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奈良母子放火殺人事件―「お膳立て症候群」の悲劇

2006/06/23(Fri) Category : 少年犯罪・家族事件簿
2つの事件を思い出した。
「水戸市19歳、両親鉄アレイ殺害事件」(2004年11月24日)と「京都小6女児刺殺事件」(2005年12月10日)である。

前者は、中学まで優秀だった少年がエリート高校入学後欠席が増え、卒業後ニート状態の中で、寝ている両親を鉄アレイで殴り殺した事件。両親はともに非の打ち所のない教師だった。

後者は、窃盗で停学になり就職が同級生に遅れて焦り、塾の正社員になりたいと願っていた青年が、自分と相性の悪い生徒を自分の進路の障害になると思い込んで殺した事件である。



■水戸市両親鉄アレイ殺害事件--------------------------

水戸市の青年の家庭は、『エリートでなければ認めない』厳しい家庭だった。青年の体が小さかったことから、福岡県で発見された18歳軟禁少女(2005年12月6日)のように「愛情遮断性低身長症(小人症)」だったことが推測される。

生き急がされた少年は中学で力尽きた。しかし、完璧な親は放っておいてはくれず、母親は教師を辞め別荘まで購入してリハビリのためのお膳立てをした。青年は、そこまでする親に対して早く回復して復帰しろとでも言わんばかりのプレッシャーすら感じたのではないだろうか。

ゆっくりと休むことさえも許されないと知ったとき、そして、この先もずっと自分の前に頼まれもしないレールが敷かれ、そこから逃れられないと思ったとき。自分の人生にどこまでも介入してくる両親を亡き者にする以外に、自分の生きる道はないと思ったのではないかと思う。
【詳細は、「あなたの子どもを加害者にしないために」参照】



■京都小6女児刺殺事件--------------------------------

京都の青年の家庭も、悲鳴が近所で有名なほど躾が厳しかった。親からディスカウント(*)され続けているため、自我が健全に育たず自分に自信を持てない。受け持った女児は、いつしか自分が一人前でないことを証明するシンボルとなった。

そして、『試験監督の交代』が宣告される。しかも後輩に代わる。それは、自分が一人前ではないことを突きつける“宣告”であった。『試験監督の交代』が実現し、それを両親が知ることになれば、またもや両親が迫ってくる。

そこで、試験監督交代の当日、女児を殺害するのである。交代当日に実行することによって、交代という事実も、自分を邪魔している女児という事実も消したかったのではないだろうか。

だからこそ、彼は犯行後、『血だらけの手で握り締めた携帯電話で』真っ先に父親に電話をしたのではないか。女の子を刺した、と。つまり、もう事実はない、と。だから親が自分にプレッシャーをかける必要はない、と彼は言いたかったのかもしれない。
【詳細は京都小6女児刺殺事件-(2)「少年A」の家庭との類似性

*ディスカウント=人としての価値を“値引いて”見られること。一人の人間として尊重して扱われない言動。
人がディスカウントされる場が「崩壊基地」


■奈良母子放火殺人事件---------------------------------

さて、今回の事件の概要は次の通りである。
『奈良県田原本(たわらもと)町で20日早朝、医師(47)方が全焼し、焼け跡から妻の医師(38)、小学2年生の二男(7)、保育園児の長女(5)の3人の遺体が見つかった火事で、県警は22日、京都市内で保護された私立高校1年の長男(16)を殺人と現住建造物等放火の疑いで緊急逮捕し、身柄を田原本署に移した。』(YOMIURI ONLINE 6月23日)

『長男は調べに対し、「父親から成績で強くしかられた。暴力も受けた」と述べ、母親についても「日ごろからささいなことを父親に告げ口する」と不満を口にしている。 』(asahi.com 6月23日)

『長男は「前日(19日)に父を殺そうと思った」「医者になれというプレッシャーに耐えられなかった」』
『事件当日の20日、テスト結果を伝える保護者会が予定されており、長男は「母がいなければ、成績表が父に手渡されることがないと思った」とも話している。』(YOMIURI ONLINE 6月23日)

そして、『玄関や窓は施錠されており、逃げ道になる階段に火が付けられていたことから、県警は長男には確定的な殺意があったとみている。』(中国新聞ニュース 6月23日)




