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少年Hと母とTくんと私

2013/09/06(Fri) Category : 戦争
★少年Hと母------------------------------------------------------

少年H(妹尾河童)と私の母は全くの同年(昭和5年生まれ)です。
映画「少年H」の世界は、母の世界でもありました。

「わたしが一番きれいだったとき―母に捧げるレクイエム」を読んでいただければ、生まれてから15歳までの瑞々しい時代が真っ黒に塗りつぶされていくのが分かります。

少年Hの豊かな海と同じく、母の周りには、桃、びわ、梨、柿、蜜柑、そしてツツジ、椿、クチナシなどの桃源郷のごとき果樹がありました。

鳥やヘビの住まいでもありました。大きな鳥が怖かったり、一番上の柿をとろうとしてよじ登ったところにヘビがいて、慌てて落っこちたこともあったそうです。

中学の少年Hは軍事教練をしていましたが、母は学徒動員で寮に住まいながら軍需工場に勤めていました。

そして、少年Hの町が空襲で焼け野原となったように軍需工場も爆撃され、男子寮で死傷者が出て家に帰ることに。
鉄道はダメでトラック。
しかし、橋が落ちていて船で渡り、後は歩いて。

やっとのことで帰ってきた家々は破壊されたり焼け落ちたりしており、1番目の防空壕は直撃されていました・・・不安が募ります。

辿り着くと豊かな果樹園は穴だらけになり、いたのは前足が吹き飛んで血だらけになって泣いている子牛でした。目から涙が出ていてかわいそうだったそうです。

そして・・
家は、大黒柱が1本立っているだけ。
思い出は壊滅していました。

家族は、2里離れたお宅の小屋に避難していたそうで、その後大変な生活になります。


茨木のり子さんが詩で叫んでいるように、『わたしが一番きれいだったとき』に、街々はがらがら崩れていって、
まわりの人達がたくさん死に、
おしゃれのきっかけを落としてしまい、
だれもやさしい贈り物を捧げてはくれず、
めっぽうさびしかったのです。


自分の身に置き換えると、
多感な小中学校の時にいつもひもじい思いをして、
社会からのいじめや圧力を気にしながら言いたいことを言えず、
目上・大人には逆らえず、
少しでも反抗しようものなら殴られ蹴られ、
人殺しの訓練をさせられ、
やがて洗脳されて何人殺すかだけを考えるようになり、
サイレンが鳴ったら逃げ惑い、
マスコミが嘘をかき立てる中で空襲によってすべてを失い・・・・


憤りしかないでしょう。


この豊かな自然と家族、友人達、地域社会を奪い去ったもの
―一体誰を恨めばいい。

軍国主義、民主主義とコロコロ変わる大人やマスコミ
―一体何を信じればいい。

正義や大義? そんな理屈どうでもいい。返せ!
失ったものを、生きてきた時間を、すべて返せ!
生まれてからの15年間をすべて返せ!

そう、言いたくなるでしょう。
これが、両親が多感な頃を殺された時代でした。




*(蛇足1)----------------------------------------------

アメリカが軍産複合体(を操る勢力)に踊らされている限り、その“ビジネスの場”として戦争は作り出されるでしょう。その米国に追従している限り、私達はいつこの現実に巻き込まれるか分かりません。

もはや日本を叩くのに原爆はいりません。
原発という核地雷が日本中に埋め込まれています。

既にその一つが爆発し、なすすべなく汚染は深刻化しています。循環する生態系に放たれた汚染を、ほんの少しでも軽減するためだけに、終わりなき膨大なエネルギーを注ぎ続けなければなりません。半永久的に日本人の力は損なわれていくのです。

さらに、戦争後遺症が3世代目に深刻に現れてくるように、核汚染の影響が深刻に広範に現れるのはこれからです。「末代まで祟る」のです。

その原発を狙われるだけで日本は一挙に壊滅します。原発地雷は、日本が米国に逆らえないようにするための、また意のままにコントロールするための装置だったのかもしれませんね。




★母の母親Kさん----------------------------------------------------

もう数年前のある日、その果樹園がどういう感じだったのか描いてもらいました。小さな紙に走り書きのように描いていましたが、脳裏には幼き日のことがありありと思い出されていたのでしょう。

