「ガッチャマン」が気づかせてくれた家族
独身時代に給料1年分ほどをはたいてでかい真空管ラジオを買った父ですから、テレビも早かったので、小さな頃からテレビを見ていました。いつ頃からテレビを見ていたんだろうと、Wikiなどで調べて覚えている番組を挙げてみました(以下は番組スタート年なので、見た年齢はそれより下がっている場合もあると思います)・・・
3歳以前に始まった番組でかすかに覚えているもの―
「ジェスチャー」「チロリン村とくるみの木」「私だけが知っている」「名犬ラッシー」「ローン・レンジャー」「ディズニーアワー」「プロレス」「ローハイド」「ブーフーウー」「ララミー牧場」「それは私です」「ポパイ」「アンタッチャブル」「夢で逢いましょう」「シャボン玉ホリデー」「ズバリ当てましょう」「自然のアルバム」「七人の刑事」
昭和37年(4歳)
「隠密剣士」「コンバット」「シャープさんフラットさん」「てなもんや三度笠」
昭和38年(5歳)
「鉄腕アトム」「鉄人28号」「エイトマン」「狼少年ケン」「三ばか大将」「ちびっこ大将」「底抜け脱線ゲーム」
昭和39年(小1)
「0戦はやと」「少年忍者風のフジ丸」「ビッグX」「忍者部隊月光」「ひょっこりひょうたん島」「トムとジェリー」「愛と死をみつめて」
昭和40年(小2)
「スーパージェッター」「宇宙人ピピ」「宇宙少年ソラン」「宇宙エース」「遊星少年パピイ」「ワンダー3」「オバケのQ太郎」「ジャングル大帝」「ザ・ガードマン」
昭和41年(小3)
「ハリスの旋風」「遊星仮面」「ロボタン」「魔法使いサリー」「ウルトラQ」「ウルトラマン」「丸出だめ夫」「忍者ハットリくん」「マグマ大使」「悪魔くん」「快獣ブースカ」「トッポ・ジージョ」「わんぱくフリッパー」「サンダーバード」「宇宙家族ロビンソン」「逃亡者」「奥様は魔女」「かわいい魔女ジニー」「新吾十番勝負」「四つの目」「おはなはん」
昭和42年(小4)
「悟空の大冒険」「黄金バット」「パーマン」「マッハGoGoGo」「冒険ガボテン島」「おらぁグズラだど」「仮面の忍者・赤影」「光速エスパー」「コメットさん」「ちびっ子怪獣ヤダモン」「忍者ハットリくん+忍者怪獣ジッポウ」「意地悪ばあさん」「ウルトラセブン」「キャプテンウルトラ」「スパイ大作戦」「タイムトンネル」
昭和43年(小5―この夏に転勤)
「ゲゲゲの鬼太郎」「わんぱく探偵団」「巨人の星」「アニマル1」「サイボーグ009」「怪物くん」「サスケ」「バンパイヤ」「妖怪人間ベム」「怪奇大作戦」「キイハンター」「連想ゲーム」
昭和44年(小6)
「海底少年マリン」「もーれつア太郎」「タイガーマスク」「サザエさん」「ハクション大魔王」「ひみつのアッコちゃん」「サインはV」「どんといこうぜ!」「柔道一直線」「彦左と一心太助」「ベルトクイズQ&Q」「タイムショック」「コント55号!裏番組をブッ飛ばせ」「8時だヨ!全員集合」「巨泉・前武ゲバゲバ90分!」「水戸黄門」「天と地と」「月曜ロードショー」「金曜ロードショー」「日曜洋画劇場」『月面着陸中継』
・・・いやぁ見てるね~。小学校時代はテレビ漬け?