■「お膳立て症候群」の悲劇---------------------------------

両親ともに優秀な教師であった水戸市の家庭と、両親ともに医師である奈良の家庭環境はよく似ている。父親が子どもの人生に介入し、子どもの生き方をコントロールしようとしている。
水戸の青年にとって、家が自分の生活をコントロールされる監獄であったように、奈良の少年にとっても家は監獄であった。獄長は父親、そして母親が告げ口をする看守である。

夫婦の子育ての方針が異なる場合、子どもを交えた対立の中から新たなその家なりの方針が出来上がってくる。しかし、両親がともに同じ価値観で迫ってきた場合、子どもに太刀打ちするすべはない(この構造を拙著の中で「家族カプセル」と名付けた)。

父親が少年に剣道の練習をさせている姿を近所の人がよく見かけたという報道に、私は嫌な思いを抱いた。逆らうことのできない強い支配下に少年が置かれていると感じたからだ。

水戸の青年と同じように、この少年も「自分の人生」を歩みたいと思っただろう。実際、自分を支配(コントロール)しようとする『父を殺そうと』思っている。
しかし、京都の青年のように父親に逆らうことはできなかった。そこで、テスト結果を見て予想される父親からの圧力を回避するため、保護者会当日の朝、看守である母親を殺害し“脱獄”したのではないだろうか。

実は、私も小学校時代、返却されたテストを全部、学校の焼却炉の中に捨てて帰ったことがある。不意にやったことだった。テストを投げ込んでいる当時の私の脳裏には、父親の顔が浮かんでいた。




■我欲を手放せ---------------------------------

人を育てるのに必要な姿勢は、ただ一つ。
「見守るが、干渉しない」ことである。

しかし、失敗させたくないという親心のあまり、親は先回りしてレールを敷き、その上を走るよう強制してしまう。
私は、レールを敷き、そのレールに乗せ、そのレールの上を遅れないように走らせ、またレールから離脱しないように見張り……このように一から十まで子どもの人生に介入してしまう親の病を「お膳立て症候群」と呼んでいる。

「お膳立て症候群」に陥った親は、お膳立てすることが親の勤めであり、子どものためであり、子どもを愛している証とさえ思ってしまう。しかし、子どもにとってそれは地獄なのだ。
【詳細は、「あなたの子どもを加害者にしないために」参照】

家族カウンセリングをしていると、このように勘違いして子どもを追いつめている家庭が、「日本病」と言ってもいいくらいに日本中に蔓延していることがわかる。

「子どものため」と思ってやっていることが、本当に子どものためなのだろうか。自分のためではないか。もう一度、自分自身を見つめ直して欲しい。

この事件は、他所の家の事件ではない。





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Comment

 

まるで自分の家と親としての自分の事を言われている気がしました。
ええ、息子は加害者になりましたとも。
すべて親の私の責任なんですね。
級持て詫びましょうとも。

 

「あなたの子どもを加害者にしないために」

中尾先生へ!

アマゾンで中古ですが先生の本をgetできました。嬉しいです!
親子3代でゆっくりじっくり読ませていただきます。

 

お膳立て症候群

こんにちは。お膳立て症候群を読んで、やってるなーと思うことがあります。夫はある行事に(二時間ぐらいの知らないところ)、息子と合流することになりました。すると、友達様々な国籍の人を連れてくる息子が、場所が分からなくて右往左往している間に事故でもやっちゃうと大変だからと夜中に待ち合わせの場所を教えに行きました。私は、はあ?と思いながらも何も言えませんでした。これって、まさにお膳立てをし、息子からエネルギーを得て自分の存在を得ているように私は感じます。父親が教えてやらなければ知らないところに待ち合わせもできないおまえだよと、息子に言っているようにも思えます。息子は海外に独りで行った時私や家族の支配がなくて清々していたようです。先生、皆さんどう思いますか。

 

フィンランドに学べ

『4年間で7人の生徒が中高一環の国立・私立中学校から戻ってきました』-そうなんですか。少なくない数ですね…。

虐待が常態化している家庭の子どもは、「虐待」ということを教えてもらうまで、自分が虐待されているとは思っていません。それほどに、自分の家庭のことは相対化できないものです。

追いつめられた子どもは、破壊以外に自分の救う道を見いだし得なくなってしまいます。

根っこには、教育相談員さんがブログで書かれていたように、教育現場の競争主義があります。フィンランドに学べと言いたいですね。

 

