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ジョン・ナッシュ~マインドとハート

2015/05/27(Wed) Category : 人物
天才数学者ジョン・ナッシュ氏(86歳)が、5/23、ノルウェー政府が数学の研究実績を評価するために設けた「アーベル賞」の授賞式の帰国後、タクシー同乗中に交通事故で奥様と共に亡くなりました。ご冥福をお祈りします。

彼をモデルにした映画「ビューティフル・マインド」は当ブログでも取り上げましたが、とても感動しました。
ビューティフルマインド


◆ゲーム理論とナッシュ均衡---------------------

ナッシュは、21歳のとき「『非協力』ゲーム理論」を確立し、1950年にわずか2ページの論文にまとめたそうです。日本におけるゲーム理論の草分け鈴木光男氏が、進駐軍の図書館でその論文を発見し、経済学と結びつく可能性があると直感してすぐさまノートに書き写したそうです。
http://sprocket.eek.jp/special/abm.htm

ゲーム理論は「個人の行動」ではなく「複数の人の行動」を考える枠組み。一人の時はそれが最適行動と思えても、相手がいた場合はそれが最適ではなくなることを明らかにし、個々人が経済合理的に行動すれば社会は自然に良くなっていくという経済学の神話を破壊しました。

ゲーム理論は、次のように条件設定しています。
1.自らの行動に対して相手がいる。
2.その相手の出方を考慮した上で、自らの行動を決定する。
3.自分の行動と相手の行動により1つの結果が生じる。
http://gametheory.jp/page.php?id=15

そして、これを数学的に分析するために利得表なるものを用いています。
参加者(たとえばプレイヤーA,B)がいて、参加者がどういう行動を取るか(戦略)、その結果それぞれの参加者にどういう損得があるのか。

たとえば、2人で行うゲームと言えば囲碁・将棋がありますが、上の条件に合致していますね。
序盤戦でプレイヤーは、互いに定石と呼ばれる一定の手順で打っていくそうです。その間はどちらかが有利な状況にはなっておらず「五分の分かれ」になっていますが、一段落するまでは定石通りに手を進めます。

なぜそうするかというと、相手が定石通りに打っている場合、こちらが定石を外れて打っても有利にならないからです。ですから、一段落するまでは定石を打つ以外に手がないのです。

ナッシュは、この相手がいるが故の均衡状態があることを見出し、このように「自分だけ行動を変えても得をしない状態」のことをナッシュ均衡と呼び、ノーベル経済学賞を受賞しました。
http://www.bk-web.jp/2012/0101/bkseminar.php

これは、次のステップを踏む結果訪れた均衡です。
1.自分の行動に対して相手が反応するので、
2.自分と相手の行動の結果がどのようになるかを考え、
3.最も良い結果になるように自分の行動を取る。

そのように考えるわけですが、「相手の戦略を所与とした場合、自分の戦略を変更することによってより高い利得を得ることができない状態」になっているときナッシュ均衡になっているわけです。

そして、『感情や直感ではなく「こうするのが相手にとっては一番良い。だからこうしてくるだろう。」と相手の立場になって合理的に考えていく。これを、細かく行なっていくことで、ゲーム理論の様々なモデルができあがっている』そうです。つまり、「思考」の領域については有効ということなのでしょう。
http://gametheory.jp/page.php?id=17



◆囚人のジレンマ------------------------------------

けれど、現実の人の行動はそうではないという観察実験の報告がなされます。その説明として「囚人のジレンマ」のストーリーが作られたそうですが、それは次のような設定です。

A.2人とも黙秘したら、2人とも懲役2年。
B.1人だけ自白したら、自白した方は釈放、しなかった方は懲役10年。
C.2人とも自白したら、2人とも懲役5年。

パッと見、まずAとCを比べて「2人とも黙秘」に向かいますが、Bの条件を見て相手が裏切ることを想像した場合、自分だけ黙秘してたら懲役10年という最悪の結果を招くことになります。そのリスクを避けるためには自白を選ぶでしょう。その場合、最悪でも5年、相手が黙秘していれば即釈放という可能性もあるわけです。だから、2人ともA(黙秘)がいいのはわかっているのに、自白を選んでしまうというのがジレンマということのようです。

これを、利得表に行為とその結果をプロットして「合理的に」考えれば、相手がどういう行動を取ろうとも、自分は「自白」という選択をすることになる―つまり、リスクを避けるためではなく、「合理的に」判断した結果自白になるよということを言いたいようです。
(けれど、設定自体に非合理を感じてしまいますので、利得表で合理的に説明されても、どうもしっくりきません)



