自分も相手も自由にするアサーティブコミュニケーション
2013/03/04(Mon) Category : 心理学
【スリーテン解説】4
「スリーテン」感想の中で、アサーティブという言葉が出てきましたね。自律した対人関係を築く上でも大切な概念ですので、アサーティブコミュニケーションについて解説したいと思います。
★アサーティブコミュニケーションとは------------------------------
自分も相手も大切にする自己表現技法。
assertionを直訳すると「主張、断言」
assertion trainingは、「自己主張訓練」と訳されていて“自己主張”という強い語感から誤解も多いかもしれません。
Assertive(断定的な)、Assertiveness(我を張ること)という言葉が、なぜ「自分も相手も大切にする」自己表現に用いられるようになったのかについては次のような歴史的背景を知っておくと分かりやすいでしょう。
★アサーションの歴史的背景-----------------------------------------
差別に対する闘いは、歴史的には人種差別から性差別へと進んできました。
1865年のリンカーンによる奴隷解放宣言以降、黒人による公民権運動がわき起こり、100年後の1965年、少数民族や女性など、これまで差別を受けてきた人々に対する積極的な差別是正策(アファーマティヴ・アクション)をとるよう大統領行政命令が出されました。
この黒人の社会的権利獲得から学び、1970年代に入ると女性解放運動やレズビアン・ゲイ解放運動が高まります。その解放運動の中から、社会的弱者が奪われていた権利に気づき、また禁止されていた事項から自らを解放するために、「Assertion」という言葉が積極的に用いられるようになりました。
そして、それまで「神経症者に対する行動療法」として用いられていたアサーショントレーニングが、人権回復と他者尊重のコミュニケーション技法として認知され一般化していったのです。
★アサーティブネスの定義-------------------------------------------
Assertivenessは、現在次のように定義されています。
自分の要求や意見を、
相手の権利を侵害することなく、
①誠実に、
②率直に、
③対等に、
④自己責任で、
表現すること
-この①~④をアサーティブであることの「4つの柱」と言います。
★自己表現の4つの型------------------------------------------------
自己表現には、次の4つの型があるとされています。
1. アサーティブな表現 自分も相手も大切にする表現
2. 攻撃的表現 くってかかる (アグレッシブ)
3. 受身的表現 我慢する (ノンアサーティブ)
4. 受身的攻撃的表現 言い返さないが従わない(間接的アグレッシブ)
★自己表現の4つの型と人生態度--------------------------------------
「4つの柱」に見るように、アサーティブとは心構えのことです。
このことをより理解するために、交流分析で用いられる「4つの人生に対する基本的姿勢」を知っておくといいかもしれません。
人生は「I(自分)」と「You(自分以外の人)」の関係ですね。
そのIとYouの間でコミュニケーションがなされるわけですから、人生態度とアサーションの4タイプを対応させてみるのは分かりやすいと思い、下記のような図を作ってみました。

図1に見られるように、人生態度は次の4つに分かれます。
1. I’m OK. You’re OK. 互いを認める
2. I’m OK. You’re not OK. 人のせい(自分は悪くない)
3. I’m not OK. You’re OK. 自分を責める(自分が悪い)
4. I’m not OK. You’re not OK. 虚無的
図2は、アサーショントレーニングで区分する「4つの自己表現の型」を「人生に対する基本的姿勢」に対応させてみた図です。
1. アサーティブな表現 自分も相手も大切にする表現
2. 攻撃的表現 くってかかる
3. 受身的表現 我慢する
4. 受身的攻撃的表現 言い返さないが従わない
いかがでしょうか。
自分が認められ、同時に相手も認められていることが「基本的人権」が成立しているということです。つまり、アサーティブな表現とは、基本的人権が認められた社会を作り上げる土台となる大切なコミュニケーション技法と言うことができますね。
★自分の持つ12の権利-----------------------------------------------
アサーティブとは心構えだと述べましたが、社会的弱者の自己主張という歴史的背景を持つため、次の12の事項を「自分の持つ権利」として掲げています。
1、押し付けられた役割にとらわれることなく、自分のための優先順位を決める権利
2、敬意をもって扱われる権利
3、自分の感情を認め、それを表現する権利
4、自分の意見と価値観を表明する権利
5、「イエス」「ノー」を決めて、言う権利
6、間違う権利
7、考えを変える権利
8、わからないことをわからないと言う権利
9、ほしいものやしたいことを、求める権利
10、人の悩みを自分の責任にしなくてもよい権利
11、まわりの人からの評価を気にせず、人と接する権利
12、常にアサーティブでなくてもよい権利
いいこと書いてあるよね~(^^)。
そして、このように「権利」だと認識すれば「やってもいいんだ」と心の背中を押してくれて勇気がわくよね。
人は親子関係の中で、「禁止令」や「ドライバー」に無意識のうちに囚われています。その親もまた、時代や社会、地域や親などの環境から刷り込まれ、押し付けられてきた暗黙のルールの囚われの中にいます。それらの囚われから解放するものが「12の権利」と言ってもいいでしょう。
囚われから自由になったときに初めて人は自分の人生を歩くことができます。そういう意味で、アサーティブなコミュニケーションとは、自分も相手も自由にする表現技法だといえるのではないでしょうか。
次項では、アサーティブであるためにはどのように技法を用いればいいのかについて事例を挙げます。
・DESC法で状況を見て、アサーティブに表現する
真智子も記事を上げていますので、どうぞ。
・アサーティブなあり方
・子育て心理学:第2部 3)生後3ヶ月で決まる4つの「人生の基本的立場」
・♪あなたも私もオッケー!