母親Kさんに蕗の葉っぱで包んだお弁当を作ってもらったこと。木の下でままごとをしたこと。もう一度あそこに行きたい(もう母の実家の土地ではなく、そのままの形で残っているはずもありませんが)と、2年ほどその紙を貼っていたかなぁ。

母は、Kさんの話をするとき、「かわいそうだった」を連発します。父親は外。乗り物に弱いKさんはどこに行くこともなく、畑も牛も9人の子供も近所の子供も、すべての面倒を見ていてかわいそうだったというイメージです。

じっとしていず、とにかく無言で働いている母親Kさん。裸足の足はいっつも真っ黒で、上がりがまちに腰掛けたまま眠っていたり、時には廊下で着の身着のまま倒れたように眠っていたり。「斃れて後已む(たおれてのちやむ)」という状態で、話しかけることなどできなかったそうです。だから、Kさんが座っていると、子供達は傍に群がったとか(と言っても母は話を聞くだけだったようです)。

母親がそのような状態では、子供達の面倒見ている余裕などありません。例えばお風呂など川で水浴びして終わり、という状態であったそうです。母親は産むだけ。後は野生児ですね・・。

9人兄弟のど真ん中5番目に生まれた母(母が生まれたときKさんは33歳。41歳まで生んでいます)。5歳の頃は、長男次男は働きに出、小4の姉は工場(学徒動員)、小2の姉は母と畑仕事、自分は下の子(4歳と2歳)の面倒を見ていました。

長女が出ていくと家事は二女が主役。下の子達は近所に任せ、今度は自分が母Kさんと一緒に畑仕事。それも遠いところにあったそうです。母は、Kさんが畑で時にこっそりと小さな声で歌うおとなしい感じの歌を「綺麗な声だなぁ」と聞いていたそうです。

会話さえない、あまりにも遠い母子関係でした。




★母が背負っていた罪----------------------------------------------

いつかあの果樹園に旅行すべく、もっと足をしっかりと思っている間にいろいろとあり・・・昨年寝たきりとなった時期がありましたが、その時昔の話を聞いていました。その時、ふとその果樹園付近での“出来事”を話しだしたのです。

近所の子供達もいる中で、5歳の母は2歳の弟と一緒にいました。
二人で丸木をつっついたり蹴ったりして遊んでいたそうです。と、

足を滑らして、弟がどぶ川に落ちました。

川までが高くて、5歳の女の子はどうすることもできませんでした。
弟の体が泥に埋まっていく・・・
どうしよう―深くてどうする術もない

弟の顔が、泥に埋まっていく・・・

その様子が目に焼き付きました。
長いような、しかしアッと言う間の出来事でした。

かわいがっていた弟は、2歳にして亡くなりました。


・・・初めて聞きました。
母も、今まで誰にも言ったことがなかったそうです。この齢になるまで!

お墓に持って行くつもりであったようです。
しかし、この時寝たきりとなり、先行きを思う中でふと口が動いたのでしょう。


5歳の時から80年近くも、
罪の意識を背負っていたのか・・・・・!




★弟の思い--------------------------------------------------------

Kさんのこと「かわいそう、かわいそう」と言ってるけど、Kさんは近所の子供の面倒まで見ていたわけでしょ。我が子が9人もいるのに、ご近所のお守りまでしていたって言うじゃない。Kさんは、そうしたかったんだよ。

本当にかわいそうなのは誰?
小さな「S子(母の名)ちゃん」でしょう。

Kさんは子供の面倒見てないよね。
2歳の子がいるんだから、もっと大きな子を子守につけておかしくないよね。だって、万一何かあったら、面倒見ている子が重荷を背負うことになるんだよ。しかも、川が近くにあることは知っているんだから、なおさら大きな子をつけるでしょう。

「S子ちゃん」は悪くないよ。
悪いのは、小さい子供達を放置した親だよ。

自分を責める必要はないよ。
5歳の子に何ができるっていうの。おふくろは精一杯やったよ。


それに、Tくん(弟)の立場になってご覧よ。
生まれてからずっと放置されていた。
Tくんの面倒を見たのはおふくろだよ。
この世に生まれたTくんがぬくもりを感じたのは「S子ちゃん」だよ。

