DESC法で状況を見て、アサーティブに表現する
前項の続き
★葛藤状況---------------------------------------------------------
相手と自分の間に、何らかの良くない状況が起きたとしましょう。

その状況で生まれた嫌な気持ちは、その状況を変えれば解消されるものであり、そこから、どう変えてほしいのかという要求が生まれてきます。

この時、「言うと気まずくなる」と予測して自分が我慢すると“わだかまり”が残ってすっきりしません。(ノンアサーティブ)

逆に、「悪気がある」と一方的に推測して(勝手に推測することを「レッテル貼り」と言います)、あるいは我慢が切れてくってかかると“しこり”や“こじれ”が残ってしまいます。(アグレッシブ)

では、どうすればいいでしょうか。
相手が適切な行動をとらない限り状況が変わらないとすれば、相手がどう動けばよいのかが的確に伝わらなければなりません。
DESC法でそのやり方を見てみましょう。
★DESC法-------------------------------------------------------
DESCの流れを図示してみましょう。

D:Describe(「描写」できる状況)
E:Explain (「説明」できる感情)
S:Specify (「特定」できる要求)
C:Choose (「選択」できる行動)
つまり、
状況を描写できるくらいに把握し、
どの部分が感情を引き起こしているのか状況を分析し、
自分がスッキリするためにはどのようにしてほしいのかを特定し、
最後はそれを相手に伝えるか伝えないかを自分で選ぶ、
という流れです。
このときの大事なポイントは2つ。
1、自分の感情を知っていること(E)
2、自分が要求したいことを知っていること(S)

つまり、自分が気持ちとつながっていなければ、行動を選択できないと言うことです。
★事例:あなたならどうする?---------------------------------------
では、実際の事例を見てみましょう。
レストランで頼んだ妻(もしくは子)のお肉が温まりきっていなかった。しかし、表面だけではわからず一口食べた後だった。
あなたはどうするでしょうか。
・
・
・
・
・
・
・
先ず、アサーティブでない3つの自己表現の場合を見てみましょう。
2. 攻撃的表現
「なんだこのレストランは!客にこんな冷えたものを食わせるのか」
3. 受身的表現
「口をつけてしまったから仕方ないね。私のと変えてもいいよ」
4. 受身的攻撃的表現
「なってないねこの店は、もう2度と来たくないね」
ちなみに、上記の結果はそれぞれどうなるか推測してみましょう。
Case2:変えた後も気まずさが残り楽しい時間がすごせなくなる。
Case3:結局妻(子)に我慢を強いることになり気まずくなる。
Case4:文句を言うだけで行動しない夫(親)に不信感(不満)を持つ。
では、DESC法で状況を見てみましょう。
★DESC法で状況を見、アサーティブに表現する---------------------

D:楽しみのお肉の芯が冷えていた
E:がっかりと落胆した気持ち
S:温めてもらえば落胆は解消する
C:店の人に状況を伝えて温め直してもらうことを伝える
このように状況を把握すると、大げさに言うことでも我慢することでもなく状況(事実)を伝えればいいことだとわかりますね。
では、アサーティブの「4つの柱」(①誠実に、②率直に、③対等に、④自己責任)を基に表現してみましょう。
「一口かじってわかったんですが、肉の芯が冷たかったんです。すみませんが温め直していただけますか」
さて、アサーティブに対応した結果はどうなったでしょうか。
①ウエイトレスは謝罪の上、快く応じて、しかも全く新しいホカホカのものが来て妻(子)も喜んだ。
②最初の幻滅は店の再評価につながり、また来ようということになった。
③店の方もリピーターを確保できたのみならず、自分達の不注意に気づくきっかけとなった(将来の損失を未然に防止した)。
④ウエイトレスは、お客さんが喜んでいる姿を見ることに喜びを感じ、自分の仕事に、そして自分が働く店に誇りを感じた(店は、お客のみならず従業員のロイヤルティ(忠誠心)をも獲得した)。
このように、アサーティブな対応は、相互に良い気づきをもたらし、同時に社会を良い方向へと導くものなのです。(前の記事で言えば、店に対するポジティブフィードバックと言えるでしょう)

・子育て心理学:第4部 8)ストロークの与え方―ほめ方・叱り方のコツ
・【会社生活】自己中の同僚にどう付き合ったらよいのか?