「スリーテン」感想の中で、アサーティブという言葉が出てきましたね。自律した対人関係を築く上でも大切な概念ですので、アサーティブコミュニケーションについて解説したいと思います。
★アサーティブコミュニケーションとは------------------------------
自分も相手も大切にする自己表現技法。
assertionを直訳すると「主張、断言」
assertion trainingは、「自己主張訓練」と訳されていて“自己主張”という強い語感から誤解も多いかもしれません。
Assertive(断定的な)、Assertiveness(我を張ること)という言葉が、なぜ「自分も相手も大切にする」自己表現に用いられるようになったのかについては次のような歴史的背景を知っておくと分かりやすいでしょう。
★アサーションの歴史的背景-----------------------------------------
差別に対する闘いは、歴史的には人種差別から性差別へと進んできました。
1865年のリンカーンによる奴隷解放宣言以降、黒人による公民権運動がわき起こり、100年後の1965年、少数民族や女性など、これまで差別を受けてきた人々に対する積極的な差別是正策(アファーマティヴ・アクション)をとるよう大統領行政命令が出されました。
この黒人の社会的権利獲得から学び、1970年代に入ると女性解放運動やレズビアン・ゲイ解放運動が高まります。その解放運動の中から、社会的弱者が奪われていた権利に気づき、また禁止されていた事項から自らを解放するために、「Assertion」という言葉が積極的に用いられるようになりました。
そして、それまで「神経症者に対する行動療法」として用いられていたアサーショントレーニングが、人権回復と他者尊重のコミュニケーション技法として認知され一般化していったのです。
★アサーティブネスの定義-------------------------------------------
Assertivenessは、現在次のように定義されています。
自分の要求や意見を、
相手の権利を侵害することなく、
①誠実に、
②率直に、
③対等に、
④自己責任で、
表現すること
-この①~④をアサーティブであることの「4つの柱」と言います。
★自己表現の4つの型------------------------------------------------
自己表現には、次の4つの型があるとされています。
1. アサーティブな表現 自分も相手も大切にする表現
2. 攻撃的表現 くってかかる (アグレッシブ)
3. 受身的表現 我慢する (ノンアサーティブ)
4. 受身的攻撃的表現 言い返さないが従わない(間接的アグレッシブ)
★自己表現の4つの型と人生態度--------------------------------------
「4つの柱」に見るように、アサーティブとは心構えのことです。
このことをより理解するために、交流分析で用いられる「4つの人生に対する基本的姿勢」を知っておくといいかもしれません。
人生は「I(自分)」と「You(自分以外の人)」の関係ですね。
そのIとYouの間でコミュニケーションがなされるわけですから、人生態度とアサーションの4タイプを対応させてみるのは分かりやすいと思い、下記のような図を作ってみました。

図1に見られるように、人生態度は次の4つに分かれます。
1. I’m OK. You’re OK. 互いを認める
2. I’m OK. You’re not OK. 人のせい(自分は悪くない)
3. I’m not OK. You’re OK. 自分を責める(自分が悪い)
4. I’m not OK. You’re not OK. 虚無的
図2は、アサーショントレーニングで区分する「4つの自己表現の型」を「人生に対する基本的姿勢」に対応させてみた図です。
1. アサーティブな表現 自分も相手も大切にする表現
2. 攻撃的表現 くってかかる
3. 受身的表現 我慢する
4. 受身的攻撃的表現 言い返さないが従わない
いかがでしょうか。
自分が認められ、同時に相手も認められていることが「基本的人権」が成立しているということです。つまり、アサーティブな表現とは、基本的人権が認められた社会を作り上げる土台となる大切なコミュニケーション技法と言うことができますね。
★自分の持つ12の権利-----------------------------------------------
アサーティブとは心構えだと述べましたが、社会的弱者の自己主張という歴史的背景を持つため、次の12の事項を「自分の持つ権利」として掲げています。
1、押し付けられた役割にとらわれることなく、自分のための優先順位を決める権利
2、敬意をもって扱われる権利
3、自分の感情を認め、それを表現する権利
4、自分の意見と価値観を表明する権利
5、「イエス」「ノー」を決めて、言う権利
6、間違う権利
7、考えを変える権利
8、わからないことをわからないと言う権利
9、ほしいものやしたいことを、求める権利
10、人の悩みを自分の責任にしなくてもよい権利
11、まわりの人からの評価を気にせず、人と接する権利
12、常にアサーティブでなくてもよい権利
いいこと書いてあるよね~(^^)。
そして、このように「権利」だと認識すれば「やってもいいんだ」と心の背中を押してくれて勇気がわくよね。
人は親子関係の中で、「禁止令」や「ドライバー」に無意識のうちに囚われています。その親もまた、時代や社会、地域や親などの環境から刷り込まれ、押し付けられてきた暗黙のルールの囚われの中にいます。それらの囚われから解放するものが「12の権利」と言ってもいいでしょう。
囚われから自由になったときに初めて人は自分の人生を歩くことができます。そういう意味で、アサーティブなコミュニケーションとは、自分も相手も自由にする表現技法だといえるのではないでしょうか。
次項では、アサーティブであるためにはどのように技法を用いればいいのかについて事例を挙げます。
・DESC法で状況を見て、アサーティブに表現する
真智子も記事を上げていますので、どうぞ。
・アサーティブなあり方
・子育て心理学:第2部 3)生後3ヶ月で決まる4つの「人生の基本的立場」
・♪あなたも私もオッケー!