「医師不足」にも見られる現代のいびつ
『本当に困ってる人を救えなくなったら、税金払う意味なんてあるのかな?』-マイミクのKITさんの日記のコメントに書かれていた言葉。
行政にいる方々さえもが、そう悩んでいる…。
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昨夜見たNHKスペシャルの「医師不足」の1シーンを思い出す。
小児科医だった父親は、自分が高2の時に過労で亡くなった。医師を目指していたが、「父親を殺した科」として小児科は憎んだ。
…が、実際に医学部で学び、「子供には将来がある」という教授の言葉に感動し、インターンとして子供に触れる内、他にやる人がいないのならば自分がやるしかない、と父親と同じ道を歩むことを決意する。
その女性が涙ながらに話す場面を、私も目を真っ赤にして見ていた。
小児外科を目指す男子学生も、自分が生まれるときに救われたからだという。
このように強い思いのある人しか耐えられない労働環境とは、一体何なのか?
そして、そのような人におんぶに抱っこした挙げ句、そういう人たちが倒れていくことを放置している国のあり方とはなんだ。
一方で、百億単位の金を明確な目的もないままに動かそうとしている一担当者を野放しにしている組織もある(よくある話だが…)。
行政から民間まで、無駄なお金がドブに捨てられ続けている。
その無駄なお金を、たとえば産婦人科や小児科医をきちんと地域に配備することに使うことが、安心して住むことのできるインフラを整える国のやるべきことだろう。
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お金は血液だ。
血液は大動脈だろうが毛細血管だろうが、全身にくまなく循環するからこそ、身体が健全でいられる。
しかし、その流れを民間だの市場だのに任せた結果、当然毛細血管には流れなくなり、大動脈に集中する。
血液が流れないところは壊死し、大動脈の血は淀み腐敗し始める。
やがて、全身が動かなくなる。
先ず、壊死を起こしかけているところから「手当」していかなければ…。それが、この国(身体)を守ることだろう。