も存在不安が強いかもしれません。1階に空間というクッションがあり、両脇に子宮の壁ができるからです(仮にこうだからと言って、夫の存在不安が強いというわけではありませんよ。あくまで形からは入らないように。それに、夫婦の場合、不安の強さはほぼ同じですから、どちらがどうということではありませんが)
【事例C】同じく2階建てで2階に家族の寝室がある場合―
逆に、2階の玄関側であっても、階段を上がってすぐの所に存在不安の強い人が部屋を構えることもあります。それは、必ず誰もがその部屋の前を通るからです。その部屋の前を通る→その部屋を見る(まなざしもストロークですよね)→そのことを無意識にせよ想像することで、既にストロークを得ているのです。
万引きの心理と似ているかもしれません。
『万引きをするのは、捕まったときに他人から強烈な否定のストロークを受けることになりますが、それを想像しつつ万引きをする時点で、既に濃い否定のストロークを受けとることになるからです。この時のスリルとはつまり、否定的であるにせよ自分の存在が認知されているという快感なのかもしれません』
【万引きの心理-なぜ、分別ある大人や高齢者が万引きするのか】
【事例B】と【事例C】の違いは、
【事例B】は、奥に引っ込んで安心を得る要塞構築防衛型
【事例C】は、積極的にストロークを取りにいく無意識的自己顕示型とでも言えるでしょうか(俺を見ろ、俺を見てくれ、と無意識的に強制しているわけですからね)
★ストローク飢餓の人のポールポジション-----------------------------
このように、ストローク飢餓の人は、自然に飢えが満たされるような「位置取り」をすることがあります。たとえば・・
・テレビのまん前に座る←誰もがその人の後頭部を見ることになります
・必ずそこを通らなければならない位置にいる
(たとえば、居間からダイニングに行くときに、“そこ”しか通路がないとします。そして、家族がダイニングテーブルで食事をすることになっているとします。すると、そのテーブルの通路側の席を定位置としている人が無意識的自己顕示型の人です)
他の人が「邪魔だ」と思う場所が、ストローク飢餓の人にとっては“ポールポジション”なのです。邪魔だという思いや眼差しを受けること=その思いや眼差しの先に自分という存在があることを確認できるわけですから、そのポールポジションは死守します。
また、ポールポジションを作るために、わざわざ家具の配置を変えて家族の動線(人が移動する場合の経路)を変えたり、改築までしたりします。
さらに積極的にストロークを得たいなら、位置取りだけではなく、“行為”に移ります。たとえば、皆が見ている前でフケ落としなど(^^;)。
それによって、嫌悪する眼差しや「やめてよ」という声が飛んできたら、大成果。大きなストロークを得たことになります。
(このようにひもじければひもじいほど、心の食べ物であるストロークの質は何でもよくなってきます。罵倒や蔑みさえもストロークなのです)
★宝物殿を通じてストロークを得る-----------------------------------
え~、話しが思いっきり脱線しているように見えますが、まだ続きます。
宝物殿は、その家の支配者もしくは存在不安の強い人に隣接してあるか、その家のベストポジションにあったりします。
【事例A】で言えば、1階の真ん中。
【事例B&C】で言えば、1階のベストポジションか2階に余分な部屋があればそこ。
もっと部屋を有効に使えるのに、と思ってしまいますが、そのあり方がベストなのです。というのも、宝物殿はその人そのもの。ですから、その部屋に入らなくても、必ず皆がその前を通ったりするだけでもいいのです。宝物殿は黙して存在を主張しています。つまり、宝物殿を通じて、その人がストロークを得ているわけですね。
もう一つ、効用があります。
さして広くない日本の家屋で一室を潰すことによって、家族は窮屈な部屋割りをせざるを得ません。つまり、家族の自我形成の場を作らないですみます。環境的に、子は自我の発達が抑制され、母子カプセル、父子カプセル、家族カプセルができていくのです。
(尚、上記のことは、あくまでもそのような事例がったということであって、上記のような“形”があったからとて、それが上記の心理状態を示しているわけではないことにご留意下さい)
【柏原芳恵「化石の森」】
モノと一緒に記念写真を撮り続けていますね・・・
「あたしじゃない」と叫んでいる
あなたは、だれ?