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17-1)なぜ殺したのか?―アイテムからアイドル(偶像)となった祐輔

2015/04/23(Thu) Category : 渋谷夫バラバラ殺人事件
【「渋谷夫バラバラ殺人事件」の考察】
【17.バラバラ殺人をした歌織の心理】


1)なぜ殺したのか?―アイテムからアイドル(偶像)となった祐輔

裁判長は殺害時の気持ちを問いただしています。

裁判長「事件当日のことを聞く。祐輔さんは午前4時に帰ってきて寝てしまった。殴るまで時間があるが、どんなことを考えていた?」
《検察側の冒頭陳述では犯行時間は午前6時ごろとなっている》
歌織 「…考えるというより、今までの生活が自然に自分の中で浮かんできてしまった」
裁判長「どんなこと?」
《歌織被告は泣き出した。何度もハンカチで目をぬぐう》
歌織 「思い出したくないことばかり。今まで自分で無意識に思い出さないようにしてきたことが、いろいろ出てくるというか…」
裁判長「暴行や暴言か?」
歌織 「はい。そういうこと」

歌織はたった一人自分と向き合っていました。極限状態のこの時、いろいろな思い出(チャイルド)が出てきたのではないでしょうか。裁判長のフォローを利用して答えています(←このようなフォローの仕方は利用されます)が、その『自分で無意識に思い出さないようにしてきたこと』とは、源家族との生活のことが多かったのではないでしょうか。この時に、湧いてきた気持ちをどんどん声に出して「実感」することが出来ていれば、おそらく行動には出なかったでしょう。


------------------------------------------------
裁判長「ワインボトルを振り下ろしたときの感情は重要だと思う。出廷した○○証人(実名、歌織被告の友人女性)は犯行直前、あなたが怒っているように見えたらしい。帰ってくるまで長時間待ち、帰ってからも待った。どんな感情で過ごしたのか?」
《法廷全体の視線が、一層激しく泣いている歌織被告に向く》
歌織 「とにかく怖くて…部屋から真っ暗な代々木公園を見ていて、本当にこの世界に自分しかいないんじゃないかと。怖くて仕方なくて…」
裁判長「怖くて仕方ない気持ちが、ワインボトル(殺害)につながっていない。なぜそうなった?」
歌織 「つながっていないかも知れないが、生活を終わらせたい、逃げたいと…」
《最後に、と前置きした上で、裁判長が再び歌織被告に犯行時の心境を尋ねる》
裁判長「この生活を終わらせたいのなら自分が家から出ればいい。どうしてその選択肢を取れなかったの? 実際にアルバイト探しや家探しをしていたんでしょ?」
《裁判長の質問には、事件後でなく、事件を起こす前にやり直せたというニュアンスが含まれている。歌織被告は小さく首を左右に振り、左手で鼻をぬぐった》
裁判長「あなたには、裁判の最後で、もう一度話す機会がある。そのときまでに心境を思い出しておいてください」


『本当にこの世界に自分しかいないんじゃないかと。怖くて仕方なくて…』―これは、本当だったでしょう。それは、インナーチャイルドの「かおりちゃん」が小さい頃から感じ続けてきた気持ちだったでしょう。今、この状況だからこそ、そのきっかけを掴んで出てきた感情なのです。「こわいこわい」「寂しい。心細い。不安だ」と声に出せていれば・・・。

『生活を終わらせたい、逃げたいと…』―現実とふれ合うことがないこの孤独な虚構生活に、自分を閉じ込めていたのは自分です。恐いと言う「かおりちゃん」を閉じ込めていたのは、「存在不安ちゃん」から逃げ、「夢見ちゃん」にむかって「脚本ちゃん」で生きた自分です。その自分が、八方塞がりとなり、くたびれ果て、この脚本人生の『生活を終わらせたい、逃げたい』と思ったのでしょう。

『この生活を終わらせたいのなら自分が家から出ればいい』と問う裁判長の疑問ももっともです。けれど、歌織にもうまく答えられない問いでした。その問いに答えられるなら、事件は起こっていません。けれどそのためには、歌織が自らの人生脚本に気づく必要がありました。





歌織にとって祐輔は、母親を捕まえるためになくてはならない「アイテム」でした。経営者の御曹司との婚約を破棄して捕まえた“何ものでもない”祐輔。なぜ、その祐輔を捕まえたのか?それは、「束縛・暴力・高級マンション」という脳内母親(神)が望む“三種の神器”を持つ可能性を秘めていたからです。可能性とは、自分の望む方向に祐輔を改造していけるという可能性です。

だから母親に見せて許可を得、祐輔を“育成”してきました。そして、自分の思い通りに仕事を変えさせ、マンションを手に入れさせ、セックスを拒絶したり、逆に子作りの意欲を見せたり堕胎したりすることで暴力をコントロールし、疑似家族を演じるときはなつき、父への代償行為で怒りをぶつけるときは追い出し、別居させ・・・このように脚本を現実化してくれる“使い勝手のよい”祐輔は、母親一神教の歌織が人生脚本(バイブル)を歩む上でなくてはならない必須の「アイドル」(偶像:信仰を可視化したもの)となったのです。

特に第一の脚本の第一幕が終わってどん底にいたときにやさしくされたことで、祐輔なくして(脚本)人生はない―そういう“自分の人生の背骨”とも言うべき存在になっていました。だからこそ、第二幕が潰えたとき、母親との生活はあきらめ、この代理母親(祐輔)との生活を選ぼうとするくらいに悩んだこともありました。

