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8-6)父親の利用のされ方―不安を抱えている人間は利用しやすい

2015/02/02(Mon) Category : 渋谷夫バラバラ殺人事件
【「渋谷夫バラバラ殺人事件」の考察】
【8.離婚を決意した娘vs拒否した母親(2004.05)】


6)父親の利用のされ方―不安を抱えている人間は利用しやすい

では、父親の証言を見てみましょう。

弁護側「なぜ帰ってきたと言っていた?」
父親 「『暴力を受けている』と」
弁護側「跡を見たか?」
父親 「顔面や右腕、左の横っ腹に青いあざがいっぱいあった」
弁護側「結婚はどうすると?」
父親 「『とにかく離婚したい』と言っていた」

父親も歌織を見ました。『絶対戻っちゃいけない、家から出しちゃいけない』と言ったのも当然のひどさでした。娘をこのようにされて怒らない父親はいないでしょう。

弁護側「何日ぐらいいた?」
父親 「4、5日ぐらい」
弁護側「東京に戻る前日に話をした?」
父親 「はい」
弁護側「歌織の様子は?」
父親 「泣いていた」
弁護側「証人は落ち着いていた?」
父親 「私の方が興奮していた」

歌織は、「ずっと怒鳴り続けていただけだったので、一言も話す余地がなかった」と証言していましたが、父親は「泣いていた」、そしてこの後も「泣いてばかりだった」と言っています(後述)。二人の証言は微妙に違いますね。

おそらく、『自宅に夜11時ごろ戻ってきた』父親は、既に泣いていた歌織を見たのでしょう。感情を表すこと自体が、父親をかき乱します。さらに、何でもレールにはめ込まなければ不安が生じて仕方がない父親にとって、泣いている姿を見ることは不安が引き出されることでしょう。

それがなぜ怒りに転化するかといえば、「全力で不安から逃げている俺に不安を感じさせやがって!絶対に許さん!!」という怒りなのです。怒りが強ければ強いほど、その人は怯えているなぁということをよく感じます。

思い通りにならない歌織は不安をかき乱す敵―怒りの種だったでしょう。しかも、父親から見れば自分に黙って“勝手に”入籍した挙げ句、一方的に酷い目に遭って舞い戻ってきたわけです。その時点で、自分の言うことを聞いていればという思い(=レールに乗せることが出来ず、不安を与えられ続けることへの怒り)を抑え込んでいたでしょう。

そして、数日滞在する間に、離婚するならするで自分の道を歩く方向に行くかというとそうではない様子にイライラが募っていき、メソメソ泣いていている姿を見たときに、ついに耐えきれずに爆発したのでしょう。


弁護側「どういう言葉をかけた?」
父親 「『あれだけ反対した結婚で、揚げ句に暴力沙汰(ざた)で戻ってくるとはどういうことだ。お前が1番だらしない』」
弁護側「『自立しろ』と言ったことについては?」 
父親 「『自立どころか、問題にならない。このザマは何なんだ』と非常に怒った」 
弁護側「だれがどう悪いと言った?」 
父親 「『1番悪いのはお前だ』と怒った」 
弁護側「歌織は考えを言っていたか?」 
父親 「泣いてばかりだった」 
弁護側「証人はずっと責めていた?」 
父親 「そうです」 
弁護側「子供のころからそうだったのでは?」 
父親 「そうです。そういう形できた」 
弁護側「歌織がどういう気持ちで戻ったか考えなかったのか?」 
父親 「そのときは考えなかった」

父親の怒りの言葉は、『お前が1番だらしない』『このザマは何なんだ』『1番悪いのはお前だ』です。前項でも見ましたように、この言葉は父親が自分の母親に言いたかったことなのでしょう。

父親が自らをルールの中に閉じ込めたのも、不安から逃げるためと、この激しい怒りを封印するためだったのでしょう。しかし、不安も怒りも出るきっかけを常に伺っていますし、歌織はその両方の格好のきっかけ提供者でした。

内側に「母親への怒りを抱えている人間」(怒り内在者)と、その「怒りのきっかけ提供者」(代理母親)との関係はよく分かります。「怒り内在者」と「代理母親」の関係は、どちらが男か女か、夫婦か親子か兄弟か、友人か上司部下かなどを問いません。

