「ひきこもり」とは何か(2)-自己解体期の危機(アイデンティティ・クライシス)
2006/06/01(Thu) Category : 不登校・引きこもり
青年は依存症だったという。
迷い道に入り込んだときに、何かに依存してしまうことはあることである。
解体しかかる自分が怖くて、早く再統合したくて、思想やイデオロギー、宗教や団体などに「これだ!」とはまってしまうこともそうだ。
解体しかかる自分が怖くて、しかし、それらのものに支えを見いだせずに、薬物やアルコールなどに逃避してやめられなくなることもそうである。
何かにはまってしまった場合、それが脱カルトであれ、脱アルコールであれ、適切な離脱のプログラムが必要だ。その最も重要なものは、離脱者の話を聞くことである。アルコール依存の断酒会が有名だが、定期的に仲間と会って互いを支え合い続けること。
依存の治療とは「習慣を絶つ」ことに他ならないから、毎日毎日が勝負の日々なのである。一人でその勝負に勝つのは至難の業なので仲間が必要なのだ。…
この青年を救うためには順番が必要だった。
1,アルコールや薬物依存からの離脱
2,しかる後に、自分と向き合う作業をすること
自己を解体し再統合するという大手術をするためには、先ず手術に耐えられる精神体力をつけておかなくてはならない。手術前に安静にするのと同じだ。体力がない中で手術されれば、仮に手術が成功しても死んでしまう。
この青年に先ず必要だったのは、依存からの離脱の治療である。
アルコール依存がひどければ、その専門の施設に入れる。
専門の施設とは、同じ病を体験した仲間がいるところだ。
次いで、信頼のおける第3者に見守られる中で自分と向き合う作業に入る。
一方、この間に、親は親で、親としての姿勢を学ばなくてはならない。
つまり、
①依存の治療と、
②自分と向き合う作業、
③家族の意識(風土)を変える作業
-この3つが、この優先順位で必要なのである
(③は、世代間連鎖を断つ場合など、ケースによっては見捨てなければならないこともある)。
そして、アイ・メンタルスクールは、上記3つのどれもなし得てなかったと思う。その証拠が『日課はマージャン、トランプ、昼寝』だ。そして、その結果が『毎日ヒマで下っ腹だけ出てきたよ』(6/1朝日)である。
『相変わらず文句か。家には帰れないな』と突き放した父親は、息子の苦しみと正面から向き合おうともせずに、ただぶちこんだだけである。
しかし、
『つらい思いをさせたけど、つきものが落ちたみたい』と母の喜ぶコメントを載せ、『青年に笑顔が戻っていた』でこの記事は終わっている。この安易な終わり方は、こういう施設の存続を是としてしまう。
つまり、マスコミがイネイブラー(悪しき状態を維持存続させるもの)になってしまっているのだ。
家族に絶望した青年が、本音を漏らすはずもない。
これを書いた記者は、一体どこまで青年の立場に立てたのか。
新聞記事の影響は大きい。もう少し慎重に書くべきだろう。
<続く>
・人生7年転機説
・「7年転機」+「9年周期」で人生の転機を乗り切ろう
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何かにはまってしまった場合、それが脱カルトであれ、脱アルコールであれ、適切な離脱のプログラムが必要だ。その最も重要なものは、離脱者の話を聞くことである。アルコール依存の断酒会が有名だが、定期的に仲間と会って互いを支え合い続けること。
依存の治療とは「習慣を絶つ」ことに他ならないから、毎日毎日が勝負の日々なのである。一人でその勝負に勝つのは至難の業なので仲間が必要なのだ。…
この青年を救うためには順番が必要だった。
1,アルコールや薬物依存からの離脱
2,しかる後に、自分と向き合う作業をすること
自己を解体し再統合するという大手術をするためには、先ず手術に耐えられる精神体力をつけておかなくてはならない。手術前に安静にするのと同じだ。体力がない中で手術されれば、仮に手術が成功しても死んでしまう。
この青年に先ず必要だったのは、依存からの離脱の治療である。
アルコール依存がひどければ、その専門の施設に入れる。
専門の施設とは、同じ病を体験した仲間がいるところだ。
次いで、信頼のおける第3者に見守られる中で自分と向き合う作業に入る。
一方、この間に、親は親で、親としての姿勢を学ばなくてはならない。
つまり、
①依存の治療と、
②自分と向き合う作業、
③家族の意識(風土)を変える作業
-この3つが、この優先順位で必要なのである
(③は、世代間連鎖を断つ場合など、ケースによっては見捨てなければならないこともある)。
そして、アイ・メンタルスクールは、上記3つのどれもなし得てなかったと思う。その証拠が『日課はマージャン、トランプ、昼寝』だ。そして、その結果が『毎日ヒマで下っ腹だけ出てきたよ』(6/1朝日)である。
『相変わらず文句か。家には帰れないな』と突き放した父親は、息子の苦しみと正面から向き合おうともせずに、ただぶちこんだだけである。
しかし、
『つらい思いをさせたけど、つきものが落ちたみたい』と母の喜ぶコメントを載せ、『青年に笑顔が戻っていた』でこの記事は終わっている。この安易な終わり方は、こういう施設の存続を是としてしまう。
つまり、マスコミがイネイブラー(悪しき状態を維持存続させるもの)になってしまっているのだ。
家族に絶望した青年が、本音を漏らすはずもない。
これを書いた記者は、一体どこまで青年の立場に立てたのか。
新聞記事の影響は大きい。もう少し慎重に書くべきだろう。
<続く>
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