◆本当の合理性とは-------------------------------------

ただ、相手がどういう行為に出ようとも自分はこの選択をしなければ重大なことになる―という状況は当のナッシュにありましたね。それは冒頭で紹介した過去記事に書いてますが、ナッシュが赤ちゃんをお風呂に入れようとしたときのことです。

登場人物はナッシュ(A)と幻覚の親友(B)。
幻覚であってもナッシュにとっては「実在」ですから、『1.自らの行動に対して相手がいる』は満たします。

そのBが、「赤ちゃんを世話するから、他の仕事をどうぞ」と言ったので、Bの申し出を受けて、ナッシュはBに赤ちゃんを預けました。『2.その相手の出方を考慮した上で、自らの行動を決定する』ことをしたわけです。赤ちゃんの世話もできて他の仕事もできるという一見「合理的」な選択をしたわけですね。

しかし、実際はBはいないわけですから、赤ちゃんは浴槽の中でおぼれかけました。つまり、『3.自分の行動と相手の行動により1つの結果が生じる』―もし、タイミングよく奥さんが帰ってこなければ、赤ちゃんがおぼれ死んでいたという結果になっていたわけです。

(Bは幻覚だからわかりにくいという方は、いきなり友人が家にやってきて赤ちゃんを風呂に入れてあげると申し出、その後、その友人のミスで赤ちゃんが怪我をしたなり、その友人が赤ちゃんを連れ去ったなり・・・と考えてみてもいいかもしれません)

ここで、何より問われなければならないのはナッシュの判断でしょう。いくらBが親友だからと言って、よほどの事情がなければ赤ちゃんを預けるという選択はないでしょう。お風呂は、我が子と触れ合い、信頼関係を築いていけるとても貴重な時間です。生涯家族問題という負債を背負うのか、家族になんの憂いもなく豊かな人生を過ごしていけるのか―その分かれ道は、このささやかな日々の行為の選択の積み重ねの中にあります。

この局面では、Bがどういう申し出をしてこようとも、ナッシュは赤ちゃんと共に過ごす―それが、長い人生を考えた上でとるべき選択であり、それが本当の合理性だと思います。



◆ナッシュの内的ナッシュ均衡---------------------------------

先に「思考については有効なのでしょう」と書きましたが、その思考の深さによって合理性のレベルは様々にあるのだと思います。そして、ある段階の合理性が、違う段階では全く不合理ということもあるでしょう。また、ある一面から見ると合理的に見えて、違う側面から見ると全く非合理ということもあるでしょう。

(宇宙人から見れば、地球を破壊している地球人の経済合理性は、全く非合理に見えるでしょう)

ナッシュは、親友の申し出に従ったという合理的選択を猛省しました。それは、幻覚を信じたことに対する猛省なのか、赤ちゃんを自分が面倒見なかったことに対する猛省なのかわかりませんが、ともあれ彼は、これまで耳を貸してきた架空の人物達を徹底して無視することを決意します。

これをゲーム理論で言えば、「1.自分の行動に対して相手(幻覚)が反応する」が、「2.自分と相手の行動の結果がどのようになるか→悪い結果にしかならないことを思い知った」ので、「3.最も良い結果になるように自分の行動を取る」=無視を貫いた―ということになります。

そして、この状態は「相手の戦略を所与とした場合、自分の戦略を変更することによってより高い利得を得ることができない状態」=「幻覚は必ず何かを言ってくるが、その幻覚に対応することによるメリットは何もない状態」になっていますのでナッシュ均衡といえるでしょう。

ナッシュは、自分の内的世界で身をもってナッシュ均衡を続けていたわけです。
その結果、その人物たちはナッシュに話しかけることをあきらめ、遠くから見るだけになっていきました。



◆IP対処法として有効なナッシュの幻覚対処法-------------------

実は、このナッシュの幻覚幻聴対処法は、「IP対処法」としてとても有効です。
というのも、ナッシュが何かする度に幻覚や幻聴が登場したように、相談者の方々も何かしようとする度にIP(思考)があれこれ言ってくるわけで、まぁ両方とも脳がやらかしていることですからそっくりなわけです。

だから、対処法も同じ―無視です。

ナッシュの幻覚と同じく、IP(思考)も律儀に逐一やってきます。
たとえば、「散歩したいな」と思った瞬間に、「そんなことしてる暇あるのか」「先にやるべきことがあるだろう」「時間の無駄」「その時間があったら、これをしておかなければ後悔するぞ」・・・等々、脳が一見合理的そうなことをゴチャゴチャ言ってくるわけです。その内、面倒くさくなっていつの間にか散歩は取りやめになっています。やめたからと言って何かをするわけではなく、結果は「本人が自分の気持ちで行動することを阻止した」だけのこと―つまり、IP(脳内母親)の勝利です。