この2者が出会ったときに、「怒り内在者」の中では「代理母親」に対する怒りがいつでも出てくるようスタンバイの状態になっています。そして、きっかけを掴んだ瞬間、グワッと襲いかかるのです。その瞬間は、その人の体から相手に襲いかかる波のようなオーラが吹き出すかのようです。

この時も、きっかけを掴んだ瞬間、その怒りの衝動は津波となって父親を押し流したでしょう。その津波が、歌織を祐輔の元へ押し戻すことになったのです。





整理してみましょう。

歌織は、携帯を折って離婚への不退転の強い決意を見せました。
母親に酷い暴力を語りました。
父親に悲惨な痕跡を見せました。
けれど母親は、曖昧な形で離婚を拒否しました。
父親は、一緒に住むことを拒否しました。

歌織はこの数日間の間に母に絶望し、あきらめていきますが、けれど子どもは母親への絶望を自覚したくありません。そこで、母親ではなく父親に拒絶されたから実家に居られないというストーリーを作るため、父親が帰ってくる頃に歌織は泣いていたのでしょう。想定通り父は怒り、泣き止まない歌織にますます怒り、結局2時間ほども怒り続けることになったのではないでしょうか。(2時間という長さが、それが代償行為であったことを示しています)



不思議なのは、その2時間もの間、母親が介入していないことです。2時間もの間、『母は私と父のやりとりをずっと見ていて、父がいなくなってから『守ってやれなくてごめん』と言った』のです。おかしいでしょう。

普通の母親であれば、泣いている娘に怒りをぶちまける夫を止めるでしょう。いえその前に、帰ってきた夫に事情など説明して見守るように言うでしょう。それをせずに見ているということは、夫に「もっとやれ」と言っていることと同じなのです。それがわかるから、歌織はますます泣いたのではないでしょうか。

子どもはどんなときでも、親への期待をかすかに持ち続けています。絶望して父親にゲームを仕掛けているこの時でさえも、歌織は母への期待を持っていただろうと思います。
けれど母親は母親で、「母親一神教」を生きていますから、こういうときに子どもを助けないことこそが脳内母親への忠誠の証ですから、助けないことが最高の見せ場なのです。

その証拠が『守ってやれなくてごめん』という言葉です。大切な我が子を守れずに、一体何を守るのでしょうか。これには次の2つの意味があると思います。
・私は私を守るために(=脳内母親から見捨てられないために)、あなたを助けない
・私は私を守るために(=存在不安から逃げるために)、あなたではなく夫を取る





この父と母の関係を見ると、次のやりとりがとても意味深に思えてしまいます。
弁護側「子供のころからそうだったのでは?」 
父親 「そうです。そういう形できた」 

歌織の人生最初の記憶―あの便座で父親にぶたれた事件を思い出します。
あの時も母親が登場せず、父親が歌織を一方的に怒りまくり、歌織はただ泣いている―この時と全く同じ状況でした。おそらくあの時も、母親は今回と同じく『母は私と父のやりとりをずっと見てい』たのではないでしょうか。そして、助けなかった。

つまり、歌織を自律させたくない母親は、歌織の閉じ込め役として父親を利用した。利用の仕方は簡単です。父親は『お前が1番だらしない』『このザマは何なんだ』と怒りたいわけですから、その怒るきっかけを歌織が作ったときに父親に知らせればいい。すると、父親はその現場に遭遇したときに勝手に逆上して怒るでしょう。あの便座事件もそういうことではなかったのか?

そして、母親がそこに登場しないことで歌織は見捨てられ不安を持つと同時に、謎が残ります。そして、見捨てられたくない思いと謎を解きたい(けど解きたくない)気持ちから、母親への執着は強くなります。こうして母親は娘を見捨てつつ、娘を手に入れることが出来るのです。

一方、不安の強いこの父親は、娘を遠ざけつつ妻を独占することが出来ます。―『そういう形できた』のではないでしょうか。

不安の強さが同程度で、かつ脚本同士がかみ合わなければ結婚は続きません。というのも、不安から逃げ続けるためには脚本を突っ走るしかなく、そのためには互いの脚本がかみ合う必要があるからです。この夫婦は、子どもが入り込む隙がないほどベストカップルだったのです。

両親の間に子どもが入り込む余地はなかった―そのことに、歌織が気づくことが出来ていれば・・・。歌織がいなくなっても、この両親にはなんの打撃もないのです。傷一つさえ付かないことが分かれば、孤独は自分が受け止めて自分の人生に歩み出せたかもしれません。





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