リセットではなく、やりなおしを

私の勤める公立中学校の話です。4年間で7人の生徒が中高一環の国立・私立中学校から戻ってきました。
人生に「リセット」はありません。あるとすれば、失敗をバネに「やりなおす」ことです。7人の子どもたちは、それぞれのやり直した人生を生きています。そんなやりかたもあると、考えられなかったのでしょうか。無理だったんでしょうね

 

「蛙の子は蛙」が悪い方に出た…かなぁ

『出来は悪いけど、うちの子はやっぱりかわいい、気立てもいいし・・なんて、そこそこ平和にやっていくんだと思います』-この辺の感覚いいですねぇ。大好きです。こういう感じ。

仰るとおり、「蛙の子は蛙」と謙遜の気持ちがあればいいのですが、「医者の子は医者」と傲慢な気持ちで使われると、子は救われません。

そして、『父親が圧倒的なパワー』+『運の悪いことに、素直で優しくがんばるいい子だったから、ここまで来てしまった』―ほんと、その通りだと思います。

せめて、母親がこの少年の気持ちを聴くことをしていれば…。人は気持ちを受け止めてもらえるだけで力が湧きますから、このような事件には至らなかったでしょう。

 

両親が子どもをせかす価値観で共闘するとコワイ

ひでぼんさんこんばんは。
仰るとおり、実の母親ではなかったことも影響していると思います。

ただ、実の親子ではなくても愛情深い関係を結んでいる人も知っていますし、実の親子であっても両親鉄アレイ殺害事件のようになってしまうこともあります。

親二人が、どのような価値観を持って子どもに対しているのかが大きいと思います。

その点、両親どちらにも逃げ込むことのできるひでぼん家は、お子さんにとって、とってもいい環境だと思いますよ(^^)。

 

本当につらい事件

こんにちは。
子どもを育てるむずかしさ、落とし穴のようなものを感じます。
こんなむごい最期をとげた母親、次男、長女も言葉に表せないくらい気の毒だし、加害者になってしまった長男も、実情を知ればある意味被害者だし、父親にしてみれば、これ以上のつらい事なんて、人生にそうありませんよね。
親が子どもに期待する、子どもの将来に夢を抱くのは、多かれ少なかれあるし(親ばか)、子どもが期待通りいかないと、正直がっかりしたりします。でも、多くの親は、自分もそれほど立派じゃないし、やっぱり蛙の子は蛙よね・・って現実を受け入れていったり、出来は悪いけど、うちの子はやっぱりかわいい、気立てもいいし・・なんて、そこそこ平和にやっていくんだと思います。
この父親も、子どもがかわいいからこそ、子どものためと信じて叱咤激励してたのだろうし、運の悪いことに、素直で優しくがんばるいい子だったから、ここまで来てしまったのでしょうね。
普通なら、もういやだ!と反抗したり、非行に走ったり、家出したりするのに、父親が圧倒的なパワーで押さえつけてたんだろうなあ。
本当にかわいそうです。
子どもは親の欲望を満足させるために存在しているのではない、私も胆に銘じておきます。

 

自分の母親じゃないって

こんにちは
この事件 真相が少しづつ解明されてきている様子ですね
私がふと思ったこと
少し古い考えかもしれないのですが
加害者の少年の母親が自分を産んでくれた母親じゃないってことです
父親は10年前に離婚、そして再婚 少年は父親に責められ、受け止めてくれて欲しい母親が自分の母親ではないことにも、自分の兄弟じゃないってことも重圧だったのかもしれないのかな?
私の小さな息子だって、妻に叱られれば私の所へ飛び込んできます。
逆もあります。どれだけ出来た親かどうか知りませんが、父親の責任は重大かもしれませんね、もう取り返しはつきませんが

 

manhoodさんも、格闘されましたねぇ。『30代半ばになって、それが大きな心の腫瘍のような感じとして初めて認識』できてよかったですね。以前言われていた自分と向き合うための「止まる勇気」の時期ですね。

親を憎みっぱなしだと「心の腫瘍」は大きくなっていたでしょう。親を憎むことは、親から受け継いだものを持つ自分を憎むことですから。

それに、右脳には「人称」がありませんので、相手を憎んでいても、その憎しみの思いや言葉を自分へのものとしても受け止めます。
ですから、「人を呪わば穴二つ」になってしまうのです。

