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16-1)『もう限界』と『もう1回』の狭間で、とことんの絶望(2006.12.10)

2015/04/15(Wed) Category : 渋谷夫バラバラ殺人事件
【「渋谷夫バラバラ殺人事件」の考察】
【16.地獄の中で夢を形にしようとした歌織(2006.12)】


1)『もう限界』と『もう1回』の狭間で、とことんの絶望(2006.12.10)

神(母親一神教)に裏切られた自分。
けれど、その神(母親)の「金を取れ」という命令は生きている自分。

1月10日にボーナスをもらうまでは離婚できないと頑張る自分。
けれど、吹き上げる憎しみを抑えきれず、年内に別れると決めた自分。

すべての努力を無にされ、人生を否定された自分。
それでも終わりなく要求してくる「あいつ」(母親)。

母親と一緒に暮らしたい自分と
母親を殺したいくらいに憎む自分。

そう、この母親と一緒に居ることは地獄なのです。

その矛先は、代理母親である祐輔に向かいます。
そして、一度意識に登ってしまうと、それ以降の一瞬一秒が地獄となります。
その地獄をどう終わらせるのでしょう。





まず、証言から、その背後にどのような事実が隠れているのかを探ってみましょう。

弁護側「平成18年12月9日にしたことは」 
歌織 「ICレコーダーを部屋に設置した」
弁護側「祐輔さんの女性問題については」
歌織 「気づいていた」
弁護側「祐輔さんは女性問題については認めたか」
歌織 「認めることは1度もなかった」
弁護側「何のためにICレコーダーを部屋に設置したのか」
歌織 「とにかく彼と別れるなら理由は何でもよかったが、決定的証拠がほしかった」 
弁護側「どうして12月9日だったの」 
歌織 「(離婚のために)自分で考えられることをやったものの、何をやってもダメで、『もう限界』という感じでその日に設置した」 


「何をやってもダメで、『もう限界』」―この言葉が、歌織の母親に対する気持ちを表しているように思います。
私も若い頃に経験がありますが、自分を騙し騙しやっていて、「ここはもうイヤだ」と意識に昇ったその日から、そこに行くのが苦痛になりました。一瞬一秒が砂をかむような時間に変わり、椅子に座っている尻がジリジリとし、その苦しさに耐えきれず、意識に登って1週間もたたずにそこに行くのをやめました。

『一緒にいることはできない。地獄に身を置くことだ』と歌織が思ったのが29日ですから、それから10日―ほんとに限界だったのだと思います。


弁護側「12月9日のいつ」 
歌織 「朝です」
弁護側「その日は土曜日だが、どのように過ごしたか」
歌織 「彼とスポーツクラブに一緒に行った。その後、2人でDVDを買ったりクリスマス飾りを買った」
弁護側「翌10日の日曜日は」
歌織 「スポーツクラブに一緒に行った」
弁護側「この2日間で離婚の話はしたか」 
歌織 「しなかった。土日(曜日)なので(暴力が始まると長時間になるため)話し合わないようにしていた」 
弁護側「10日に不動産屋に行ってるが」 
歌織 「外出先の新宿で食事をしているときの彼の言動から、『このまま家に帰ったら危ない。今すぐ家出したい』と思ったから(1人で行った)」 
弁護側「外出先で暴力を振るわれると感じたのはどうして」 
歌織 「食事中に彼の買う品物について私が反対したら、急に彼が怒り出しテーブルを蹴って財布を取り上げた」
《弁護側は、祐輔さんのDVを際立たせ、歌織被告の精神状態が普通ではなかったことを浮き上がらせようとする》
弁護側「不動産屋でどうしようと」
歌織 「すぐに引っ越せる物件がないか部屋を探した」
弁護側「その結果は」
歌織 「結局見つけられなかった」
弁護側「その間、彼から連絡は」
歌織 「電話やメールが何度もあったが無視して、自分の実家に電話をした」
弁護側「母には何と言ったのか」
歌織 「『とにかく彼の暴力がひどいので家を出たい。協力して欲しい』と」
弁護側「その後はどうしたか」
歌織 「不動産屋で部屋探ししていたときに何度もあった彼の電話がなくなったので、部屋を滅茶苦茶にしたり、暴力の証拠を見つけているかもしれないと思い、タクシーに乗って自宅に引き返した」
弁護側「それで自宅は」
歌織 「玄関にチェーンがかかっており、ドアを少し開けたすき間から部屋の様子をうかがった。中で彼がいろんな物をひっくり返し暴れる音が聞こえてきたので、近くのバーガーショップに避難した」
弁護側「その後は」
歌織 「どれくらい時間が経ったか覚えていないが、もう大丈夫だろうと思い家に帰った」
弁護側「家の中はどうだったか」
歌織 「とにかく全部が滅茶苦茶だった」
弁護側「ICレコーダーはいつ聞いた」
歌織 「12月11日の朝。彼が会社に出勤してから」
《質問は事件当日の言動へと移っていく》


例によって脚本ストーリーが語られていますので、事実のみを拾ってみましょう。
歌織が12月9日(土)の朝、ICレコーダーを設置したこと。
土日共、一緒にスポーツクラブに行ったこと。
10日(日)は、彼と別れたあと一人で不動産屋に行っていること。その後、実家に電話し、マンションに戻って様子を見ていること。
11日(月)には、祐輔が会社に行っていること。

