7-6)暴力誘発が不発に終わった仕掛け(2004.03)
2015/01/25(Sun) Category : 渋谷夫バラバラ殺人事件
【「渋谷夫バラバラ殺人事件」の考察】
>【7.脚本人生劇場(2003.秋~2004.05)】
6)暴力誘発が不発に終わった仕掛け(2004.03)
けれど、定食メニューでは“とりあえず”ストローク飢餓は癒やせますが、それ以上の暴力を引き出すことはできません。暴力をバージョンアップさせなければ、母親に報告できません。そこで、歌織は仕掛けをしています。
弁護側「そのときに祐輔さんは何かを見つけたのでは?」
歌織 「彼は私に暴力をふるうとき、私の体だけでなく、家中の物を倒してめちゃくちゃにするのだが、そのときはクローゼットから30万円をみつけた」弁護側「そのお金はどんなお金だったのか?」
歌織 「結婚してから少しずつためていたお金だ」
弁護側「いわゆるへそくりだね。祐輔さんは何と言ってきたのか?」
歌織 「『何でこんなお金があるんだ? いつもお金がないと言っているのに、A男(歌織の愛人)から借りたんだろ』と…」
ここも語るに落ちるのですが、歌織は『彼は私に暴力をふるうとき、私の体だけでなく、家中の物を倒してめちゃくちゃにするのだが』と述べています。つまり、祐輔が怒るときにどのようにするのかは当然ながら熟知しているということです。ならば、クローゼットに30万円置いておけば、どのような展開になるのかは想像がついたことでしょう。
歌織は愛人A男から2003年3月に30万円、冬に50万円借りており、50万円借りたことは既にばれています。しかもばれたことで激怒して殴られた―それが、数ヶ月前の50万円の出来事でした。
歌織はここで二匹目のドジョウを狙ったのかもしれません。あるいは、最初から隠し球として取っておいたのかもしれません。ゲームを仕掛けること=生きることになっている人は、常に複数の布石を打ちながら生きていますので、これくらいのことはごく当然のようにやっています。
15万円の給料で12万円の家賃生活であれば貯金が貯まるはずはありませんから、当然祐輔は愛人のことを疑うでしょう。しかも、50万円に続いての出来事ですから、前より酷い暴力を受ける可能性があるでしょう―それを狙ったのではないでしょうか。
弁護側「あなたは何と説明したのか?」
歌織 「私は彼に、『違う。自分でためたお金だ』と説明したが、興奮して聞いてくれない。仕方なく、『そうだ』と認めることにした」
弁護側「A男から借りたということにしたということか?」
歌織 「はい」
弁護側「祐輔さんはどうしろと?」
歌織 「『お前が勝手にA男から借りたんだから、お前が勝手に返せ』と言って30万円を取り上げた。『間違いなく返したという証拠に、30万円を振り込んだ明細を見せろ』と言ってきた」
弁護側「あなたは何と?」
歌織 「自分でためて返したと納得させるため、わざと時期をずらして、8月くらいにA男に連絡して、『お金を借りたことにしてくれ』と30万円を借りて振り込んだ。彼に明細を見せて、間違いなく返したと言った」
どうも流れが不自然でおかしいものを感じますが、わかることは、歌織が目論んだであろう暴力の方向には進まなかったということです。これは歌織にとっては想定外だったことでしょう。祐輔が歌織の挑発をかわしたことで、歌織はこの先どう進むべきかを考えなければならなくなりました。
>【7.脚本人生劇場(2003.秋~2004.05)】
6)暴力誘発が不発に終わった仕掛け(2004.03)
けれど、定食メニューでは“とりあえず”ストローク飢餓は癒やせますが、それ以上の暴力を引き出すことはできません。暴力をバージョンアップさせなければ、母親に報告できません。そこで、歌織は仕掛けをしています。
弁護側「そのときに祐輔さんは何かを見つけたのでは?」
歌織 「彼は私に暴力をふるうとき、私の体だけでなく、家中の物を倒してめちゃくちゃにするのだが、そのときはクローゼットから30万円をみつけた」弁護側「そのお金はどんなお金だったのか?」
歌織 「結婚してから少しずつためていたお金だ」
弁護側「いわゆるへそくりだね。祐輔さんは何と言ってきたのか?」
歌織 「『何でこんなお金があるんだ? いつもお金がないと言っているのに、A男(歌織の愛人)から借りたんだろ』と…」
ここも語るに落ちるのですが、歌織は『彼は私に暴力をふるうとき、私の体だけでなく、家中の物を倒してめちゃくちゃにするのだが』と述べています。つまり、祐輔が怒るときにどのようにするのかは当然ながら熟知しているということです。ならば、クローゼットに30万円置いておけば、どのような展開になるのかは想像がついたことでしょう。
歌織は愛人A男から2003年3月に30万円、冬に50万円借りており、50万円借りたことは既にばれています。しかもばれたことで激怒して殴られた―それが、数ヶ月前の50万円の出来事でした。
歌織はここで二匹目のドジョウを狙ったのかもしれません。あるいは、最初から隠し球として取っておいたのかもしれません。ゲームを仕掛けること=生きることになっている人は、常に複数の布石を打ちながら生きていますので、これくらいのことはごく当然のようにやっています。
15万円の給料で12万円の家賃生活であれば貯金が貯まるはずはありませんから、当然祐輔は愛人のことを疑うでしょう。しかも、50万円に続いての出来事ですから、前より酷い暴力を受ける可能性があるでしょう―それを狙ったのではないでしょうか。
弁護側「あなたは何と説明したのか?」
歌織 「私は彼に、『違う。自分でためたお金だ』と説明したが、興奮して聞いてくれない。仕方なく、『そうだ』と認めることにした」
弁護側「A男から借りたということにしたということか?」
歌織 「はい」
弁護側「祐輔さんはどうしろと?」
歌織 「『お前が勝手にA男から借りたんだから、お前が勝手に返せ』と言って30万円を取り上げた。『間違いなく返したという証拠に、30万円を振り込んだ明細を見せろ』と言ってきた」
弁護側「あなたは何と?」
歌織 「自分でためて返したと納得させるため、わざと時期をずらして、8月くらいにA男に連絡して、『お金を借りたことにしてくれ』と30万円を借りて振り込んだ。彼に明細を見せて、間違いなく返したと言った」
どうも流れが不自然でおかしいものを感じますが、わかることは、歌織が目論んだであろう暴力の方向には進まなかったということです。これは歌織にとっては想定外だったことでしょう。祐輔が歌織の挑発をかわしたことで、歌織はこの先どう進むべきかを考えなければならなくなりました。