子どもにテレビ見るなと言えないよね~。
中学に入ると部活で忙しい中、ドラマに熱中し始めます。
昭和45年(中1)
「ありがとう」「時間ですよ」「おくさまは18歳」「アテンションプリーズ」「いじわるばあさん」「どっきりカメラ」「謎の円盤UFO」「樅ノ木は残った」「いなかっぺ大将」「赤き血のイレブン」
昭和46年(中2)
「天下御免」「おれは男だ!」「野性の王国」「スター誕生!」「春の坂道」「さすらいの太陽」「天才バカボン」「ふしぎなメルモ」「国松さまのお通りだい」「仮面ライダー」「ルパン三世」
昭和47年(中3)
「タイム・トラベラー」「中学生日記」「太陽にほえろ!」「赤ひげ」「新・平家物語」「海のトリトン」「科学忍者隊ガッチャマン」
はい、やっと出てきましたね~。「科学忍者隊ガッチャマン」
中学生の目に耐えられる漫画として夢中になってみたのが、「ルパン三世」と「ガッチャマン」でした。この主題歌に間に合うように走って帰ったことを思い出します。
★「ガッチャマン」--------------------------------------------------
そのガッチャマンが実写化されるというので見に行きました。
カッコよかったです。
ググッと涙が溢れたところがありました。
(気持ちがグッとくるときは大体チャイルドが絡んでいますよね)
気持ちに乱されて命令に背いた行動を取ったばかりに、取り返しのつかない過去を背負ってしまったケン。
それ以降は、気持ちを完全に封印して、ただ命令に従う「ロボット」になりました。リーダーがハートを持っていませんから、チームはバラバラ。結束のコアがないのです。これでは、勝てないなぁ・・・
その心配のまま闘いに突入するわけですが、ケンの心を開き、チームを結束に導いたのは、なんと“敵”がきっかけでした。
★「ガッチャマン」が気づかせてくれたこと----------------------------
真智子と食事をしながら映画の感想を話している最中に、何の折だったのか「ハッ」と気づいたのです。
結婚した父は地方の片田舎でボロ屋をあてがわれるわけですが、それが「出張所」なのです。電話は自宅の電話ではなく会社の電話。必然的に母は主婦というよりも従業員でした。
「家」なのか「事務所」なのか・・・
何とも曖昧なこの形態が両親の結婚生活のスタートでした。
その後、転々とするわけですが、ある地域での出張所が大きくなり、従業員数名が入る事務所を1階に併設した2階建ての家に移り住んだのが小4の頃だったでしょうか。事務所の裏に居間や台所があり、そこは事務所からも出入りできました。
―ということをふと思い出したとき、いきなり腑に落ちたのです。
「あ、家庭がなかった」
なぜ、こんなことがふと降りてきたのか。
そうか・・・「ガッチャマン」だ。
小さい頃から訓練訓練。
事務的な会話以外は、あまりなされないあの感じ。
機能はあるけれど、真ん中が空虚なチームの感じ。
もちろん、会話はあるにはあるのです。
けれどそこは、家ではなく事務所。
大人達はノビノビやっている。時に麻雀や飲み会も。
大人達が立てる音はOKだ。それが生活音であっても、その世界は大人達の世界だから、そこは何をやってもOKなのだ。
が、子供は?
そう、父も母も放置されていたように、私と妹も放置されていた。
放置されていたけれど、そこに自分たちの居場所はなかった。
事務所がメインで、家庭は付属物だった。
身近な自然や、鍵がかかっておらず出入り自由の友人の家が居場所であり、子供社会、鳥や猫や魚などの数々のペットたち、そしてテレビが子供のお守り役だったのだ。あんなに沢山テレビを見ているはずだよね。
高度成長で仕事まっしぐらな時代。
親達はテレビで見るアメリカの生活に煽られ、次々と繰り出される商品に躍起となり、父は学歴差別と闘い、母は時にプロレスに黄色い声を上げて発散しながら、暗かった戦時中を吹っ切るように日々を突っ走っていた。私と妹は、増えていくモノたちを冷ややかに見ていたっけ。
今思うと、名もなき十姉妹は両親の世界だね。
あの水飲み皿の中で亡くなっていた雛鳥―あれは父も母も経験した世界だ。母はどのような思いで見たのだろう。
私の家族だったのは、猫のルミと文鳥のチコだったんだ。
ルミとはちゃんとコミュニケーションがあった
チコにあんなに泣いたのは、そうか、そういうことだったのか・・・
中学に入ってからホームドラマに夢中になったのは、「家庭」というものへの強烈な憧れがあったからだ。
私は、「家庭」を知らなかった―
ふと、言葉が浮かんできました。
「漂流」
哀しみがこみ上げてきました。
・・・そうか、私と妹は、
親なき世界で、
それぞれが漂流していたんだ・・・
「家庭」がない中で、ただそこに置かれ、押しつけだけはやってきて、私と妹はそれぞれのやり方でサバイバルしていたんだ。
家族は、バラバラだった
―そう、心なきリーダーの下でのガッチャマンのように。
正装してコクピットに揃っているのに、あのバラバラ感。
あれはとても馴染んだムードだったんだ。
結婚後の私の家庭でのあり方がハッキリと見えました。
あー、これだったんだ。
両親が、そして私と妹がされていたように、
私もまた家族に対してしていた。
そして、半ば愕然としながら思います。
今、妻共々、「家庭」で仕事してるじゃないか。
妹もそう。
そこが家庭なのか事務所なのかわからない―あの時と同じ・・・・
★「虹を待つ人」---------------------------------------------------
見えない壁で囲まれた部屋
命に触れて確かめている
そのドアに鍵は無い
開けようとしないから 知らなかっただけ
初めからずっと自由
冷たいままの痛みが そっと寄り添って祈る
冷たいままの体を 温めようとしている
生きようとする体を 音は隅まで知っている
虹を呼ぶ雨の下 皆同じ雨の下
うまく手は繋げない それでも笑う
同じ虹を待っている
―いい歌だ
【BUMP OF CHICKEN 「虹を待つ人」】