Tくんはおふくろといて幸せだったんだよ。


それに、落ちてしまったのは誰のせいでもない。
Tくんも、おふくろが罪の意識を背負ってしまったことを悲しんでいると思うよ。お姉ちゃんのせいじゃないのにって。

むしろ、感謝していると思うよ。
一緒に遊んでくれてありがとうって。

今も、天国から見守ってくれているよ・・・



―黙って聴いていた母が口を開きました。

「あぁ、それを聞いて気持ちが楽になった」と。




★虚構を生き続けた母-----------------------------------------------

なんとむごいことか―

言われなき罪を背負って一生を過ごしたのだ。


5歳のS子ちゃんと2歳のTくん。

孤独な二つの魂が、寄り添って遊んでいる・・・その姿が思い浮かびます。


子供って夢中になったら今いるところを忘れちゃうよね。
私の体験でもそうです。
だから、大人が見ていなきゃいけないのです。


なぜ、Tくんが死ななければならなかった!
なぜ、5歳の子が人殺しの罪を背負わなければらなかった!!


後になって、繰り返し泣きました。

なぜ! なぜ!! なぜ!!!


自分のせいで、弟を殺してしまった!

重いよ。あまりに重いよ。しかも、まだ5歳だよ。


その後、どういう思いで過ごした。
どのように心のバランスを保った。
どのように心を封印した。
どのように不安から逃げた。
どのように自分を責めた。
どのように怒りを爆発させた。
どのようにそれをかぶせた。

・・・いろいろな出来事が新たな意味を持ち、つながり、ストンストンと腑に落ちていく中で、私は声を上げて泣いていました。


なぜ、命にどこか冷たかったのか。
なぜ、父だったのか。
なぜ、あれほど古里を思いながら古里を拒んだのか。

かつて、妹が母を連れて実家近くの海岸に旅行したとき、走ることなどできなかった母が、まるで子供のようにピョンピョン跳ねていたのを見て「土地の力は凄い!」と驚嘆したそうです。

海育ちの母はずっとそこにいたかったのでしょう。けれど、母が選んだのは山育ちで林業に従事する父でした。


 ふるさとは遠きにありて思ふもの
 そして悲しくうたふもの
 よしや うらぶれて異土の乞食となるとても
 帰るところにあるまじや


母にとって故郷は、一途に慕う母がいるところであり、同時に思い出したくない過去があるところでした。
果樹の楽園は、罪のお白洲でもあったわけです。

ふるさとは、帰るところにあるまじき場所だったのです。


そして、
母親に累が及ばないように、Kさんを守るために、
虚構を生き続けたのでした。




*(蛇足2)------------------------------------------
・・それにしても、戦争とは、「こう」なのです。
大人は不安から逃げ続け、命は道具として生み出され、命が顧みられることがありません。命が大事にされていないのは、「戦場」だけではないのです。経済戦争も同じ。根っこにある弱肉強食と自由競争の思想を私が嫌うのは、命(気持ち)を大切にできないよう人間を汚染するからです。





★身代わり----------------------------------------------------------

それから半年以上もたったある日のこと―

大きなストーンがきました。


母は、最後に産まれた8歳下のY叔父さんをとてもかわいがったことは聞いていました。不意に気づいたのです。
「あ、YさんはTくんの身代わりだったんだ・・・」

立て続けに気づきました。

「おれも、だ」


私が小さい頃、よくYさんの名前で呼ばれることがありました。
呼び間違えに気づいて、思わず笑い出す母。
当時は、そんなに自分とYさんが似ているのかなと思った程度だったと思いますが、そうか・・・Tくんの身代わりがYさんとなり、さらに俺になったんだ―

哀しみが、あふれてきました。

こんなにも、こんなにも背負っていたのか―
虚構を生き続けた母
そして、無意識に罪を償い続けた母

妹が呆れるくらい、私のことを過剰に心配するのも、
いつまでたっても「健康に気をつけろ」と言い続けるのも、
あれもこれも、

そうだったのか・・・




★「機械じかけのピアノのための未完成の戯曲」------------------------

いつぞや、妹に言ったことがありました。
私が中学から父に反発して、父が帰ってくると部屋にこもり、
あげく、転勤を機に高2からアパート暮らしを始めたのは、
表向き父親への反発だけど本当は母親から逃げたかったからだ、と。

(ところで妹は、私が父が帰ってくると夕食も放棄して部屋にこもったことさえも知りませんでした。兄弟でも、全く異なる現実を生きています)

