「壺割」の害(3)-中見えぬ「駆け込み寺」
2006/05/23(Tue) Category : 不登校・引きこもり
2回にわたって、会社の問題においても家庭の問題においても、「壺割(つぼわり)」方式の解決策は全く効果がないこと、それどころか悪しき状態を延命させるイネイブラー(維持役)であることを述べてきた。
逆に、その人のすべてを受け入れる暖かい心で接すると、人は自ら壺を捨ててそこから出てくることを示した。自らの意志で出てくる-それこそが自律なのだ。
私は、会社においても家庭においてもそれができることを実証した。
人に生きる意欲と活きる力を与えるのは、人の愛情エネルギーだけだ。
「北風」ではなく「太陽」でなければ、人は自らの殻を脱ぎ捨ててはくれないのである。
私が会社でも家庭でもやったことは、次の2つである。
1,うなだれている個人へのエンパワーメント(力づけ)そして自律化
2,個人を取り巻く環境(会社風土、家庭風土)を変えること
1で大切なことは気持ちを受け止めること、そして、自分の過去と向き合うことである。自分の気持ちを拾い上げて味わい、過去のエピソードに光を当てて新たに紡ぎ直しをしたとき自分を取り戻し、自律の力が湧いてくる。
自分と向き合うためには相手が必要だ。
書くにせよ話すにせよ、対象を置き、その相手からフィードバックを得ることで、より理解が深まる。自分を理解するためには他者が必要なのである。だから人間一人では生きられないのだ。
しかし、他者は自らの情や煩悩を乗せてくる。特に身内は我欲を乗せてくる。それを排除するだけで、もの凄いエネルギーを使うことになる。そのため、純粋に鏡になってくれる他者が必要になってくるわけだ。その役割をするのが我々カウンセラーである。
(ただ、人生経験が浅かったり頭でっかちだったりすると、知識や理論の枠組みを押しつけてこようとするカウンセラーがいる。だから、その人に純粋な関心を向けてくれる純度の高いカウンセラーが必要になってくる。)
そして、真に大事なことは2だ。
個人を変えても、2がそのままであれば、違う誰かがまた犠牲になるだけのことだ。
本気でわかるまで、そして変わるまで、これでもかと問題(サイン)は形を変えて起こり続ける…。
会社は社員を、親は子を問題視し、場合によっては切り捨てようとする。
しかし、
私は、自らが採用した優秀な人間が気力を失っていくのをこの目で見てきた。
私は、無垢で生まれた赤ちゃんが、わずか3ヶ月の後に無表情になっていったのをこの目で見てきた。
理論や理屈ではない。
この両目で、見てきたのである。
断言する。
本人が自らダメになったのではない!
「人間は環境の動物」なのである。
(まぁ、すべての生物は環境に影響されていますから、断言するまでもないんですが… ^^;)
決してやってはいけないことは、2を無視することだ。親への信頼とは、人への信頼の根幹をなすものである。そこを無理にこじれさせてしまった場合、基本的人間不信の中で生きていくことになる。親子の関係を紡ぎ直す方向で努力しなければならない。
もちろん、世代間連鎖を絶つために断ち切らなければならない場合もある。しかし、それは本人が選択すべきものだ。
そして、引き取った子供たちは、『特別なカリキュラムなどなく、漫画を読んだり、トランプをしたりして過ごしていた』(『中見えぬ「駆け込み寺」』5/22朝日新聞)という記事を見る限りでは、上に挙げた自律に向かうための必須の作業をやってはいないようだ。
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下記に関連記事が詳しく掲載されている(順不同:記事名とブログ名)。
・「更生施設」民間任せ 引きこもり男性変死【鉄人ママの社長ブログ】
・ひきこもりに対する拉致監禁事件について【よろだいブログ「新・精神科医のノート」】
・アイ・メンタルスクール/戸塚ヨットスクール【メンタルヘルスケアセンターぐんま】
・監禁致死事件について【浅井久仁臣 グラフィティ】
・引きこもる若者 親はどうする【パッチアダムステーション】
・転載:26歳死亡、引きこもり更正NPO施設検証【タカマサのきまぐれ時評】
・威勢のいいおばさん【子育てと住宅】
・ひきこもり矯正番組はいつも…【超長期資産運用~建築模型&ロボット製作中~】
・長田塾裁判【よろだいブログ「新・精神科医のノート」】