見事ガンを駆逐されおめでとうございます♪

そして、それができたのも、仰るとおり『その同じ親がいたから』です。こういう境地に立てると幸せですね。

自己実現は、人を通してするものではありません。それをしようとすると人を道具にしてしまうことになり、人を道具にする人は大体天罰が来ます。

人間死ぬまで成長し続けます。発達課題は死ぬまであるのです。だから、必要以上に『親のために頑張る』と、親が依存してしまい、それによって親の成長を妨げることになっているかもしれません。

『サッカーも負けても、ビール飲みながら騒がせてもらったし、良かったね、という感じ』がベストだと思いますよ(^^)。

 

重いものに問いかけましょう

JTさん、ほんとそうですね。グータラしつつ、あるいはワイワイ騒ぎつつW杯を見る。それがあるべき家庭の姿です。家で気兼ねなく自分に戻れるからこそ、また元気になれるんです。この少年が不憫になります。


ところで…
重いものが乗っかったままじゃつらいですねぇ。その重いものは、身体のどの辺にあるのでしょう。そして、どのくらいの重さで、どんな形でどんな色をしているのでしょう。
なんとなくイメージができたら、それをよっこらしょと取り出して自分の前に置き、何が言いたいの?と聞いてみるといいですね。
言葉にならなくとも、何かを訴えかけて、何か感じるものがあるはずです。
それをじっくりと感じて、「ちゃんと感じたよ」「受け止めたよ」と言ってあげてください。
言葉になるなら書き留めておくのもいいでしょうね。

こちらがきちんと受け止めたことが分かれば、満足していなくなるはずです。

 

子供を通じて自己実現をしようとする親がいるというのも、このような事件の原因の一部ではと考えてしまいます。親の社会的経済的な意味での自己実現の他に、立派な親としての自己実現。一見子供のためのような教育や育児のように見えて、実は立派な親であることを証明したいという親の欲求(又は立派な親でなくてはならないという義務感)が歪んだ型で影響しているように感じます。

私自身の子供期から青年期を振り返ってみた時期があったのですが、親の自己実現のために頑張った部分と、親ではなくて自分自身の自己実現のために頑張った部分がありました。やはり、子供として親のために頑張りたいという気持ちはあると思いますし、そういう部分が多少あっていいのではと思っています。

ただ、私個人の場合は、親の自己実現の欲求を満たすために頑張り過ぎた部分が幾つかあり、その部分が心の大きな荷物になっていたようで、人生の中で時々自分にふりかかってきました。特に30代半ばになって、それが大きな心の腫瘍のような感じとして初めて認識できました。その時期には、かなり周りの人に嫌な思いをさせたと思いますし、呑み友達にも付き合ってもらいました。そういう関係の本を読んだり、テレビ番組も見たりもしました。一人で考える時間もかなりありました。その時期は、親を憎んだ時期でもありました。人生で一番苦しい時期でもあり、また勇気のいる時期でもあったように思います。

その反面、当たり散らすような自分に付き合ってくれた人もいたし、呑んで話を聞いてくれる友達もいたし、本を読んで考えることもできたし、そういうことができる環境に自分がいるというのも、またその同じ親がいたからだということを考えるようになりました。長いそういう時間を経て(経済的生産性は低く、内面的生産性は高かった時期)、そういことを後になって色々と親と話したときに、自分という人間が人として次の段階に進んでいったような気がしています。もちろん、こんなことはあたりまえのようにできる家庭もあるのでしょうが、私(又は私の家庭)にとっては大仕事でした。

私個人としては、親のために頑張る部分と自分のために頑張る部分が両方あっていいと思っています。ただ、その割合が限度を越すと、個人的にも社会的にも物事が思わしくないほうに進んでいくのではと感じています。

似たような意味では、サッカーも負けても、ビール飲みながら騒がせてもらったし、良かったね、という感じでいいのでしょうか。サッカーファンには、すみませんが。。。

 

あまりに悲しい

ワールドカップの試合が見たくて、他人の家に侵入し寝てしまったというニュースを聞いて、この子はごく普通の生活が送りたかったのだろうと思いました。学校に元気に通うだけで、いや元気に毎日生きているだけで、何の不満が親にあったのでしょう。あまりに悲しくて、今朝から心に重いものが乗っかった状態です。

 
    
 
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