大学時代、「機械じかけのピアノのための未完成の戯曲」という映画を見た時のこと―この映画が言いたかったことは最後のワンシーンに尽きます。次のような感想を書いています。


『そのラストシーンを見てゾッとして以来、僕の心には女性に対する警戒警報が鳴っています。
「女の愛に、魂を抜かれちまうなよ」と』

一部抜粋します。

・-------------------------------------------------

すべてを愛情で包み込んでしまうような女性がいます。
それは、生まれながらの女神のような人です。
人を愛するために生まれてきた女(ひと)。

愛せば、政治・社会に向ける余地なく、
全エネルギーを愛する対象に向かって放射します。
その対象がなければ生きていけない女性(ひと)です。

人間本来の社会ではないその現実の中で、
一人ユートピアを体現している人です。

一方、社会に目覚めた男は、妥協を拒み、社会に挑戦し続けるでしょう。
彼にとって結婚とは、知らず社会に同化させられていく制度であり、
だから女とは、彼の挑戦する現実そのもの、
そして目指すユートピアでもあるのです。

・-------------------------------------------------



私は、愛が怖かった。
女性の愛に絡め取られたら、自分が終わってしまう、いや
なくなってしまうと思っていました。

自分が泥のように消えてしまう恐怖。
だから、女性が怖かった。

その女性とは、母親―


私は甘えない子供だった、と母は言います。
それは、甘えを許さない父親の厳しさや嫉妬もあったでしょうが、甘えたら終わりという思いもあったのではないかと思います。

24時間、気を許すことができない無意識の緊張。
気を許したらそこで終わり―この状況は、相当なストレスだったでしょう。

父親は、固いので反発できるのです。
母親は、まるで宇宙船を誘導する電磁波のように、ただひたすらにからめとるエネルギーを照射し続けてくるので、その“圏外”に逃げるしか手がないのです。

私は、今思えば、父への反発力を利用して、母の引力圏から脱出したのでした。




★哀しい魂達-------------------------------------------------------

そして・・・思い知りました。

そうか・・・
母の目には、私という人間は映っていなかったんだ。

涙が溢れていました。


罪を背負い、脳内Kさんに見せるための日々を送り続けた母。
罪を償うための代償行為の対象であった私。

会話もしたことがない母親を求め、かばい続ける切ない魂と、
その道具になりたくなくて、愛を求めながらも愛から逃げ続ける魂。


悲しい


哀しい


ただ、涙が溢れました
















*このことを体験した当時、親とのことは長い時間をかけて解きほぐしていくものだなぁと思いました。何しろ、お墓まで持っていこうというエピソードもあるわけですからね。

除籍謄本をとって家系図を作った時期(随分昔です)にも、Tくんの早世について聞いたことがあったのではないかと思いますが、いろいろな状況を経て、ようやくこの時話せたのでしょう。

話を聴くことができてよかったと思いました。
あぁ、母を救うことができた―その時は、そう感じていました。

けれど、いろいろなことが分かったことで、私自身が救われていきました。



ところで、Tくんの出来事が背景にあった“母の心配性”を受けて、私がどのようになったかは、下記をご参照下さい。
夫婦再生物語-(9)両親への感謝と個性(固有の体験)を誇れ

また、過去生も関わっているのかもしれませんね。この時はこの時で最後は過去生の救いがありました。(ところで、不思議ですね。「先に死んじゃってごめんね」―この言葉を今度はTくんが母に言っているように思います)
魂リーディング(14)母への思いと母の思い







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目にはさやかに見えねども

お久しぶりです。今度は息子の結婚式。k子とh男を呼びます。娘の結婚式に出席と出して、式場宛の手紙を出しておいて欠席した姉。やっとその手紙を読みました。
弟が変わってきました。母が息子夫婦と孫と一緒に来ることを楽しみにしてます。
少しずつ少しずつ、変わっています。私の源家族と現家族とこれからの家族。
私も何でも否定せず、そうかと、少しずつ夫の言うことを聞き入れるようになろうとしてます。鵜呑みにすると、元の奴隷をやってしまいますが、、、、。
虫の鳴き声、小鳥のさえずり、葉ずれの音、川のせせらぎ。どこからともにおう花のかおり。星の輝き。美しいものがいっぱいあって、胸張ってかんじています。

 
    
 
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