格差社会-事実は何を伝えようとしているのか
日銀は個人的利殖行為を禁じている。それを総裁自らが破った。
同日地方版には、『店長、「目標達成しないと草刈り」』『パート、自腹切り注文』と題して、全国展開する大手スーパーのとある店舗で、パートに対して「罰ゲームつきノルマ」を課したことが報じられている。
目標達成できなければ「草刈り」をしないといけない。査定にも響く。それを恐れたパート女性は、『1日働いて4,5千円なのに、クリスマスのケーキ、土用の丑の日のうなぎなど、イベントごとに不満に思いながら買っている』
テレビ「スーパーモーニング」で見たが、派遣で日銭を稼ぐ夫。
国立大学を出て大手化学会社に勤め、国家資格も持つ。しかし、身体をこわして退職。以降は、年収200万円の生活。奥さんのパートも生活費であるため、子どもが病気でも休むことに躊躇する。
大手アパレルメーカーをリストラされた男性。
英語はぺらぺらなのだが、再就職は難しい。上の方同様、この国は貴重な人材を埋もれさせている。奥さんは手元にあれば使うから、と1000円でも貯金している。
昨日の「TVチャンピオン」で「つめ放題女王決定戦」をやっていた。女王になった方が「主婦の戦場」と言っていたのが、今更に実感としてよみがえる。
『50億の大台いいじゃん』(ライブドア事件初公判 5/27)-爪に火をともすような庶民の生活の一方、マネーゲームの現場では、いともお手軽に数十億単位の金額がペーパーの上でやりとりされる。
そのホリエモンがニッポン放送株買収劇で登場し同株が跳ね上がった直後に、村上ファンドはその大半を売り抜け『利益100億円』を濡れ手に粟で得ている(6/3)。
マネーは生活の場に循環するのではなく、ゲームの場で循環している。
それを是正し住みよい社会にするのが、金融を監督する省庁であり政治ではないのか。
しかし、
某首相は「自己責任」と言い、
某総裁は自ら禁を破り、
『衆院職員は庁費で飲食』(5/27)。
講演でマネジメントについて話しているのだが、
ボスがコミットしなければ、下は四分五裂する。
ボスがモラルを失えば、下は簡単に犯罪の域に踏み込む。
低成長で雇う側の会社の力が強くなり、成果主義はさらに働く者を追い立て追いつめる。
上記の男性に見るように、身体をこわしたら見捨てられ、社長との折り合いが悪ければリストラされ…正社員から外れたときに待っているのは「下流」。
今や、30%をしめるパートや派遣社員が、低賃金で立場も弱いままに『社員並みの責任』(6/16)を押しつけられている現実を見せつける。
だから、正社員は会社にしがみつき、会社のいいなりになり、サービス残業は増える。
『女性に偏る育児負担』(6/2)
『働き方を変えよう』(6/2社説)
『職場で育休取った人いない』(6/3)
『負担・閉塞感母に重く』『専門家「夫の参加なければ改善困難」』(6/4)『制度だけあっても…』(6/5)
『家事しない夫、あきらめる妻』(家庭動向調査 6/10)-30代の夫の25%は夜10時以降の帰宅。
『底見えぬ少子化衝撃』(6/2)として新聞はシリーズを書くけれど、どう書いても、このような会社の現実を放置する限り少子化は解消されないだろう。
そこへ出てきた『労働法制見直し中間報告素案』(6/14)。米国のホワイトカラー・エグゼンプション(適用除外)にならい、年収400万円以上の社員に対しては残業代を払わなくていいようにできる制度。名を「自律的労働制度」と言う。(私がテーマとしている「自律」を使われることが哀しい)
経団連は、時間ではなく成果で評価できる、と『歓迎』している。時間配分は個人裁量でやることにより働き方が多様化するとタテマエを言うが、残業理由の61%が『所定内の時間では片付かないから』(労働政策研究・研修機構04年調査)という実態をふまえれば、これは個人裁量の問題ではなく、仕事を整理するか人を増やすかという経営の問題であることが分かる。
つまり、この法律が通ると、会社の経営責任は問われないまま、ますます個人の能力や責任が問われ、個人は追いつめられることになりそうだ。
追いつめられ行き場がなければ、自殺に向かう人も出てこよう。
『8年連続で3万人を超え』『先進国のトップをいく』『自殺大国』(6/7社説)
「カローシ」が日本社会を表す国際語になった次は、「ジサツ」がそうなるのでは?
社会が2極化してきたなどと人ごとのように言う。
マスコミがバラバラに報じる事実を冷静に眺めてみて欲しい。事実がメッセージを持って迫ってくる。
「自己責任」「成果主義」「自律的労働」などの上っ面の言葉の裏で、どこへ向かおうとしているのか。
これで、「少子化」解消できますか?
これで、「自殺3万人」を救えますか?
日本は元気になりますか?
小泉首相最後の国会
小泉首相最後の国会 重要法案先送りで閉会 第164通常国会は16日、衆参両院の本会議で継続審議の手続きを行い、18日の会期末を前に事実上閉会した。 小泉純一郎首相にとって最後となる国会では、9月に退陣する小泉首相が「改革の総仕上げ」と位置づけた行政改革.. ...