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「土浦連続殺傷事件」―18,存在の耐えられない“なさ”

2013/08/23(Fri) Category : 少年犯罪・家族事件簿
【土浦連続殺傷事件】

★1)犯行前、絶望を深めた1ヶ月----------------------------------

真大は、一挙に犯行に突っ走ったわけではありません。
包丁を購入したときに、死ぬことを部屋中で宣言しています。

2月 包丁購入時【自室の壁に赤色で「死」という文字と意味不明のロゴマークを壁じゅうに描く】

このことを親が何一つ気づかなかったことが異様です。そのこと自体、親が真大を完全無視していたことを示しています。そこにいればそれでいい。その人の精神世界がどうであろうと知ったことではない。「生き人形」として置かれた飯嶋勝と同じ境遇ですね。

包丁を購入してから犯行を起こすまでに1ヶ月前後あるわけです。その間、壁中の「死」の文字と向き合う真大。一方、その間も全く関知しようとしない親。

自分の命と対峙する真大。
その真大の存在(命)を全く無視している親。

この重さと軽さ―いや、“無さ”。

この1ヶ月の間に、絶望が深まっていったのではないでしょうか。


酒鬼薔薇を思い出しました。
彼もまた、家族にわざと見つかる所に猫の死体を隠したり、斧を隠したりしたのです。親に気づいて、聴いてほしかったのだと思います。

『「机の上とか片づけんでええから」とわざわざAが言ったのも、「犯行ノート」に気づいてほしいというAの無意識のメッセージだったのかもしれません。しかし、母親は毎日のようにAの部屋に入りながら、Aの内面を記すノートにはなんの興味も示しませんでした。
Aに対するこの徹底したネグレクト(無視)を見るにつけ、むしろこの母親の精神鑑定が必要ではないかと思ってしまいます。そして、見事に影も形もない父親の存在。Aのモデルであるべき父親が、私には“透明な存在”に思えてなりません。』
【「あなたの子どもを加害者にしないために」より】




★2)存在の重さを量るもの----------------------------------------

また、「オズの魔法使い」が好きだった真大は、犯行後の現場に「OZ」という文字を残すことも考えていました。

裁判官「事件後に『O』『Z』の記号を残そうと考えていたというが、どういう思いですか」
金川被告「連続殺人を予定したので、すべて自分の犯行だと警察に知らせるためです。横浜でも(殺人事件が)あり、京都でもあり、3人の犯人がいることになる。いもしない犯人を探す警察がかわいそうだと思ったので」(金川被告は横浜、京都でも事件を起こすつもりだった)

真大はこう述べていますが、自分の存在を残したかったのだと思います(存在証明)。


真大がどれほど自分の存在にこだわっていたかは、「9,認めてもらうためには存在してはならない」で書いたとおりですが、次のような発言もありました。

記者「秋葉原の事件を知っていると思うけど、加藤容疑者(当時は起訴前)はあなたを意識し、犯行にナイフを使ったと供述していますが?」
金川被告「うれしいですね。ただ、うらやましくもある。僕より人を殺しているから。それだけ、罪が重いから」

存在不安の強い人や存在感の希薄な人は、何かを背負いたがります。何もなければ自分を感じられないけれど、何かを背負うことで「背負っている自分」を感じられるからです。

背負うものは、親でも子でも、家でも国でも、思想でも信条でも、使命でも大義でも、病でも借金でも、責任でも罪でもかまいません。どの方向性で何を背負うかが決まったら、それは大きければ大きいほど、重ければ重いほどいいのです(あるいは、存在不安やストローク飢餓の程度に応じて決まります)。






*「自分の気持ちに責任を持つ」以外の何ものも背負わないのが自律した姿です。「自分の気持ち」以外のあらゆることを背負って、大勢を巻き込んで壮大なゲーム人生を送る共依存と比べると、何も背負わないことの意味が分かると思います。


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>一つ前の記事でも思いましたが、
>自分の気持ちをわかって欲しい。自分の気持ちを聴いて欲しい。
>自分の存在を認めて欲しい。
>そういう気持ちが、痛いくらい感じられるなぁと思いました。
>自分にも重なるところがあって、同じではないと思いますが、苦しいよなぁ(T_T)とわかる気持ちがあります。
>私もようやく、親たちが自分に対してしたことがわかってきたし、その時の気持ちも思い出しています。
>今はただ、しんどい気持ちがわき上がると、小さいちゃんに、「頑張ったねぇ。辛かったねぇ。偉かったねぇ。」と言って、ひたすら撫でています。


 
    
 
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