<続く>
逆に、その人のすべてを受け入れる暖かい心で接すると、人は自ら壺を捨ててそこから出てくることを示した。自らの意志で出てくる-それこそが自律なのだ。
私は、会社においても家庭においてもそれができることを実証した。
人に生きる意欲と活きる力を与えるのは、人の愛情エネルギーだけだ。
「北風」ではなく「太陽」でなければ、人は自らの殻を脱ぎ捨ててはくれないのである。
私が会社でも家庭でもやったことは、次の2つである。
1,うなだれている個人へのエンパワーメント(力づけ)そして自律化
2,個人を取り巻く環境(会社風土、家庭風土)を変えること
1で大切なことは気持ちを受け止めること、そして、自分の過去と向き合うことである。自分の気持ちを拾い上げて味わい、過去のエピソードに光を当てて新たに紡ぎ直しをしたとき自分を取り戻し、自律の力が湧いてくる。
自分と向き合うためには相手が必要だ。
書くにせよ話すにせよ、対象を置き、その相手からフィードバックを得ることで、より理解が深まる。自分を理解するためには他者が必要なのである。だから人間一人では生きられないのだ。
しかし、他者は自らの情や煩悩を乗せてくる。特に身内は我欲を乗せてくる。それを排除するだけで、もの凄いエネルギーを使うことになる。そのため、純粋に鏡になってくれる他者が必要になってくるわけだ。その役割をするのが我々カウンセラーである。
(ただ、人生経験が浅かったり頭でっかちだったりすると、知識や理論の枠組みを押しつけてこようとするカウンセラーがいる。だから、その人に純粋な関心を向けてくれる純度の高いカウンセラーが必要になってくる。)
そして、真に大事なことは2だ。
個人を変えても、2がそのままであれば、違う誰かがまた犠牲になるだけのことだ。
本気でわかるまで、そして変わるまで、これでもかと問題(サイン)は形を変えて起こり続ける…。
会社は社員を、親は子を問題視し、場合によっては切り捨てようとする。
しかし、
私は、自らが採用した優秀な人間が気力を失っていくのをこの目で見てきた。
私は、無垢で生まれた赤ちゃんが、わずか3ヶ月の後に無表情になっていったのをこの目で見てきた。
理論や理屈ではない。
この両目で、見てきたのである。
断言する。
本人が自らダメになったのではない!
「人間は環境の動物」なのである。
(まぁ、すべての生物は環境に影響されていますから、断言するまでもないんですが… ^^;)
決してやってはいけないことは、2を無視することだ。親への信頼とは、人への信頼の根幹をなすものである。そこを無理にこじれさせてしまった場合、基本的人間不信の中で生きていくことになる。親子の関係を紡ぎ直す方向で努力しなければならない。
もちろん、世代間連鎖を絶つために断ち切らなければならない場合もある。しかし、それは本人が選択すべきものだ。
そして、引き取った子供たちは、『特別なカリキュラムなどなく、漫画を読んだり、トランプをしたりして過ごしていた』(『中見えぬ「駆け込み寺」』5/22朝日新聞)という記事を見る限りでは、上に挙げた自律に向かうための必須の作業をやってはいないようだ。
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下記に関連記事が詳しく掲載されている(順不同:記事名とブログ名)。
・「更生施設」民間任せ 引きこもり男性変死【鉄人ママの社長ブログ】
・ひきこもりに対する拉致監禁事件について【よろだいブログ「新・精神科医のノート」】
・アイ・メンタルスクール/戸塚ヨットスクール【メンタルヘルスケアセンターぐんま】
・監禁致死事件について【浅井久仁臣 グラフィティ】
・引きこもる若者 親はどうする【パッチアダムステーション】
・転載:26歳死亡、引きこもり更正NPO施設検証【タカマサのきまぐれ時評】
・威勢のいいおばさん【子育てと住宅】
・ひきこもり矯正番組はいつも…【超長期資産運用~建築模型&ロボット製作中~】
・長田塾裁判【よろだいブログ「新・精神科医のノート」】
<続く>
親は門をたたき続ける
月齢 15.3日 満月ですよぉ(●⌒∇⌒●) ★引きこもりの子の親 引きこもりのお子さんのいる一寸の虫さんが書き込んでくれたコメント。「家庭内暴力に耐えかねた親が、アイメンタルスクールとか戸塚ヨットスクールとかへの入塾で、(わが子の)回復の確... ...