どうも歌織の言う祐輔の荒れぶりがしっくりきません。そもそも、もし歌織に対して怒っているのなら、なぜ祐輔はドアチェーンをかけたのか?かける意味がありません。
また、11日(月)には出社したということは、夜は二人で家にいたわけです。その時はどうだったのでしょうか。この荒れぶりは、歌織の虚言のように思います。


日曜日に何かがあったことは間違いないでしょうが、何があったのでしょうか。それが分かる証言がありました。

検察側「それでは、どのように離婚の話を進めようと思ったのか」
歌織 「ただ話そうと」
検察側「ICレコーダーのことは」
歌織 「以前(ICレコーダーを使っていることを祐輔さんに)ほのめかしたので、話の中では出るだろうと思った。会話を録音したことは言ってはいけないと思った」
検察側「祐輔さんにICレコーダーを使っていることをほのめかしたのはどのようにして?」
歌織 「彼は乗馬をしていないのに交際相手に『乗馬をしている』と話していた。そういうことを彼に話した」

なるほど。歌織は9日(土)の朝にICレコーダーを設置し、その内容を聞いて、10日(日)新宿で食事をしたときに『ほのめかした』んですね。祐輔は、歌織が電話の会話を録音していたことに気づき、そのレコーダーを探しに帰ったのでしょう。

歌織はICレコーダーを聞いたのが11日の朝と堂々と答えていますが、祐輔を殺害したのはその日の夜(12日の朝)です。11日の朝にICレコーダーの内容を聞いて、それをほのめかす時間は物理的にありませんので、完全に嘘だと分かります。

ではなぜ嘘をつかなければならなかったかと言えば、10日の日は『食事中に彼の買う品物について私が反対したら、急に彼が怒り出しテーブルを蹴って財布を取り上げた』、そして大暴れしたというストーリーをねじ込みたかったのでしょう。

おそらく、ほのめかすことで祐輔が怒りだし、自分に暴力を振るってくることを期待したのかもしれません。その期待したストーリーを歌織は証言として話したのでしょう。もはや、完全に虚構の世界に棲んでいることが分かります。母親にも『とにかく彼の暴力がひどいので家を出たい』と電話してますね。

それも離婚を有利に運ぶためだと思われますが、不思議なのは、もし彼が生きていればいくらでもその嘘は暴かれるということです。もしかすると、この時既に無意識に歌織は祐輔を亡き者にしていたのかもしれません。





ところで、母親とは本当はどのような話をしたのでしょうか。

弁護側「電話で母とはどのような話をしたのか」 
《歌織被告、深呼吸をするかのように1回、息を深く吸い込む。肩が大きく上下する》 
歌織 「ICレコーダーのことを伝えると『よくやった。もう1回、(祐輔さんと)浮気相手との会話を録音しろ』と言われたが、録音するためにはもう一度彼と週末を過ごさなければならず『冗談じゃない』と思った。彼にICレコーダーのことを言うと私の身が危ないので絶対に渡すなとも言われた」

歌織の様子がいつもと異なりますね。何か大きな決断をして、意を決して言っているように見えます。
それもそのはず、母親の本性を暴露するような話をしたばかりか、『冗談じゃない』という言葉を声に出しています。自分を支配する神(脳内母親)を裏切って、初めて気持ちを言葉にしました。それも、反旗を翻す言葉を―。これが言えたのは、すべてが終わって1年後だからこそ、また裁判という場の力を借りてこそ言えたのかもしれません。

しかし、それはこの場だからこそ声に出せたこと。時系列を間違えずに把握しなければなりません。実際はその電話で、1月10日のボーナスに加え、歌織はまたもや課題を背負わされてしまったのです。

『もう限界』という中で、やっとの思いで仕掛けたICレコーダー。
それに対して、お金のために『もう1回』と要求した母親。


既に第二の脚本は潰え、限界はとうに超えていたのです。
サッカーで言えば、前半戦(脚本第一幕)も後半戦(脚本第二幕)も終わり、ロスタイムが残されているだけでした。

かつて(無意識ですが)父や祐輔に頼って離婚しようとしても出来ず、もはや自分の手で決着をつけるしかないと思って仕掛けたICレコーダー。
けれど、そのICレコーダーを利用して、さらなる録音という課題がオンされたのです。

どこまでも、どこまでも・・・
さらに、どこまでも、どこまでも・・・
どこまでも永遠に要求し続ける母。

終わりがない母親―歌織は、立ち上がっても立ち上がっても、ただ一方的に打たれ続けているサンドバッグのようです。

歌織は、この電話でとことん打ちのめされたのではないでしょうか。
蓄積疲労がどっと出て、伸びきったゴムのようにクタクタになり、心底疲れたのではないでしょうか。そして、とことん絶望したのではないでしょうか。


この母親には「終わりがない」ことに気づいていれば―。
この母親には「負けがない」ことにも気づいていれば―。

歌織や夫が突然いなくなろうとも、それらの不幸はすべて不安から逃げ続けるための「ネタ」になるだけ。すべてをネタにして死ぬまで逃げ続ける―つまり、この母親には終わりもなければ負けもないのです。

歌織が見つめなければならないのは、「自分が母親に執着していること」でした。





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