しかし、ここまで祐輔と密着したということは、祐輔と母親との境界がなくなっていくということです。元々、母子カプセル(母子未分離)で生きている歌織は「母の思いは自分の思い、自分の思いは母の思い」であって、その心性が他者にも投影されて自他未分離状態で生きています。いわば思い込みの激しいストーカー心理で生きているということです。その心性が、ただでさえ夫は代理母親としての側面を持ちますが、ますます祐輔を母親に同化させていったのではないでしょうか。

そのことがはっきりしたのが、万引き事件だったと思います。あのとき歌織は、母親に対して吹き出す憎しみを、祐輔による自分への謝罪によって封印しました。つまり、歌織の無意識の中で、既に祐輔=母親となっていたのです。

ということは、第一の脚本の第二幕は、「祐輔=母親」という無意識状況の中で開幕したということです。その中で、度重なる母親の拒絶は祐輔への憎しみとなって蓄積されていきました。

その憎しみが噴出したのが、指輪紛失事件でした。自分の道具として祐輔が浮気をするのはかまいません。けれど、指輪をなくされた=歌織が見捨てられたことを示しており、そこで自分を見捨てた母に対する憎しみが噴出したわけです。その日、9月26日には『心からあいつが憎い。憎くて憎くてしょうがない』と書いています。

そして、9月28日に『けんかの原因となった、あいつが指輪をなくしていた(こと)』とメモがあり、『本当にあいつを何とかしてやるなら、誰にも頼らず、力をためておこう』とカウントダウンが始まります。カウントダウンを始めたということは、その時点でもはや限界を超えており、カウントダウンをすることでかろうじて爆発しそうな殺意をなだめている状態です。この時期にワインボトルを買っていますから、この時に殺意は固まっていたのかもしれません。

というのも、母親は歌織を見捨てている「証拠」を見せないまま、巧みに逃げ続けていました。ですから、感情をぶつけようにもきっかけがなかったわけです。特に怒りなどの感情は、相手にぶつけるためには“正当性”が必要です。そこへ、祐輔(代理母)が指輪をなくした→「私を裏切った。私を見捨てた」という証拠をつかんだわけですから、感情を爆発させてよい許可が下りたわけです。これまで、噴出するたびにプレス(圧縮)し、たまりにたまった憎しみが殺意となって一気に吹き出したのではないでしょうか。

押し寄せる殺意の中で、歌織はなりふり構わぬ攻勢に出ます。
11月5日に父を取るか自分を取るかを母親に迫り玉砕。
11月22日、祐輔が離婚を決意したまさにその日に、歌織は自分の夢を母親から「無駄」と全否定されました。それは、母親と暮らしたい歌織に対して「私はあなたとは暮らさない」と宣言されたも同じで、その上金(ボーナス)を取るまで離婚できなくなってしまいました。

これほど明白に母親は歌織と暮らせないことを宣言しているのに、子供はそこに目をつぶって母親に期待を持ち続けようとしますから、歌織はその憎しみを祐輔にぶつけるしかありませんでした。いえ、憎しみを超えていたでしょう。代理母(祐輔)に見捨てられた上に実の母にはっきりと見捨てられたわけですから。

翌11月23日のところに赤い蛍光ペンで書いた印を、『彼とは何としても年内中に別れる、という気持ちで書いた』と言っていますが、『別れる』とは「殺す」という思いだったのではないでしょうか。

すると、ここから先は「殺す」ための大義名分を作る段階に入っていきます。自分を説得できる事実を蓄積していって行動に移すわけです。そして、祐輔に彼女がいる確証を掴んだ時に、『もうあいつのことは憎しみ、憎悪しかない。一緒にいることはできない。地獄に身を置くことだ』というメモを残します(11月29日)。

12月9日(土)にはICレコーダーを設置し、10日(日)には録音した内容を祐輔ににおわせています。祐輔はレコーダーを見つけられませんでしたが、11日(月)に祐輔は新たな彼女に「ばれたかもしれない」と告げています。その日再び録音を聴いた歌織は、友人を呼ぶほどの衝撃を受けます。そこには、「イタリアで結婚式を挙げよう」という希望に満ちた祐輔の声が録音されていました。

「見捨てられるくらいなら見捨てる」―これが、親から見捨てられた人の根っこにある心性です。見捨てられる状況は、親への憎しみをえぐり出すので体験したくないのです。離婚話をされるだけでも許せないのに、相手には輝かしい未来が待っているのです。母親にも祐輔(代理母)にも居場所があり、自分一人ない―この状況が、最後の引き金を引いたのでしょう。

けれど、祐輔を熟知している歌織ですから、祐輔が自分から去るときは他の女性と一緒になるときであることはわかっていたはずです。それがわかっていた上でICレコーダーを設置したということは、自分に引き金を引くきっかけを与えるためだったのではないかと思います(もちろん無意識です)。

その歌織をさらに追い詰めたのは、13日に母親が上京してくるということでした。常に新たな課題を押しつけてくる母親に会うわけにはいきません。その母親は、祐輔を道具に使いますから、祐輔が存在していては困るのです。ならば、母親が執着する祐輔自身を無き者にする―神の執着対象(偶像)をなくしてしまうという手があります。いわば、「偶像破壊」です。

それに13日に行うことは、新たなマンションの契約でした。つまり、人生脚本の完全終了日。人生をスタートしていないのに終わらせるわけにはいきません。

・母親への憎しみ(殺意の噴出→凶器用意→実行のための自己説得の材料揃う)
・母親の執着対象を消すこと(偶像破壊)
・人跡脚本継続のために不都合な存在を消すこと(事実消去)

この3つが揃いました。もはや虚構を生きている歌織は、「リセット」のつもりで淡々と実行したのかもしれないと思ったりします。(もう一つ殺した意味が考えられますが、それは本最終章の最後で述べます)






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