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9-1)母への絶望の中、祐輔の優しさに泣いた歌織(2004.06)

2015/02/07(Sat) Category : 渋谷夫バラバラ殺人事件
【「渋谷夫バラバラ殺人事件」の考察】
【9.母への絶望と憎しみの封印(2004.06~2005.01)】


1)母への絶望の中、祐輔の優しさに泣いた歌織(2004.06)

歌織は実家を追い出されました。殴られると思っていた祐輔にとっては拍子抜けのことでした。安心すると同時に、自分を不安にした歌織への怒りも湧いたことでしょう。歌織にはもはや逃げ場がない―祐輔はそう確信したことでしょう。祐輔の行動は当然大胆になっていきます。

弁護側「実家から帰った後、祐輔さんの暴力に変化はあったのか?」
歌織 「はい。変わった」
弁護側「どのように?」
歌織 「私には頼れる人も逃げられる場所もないとわかっているように、暴力のやり方が、基本的には同じだが、大胆になり、束縛も強くなった」 
弁護側「具体的には?」 
歌織 「そのころくらいから、においチェックというようなものをやられ、彼が帰ってくるまで風呂に入れなくなったり、レシートチェックもされた」
歌織 「においチェックとは、最初は髪の毛や洋服だけだったが、エスカレートして洋服を脱がされて体のあちこちをかがれたり、髪の毛に少しでもタバコのにおいがすると、浮気をしていると暴力をふるわれた。お風呂に入ると、『浮気の証拠を消すために入った』と暴力をふるわれるので、入れなかった」 
弁護側「レシートチェックとは?」 
歌織 「飲食のレシートを彼がチェックするということで、どういう店で何時に何人と食事をしたかをチェックするため必ず持ってくるように言われた。一人で食事をしたときも持ってくるよう言われ、彼に言った通りに行動しているか、浮気していないかをチェックされた」
弁護側「それは事件まで続いたのか?」
歌織 「はい」

弁護側「(祐輔さんに暴力をふるわれ)逃げようとは思わなかったのか?」
歌織 「実際、何度か逃げようと思ったが、以前ほど逃げようと思えなくなっていた」
弁護側「なぜ?」
歌織 「彼のどんどんエスカレートしていく(暴力や監視の)やり方をみていると、『どんなに(逃げようと)やっても無駄』という気持ちと、実家で父に言われた通り、『そういう人間と結婚してしまった自分のせいだ。自業自得だ』と思った。彼は暴力の後、優しくなる。彼の暴力や女性問題を見て見ぬふりをすることで、現実から逃げていた」 
弁護側「祐輔さんは暴力をふるった後、どのように優しくなるのか?」 
歌織 「暴力の後は別人のように優しくなる。平成16年6月ごろ、彼の暴力が原因で私が全く左手が使えなくなったとき、普段は帰りが遅いのにわざわざ早く帰ってきて…。手の治療をしてくれたり…。『右手が使えるから大丈夫』と言っても、いろいろ世話をしてくれた」
《これまで淡々と話していた歌織被告の声がうわずり、涙声になった。言葉は途切れ途切れに》

歌織が「暴力」という言葉を使うときに、どれほどの暴力が実際になされていたのかはわかりませんが、束縛は強くなっていたのでしょう。その強くなっていく束縛の話をしている最中に、なぜ『歌織被告の声がうわずり、涙声になった』のでしょうか。

どんなに優しくされようとも、その怪我を負わせたのは祐輔です。普通ならば許せない気持ちがあって当然でしょう。けれど歌織は、『わざわざ早く帰ってきて』『治療をしてくれたり』『世話をしてくれた』と詳細に語り、感謝の意を表しています。そして、気持ちがこみ上げてきているのです。

声に出して表現することで、抑えていた感情が出てくるものです。おそらく歌織は嬉しかったのでしょう。


親の前ではマイナス価値の存在で、幼少期に父に暴力を振るわれたとき、そして祐輔に暴力を振るわれて離婚を決意したときの2回とも母親に捨てられてしまった自分。母親から拒絶されて『自暴自棄』になって祐輔の元へ戻らざるを得なかった歌織は虚無と絶望の中にいました。それが、『どんなにやっても無駄』という言葉に表現されているように思います。

公判記録では、『どんなに(逃げようと)やっても無駄』と、(逃げようと)という言葉が憶測で挟まれています。確かに文脈からはそう見なすのも頷けますが、全体をもっと俯瞰してみた場合、私には次のように言っているように思えます。
『(母親に認めてもらおうと)どんなにやっても無駄』

というのも、そう言ったすぐ後に、『そういう人間と結婚してしまった自分のせいだ。自業自得だ』という自己否定がセットで出てきているからです。母を責めそうになったり母に落胆しそうになったときに、それを打ち消すために自動実行のように出てくるのが、歌織の場合自己否定です。


しかも、この質問は、「逃げようとは思わなかったのか?」という質問に対する答えでした。祐輔の束縛がエスカレートするにも関わらず、しかもかつてあれだけ強引に有無を言わせず祐輔を引っ張り回した歌織が、なぜ『逃げようと思えなくなっていた』のか?

それは、これ以上母親に落胆したくなかったからだと思います。逃げると言っても、歌織にとっての逃げ先は母親の所でしかありません。というのも、歌織にとって祐輔自体は、母親と一緒になるための道具でしかないからです。道具を使って母親と一緒になるにせよ、道具を捨てて母親と一緒になるにせよ、とにかく歌織は母親しか見ていません。けれど、その母親は歌織を拒絶します。この一方通行の落胆を、もうこれ以上見たくなかったのではないでしょうか。

歌織は、自分が母親に落胆していることにさえ明確に気づきたくはありませんから、逃げようと思わない理由は、なんとしてでも祐輔のせいにしなければなりませんでした。



しかし、その奈落の絶望の中で、祐輔が見せてくれた優しさ・・・。
どん底にいる歌織を支えたのは祐輔でした。

両親に求めても得られなかった優しさ。
その優しさに初めて触れたのが、皮肉にも暴力夫からでした。

捨てられた自分。
拾ってくれた祐輔。

この時期、自分を支える背骨(柱)として祐輔が歌織の中に無意識に組み込まれたのではないでしょうか。けれどそれが、悲劇へと繋がっていくことになります。




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