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社会からコミュニケーションを奪った一因としての冷房

2009/07/30(Thu) Category : 環境
【前項の続き】

もう一つ。冷房が社会からコミュニケーションを奪ったと感じている。

冷房を入れると、窓を閉める(車でも、家庭でも、会社でも)。
そこはノイズの入らない価値閉塞空間となり、服従圧力が強まる。
ノイズが入らないという環境そのものがノイズを出すなという禁止令となる。
必然的に話がしにくくなり、静かな空間へと変質していく。

たとえば静かな職場に人が入ってきて中の人に話しかけたとしよう。
話しかけられた人は、より小さな静かな声で返す。
すると、話しかけた方も小さい声になり、ますます職場は静かになっていく。

これをシステムズアプローチの観点でいうと次のようになる。
1,ノイズ遮断の禁止令の中で、静けさを保つというホメオスタシスができる
2,外部から、その恒常性を破るポジティブフィードバックがある
  (ここでは、ふつうの声で話しかけること)
3,すると、それを打ち消すようにネガティブフィードバックで返す
  (ここでは、小さい声で返すこと)
4,そのフィードバックを受けて話しかけた側は自己修正し、小さい声で話をするという自己修正フィードバックを行う
5,こうして禁止令および静けさを保つというホメオスタシスは維持される。


職場を活性化しようと、あの手この手を使ってもどうにもならない。
コミュニケーションを活性化しようと挨拶運動などやっても焼け石に水。
聞こえてくるのは、キーボードを打つ無機的な音ばかり…。

なぜ、海の底のようにシーンと静まりかえった職場なのか?
その答えの一つがここにあると思う。

ごく単純な話、空間が密閉されているからだ。
それは、外部価値と交流してはならないという禁止令の空間となっている。
その構造的原因の一つが、「冷房」なのだと思う。



---------------------------------------------------------------
私たちは即物的な快適さを求めて、
打ち水や風鈴などの知恵を捨て、
赤ちゃんの時からエアコン付けにすることによって体温調節能力を奪い、
自律神経を失調させ、
ノイズを奪うことが知恵を奪い(←ネズミの実験)、
さらに人と人との関わりまで喪失させている。
そして、人の社会をおかしくするばかりか気候をもおかしくさせている。


ザラザラして心地よくない“刹那の快適さ”を求める代償は、あまりにも巨大だ。コスト換算すれば、瞬く間にエアコン文明は消失するだろう。
代償が、人体崩壊、社会崩壊、自然環境崩壊では意味がないからだ。



かつて、電車の中は会話があふれていた。
見知らぬ人との会話もあった。
開放され、1/fのゆらぎもあればノイズもあったからだ。

私の若い頃など、電車でも飛行機の中でも、ふとしたきっかけで隣に座っている女性などと話が始まり、長い距離があっという間だったことがよくあるよ。社会が解放されていれば、婚活などしなくとも出会いの場は至る所にあった。「袖触れ合うも多生の縁」という言葉が生きていた。(羨ましい?)

道路は貨物を流し、電車は人を流し、川は水を流すところではないのだよ。すべての通路や経路は縁を結ぶ場でもあるのだ。
が、効率(スピード)ばかりを求めて、道路から人を排除し、ダイヤからゆとりを排除し、川はコンクリで固めて生態系を排除した。

人を輸送する交通機関は、人と人がふれあう空間でもあるというところに再度焦点を当てて、老人や子供のペースに戻そうよ。
せめて、今日はエアコンはいらないと感じる気温であれば、クーラーを強迫神経症的にかけることをしないところからでも始めてほしい。

みんなの思い方一つで、開放的でゆとりある社会(開放定常系)に帰ることはできると思うよ。




「秋葉原通り魔 弟の告白」(後編)より-密室(価値閉塞空間)の中に事件の種が蒔かれる



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