まず、自分が何かしたいと思ったときに、それを否定する思考がわんさか出てきたら、「IPの妨害」が入っていると認識すること。
次に、出てくる思考を一通り声に出して言ってみること―「・・・と、脳内親は言ってるんだね~」という感じで、自分の思考を客観化するといいでしょう。これによって、自分が自分をどう欺そうとするのか、妨害の仕方がわかってきます。
その内、めんどくさい気分、頭や体が重たい感じ、頭痛や眠気まで動員して妨害してくることもあります。妨害が強ければ強いほど、そのやろうとしていることは自律に向かうことなのでしょう。

IPとつきあってあげた後は、初心を思い出しましょう―「そういえば、散歩に行きたいんだった」―そして、ともかく一歩外に出て歩き始めてみる。すると、歩いているうちに、どんどん体が軽くなっていくでしょう。

こうして自分の気持ちのままに行動することを重ねていくことが、自分と「小さいちゃん(IC)」の信頼関係を築いていくことになり、背骨を形成していくことになります。


慣れてきたら、IPはどんどん無視していきましょう。
自分が律儀にIPの言うことに耳を貸し、その通りに動こうとするからIPもせっせと出てくるわけで、ナッシュのように無視し続ければ、だんだん出てこなくなってくるでしょう。




◆統合失調症---------------------------------------

ナッシュは、自分が統合失調症になったことを『「超論理」平面にばかり暮らし、ほとんどの人間にとっては「珍しすぎる空気を呼吸」していたからだ』と述べたそうです。

赤ちゃん(外在化したインナーチャイルド)を疎かにした事件が物語っているように、ナッシュは感情の伴わない思考の世界を生きていたのでしょう。あのときナッシュは、「感情」を抹殺するところだったのです。

極端な思考(IP)偏重人間だったナッシュが見た幻覚は、つくづくIPそっくりだなぁと思います。IPも本人をコントロールし続けるために、本人が気持ちで動かないように仕向けたり、感情を抹殺しようとしたりしますからね。
このように感情の世界に全く棲まなかったことが、『「超論理」平面にばかり暮らし』ということなのでしょう。

強いIPにがんじがらめに縛られた人=理屈で感情を封印された人の中では、「心のコップ」の中に行き場のない感情がギュウギュウに詰め込まれていきます。本人が自分の感情の受け止め手ではないので感情の出ようがないのですが、「外」に受け止め手が出てきたときに、封印されていた感情たちが爆発的に出てこようとします。このときに、統合失調症が発症する可能性があります。

感情を持たないロボットとして生まれてくる人間はいません。生まれたときは、全身感情表現のみです。けれどその人の生育環境によって、100%感情表現だった赤ちゃんが、いつしかナッシュのように100%思考空間に棲むようになります。しかし、感情自体がゼロになるわけではなく、かつ現在進行形で生まれ続けていますから、死火山のように見える活火山として生きているわけです。

その噴火の引き金を引いたのは、アリシアとの結婚、そして妊娠だったようです。アリシアという気持ちの受け止め手が現れたこと、その後妊娠によって再び感情の受け止め手がいなくなるという危機を感じたことが、統合失調症を発症させたのかもしれません。



◆マインドとハート---------------------------------------

ナッシュは、感情を排したゲーム理論を打ち立てることができました。それは「超論理」平面にばかり暮らしていたからでしょう。思考(IP)の世界はゲーム(虚構)ですからね。

一方で、40代で若年性痴呆に陥った理系技術者のことを思い出します。ずいぶん昔にNHKの番組で見ましたが、左脳偏重でほとんど右脳を使わなかったが故の痴呆でした。


5/26の東京新聞は、「筆洗」でナッシュのことを書いていました。

『若いときは冷淡とも言われたが、「すてきな人間」になったと、アリシアさんが生前、言っていた。「マインド」を回復させ、良き「ハート」も培ったか。』(マインドは論理的な心の働き、ハートは感情的な心の働き)

ナッシュを演じたラッセル・クロウは、「お二人のビューティフル・マインドとビューティフル・ハートを悼む」と追悼したそうです。

マインドとハートのバランスがとれたこれからが、本領発揮の時だったかもしれません。






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>まず、自分が何かしたいと思ったときに、それを否定する思考がわんさか出てきたら、「IPの妨害」と認識すること。

前日から「どこかへ出かけたい」と思っていました。

目的地に決めた川越は、行ってみたいスピリチュアル・カフェなるものがあるところで、「今日行きたいけれど、スピリチュアル・カフェでセッションを受けたかったら予約が必要だし、何回も訪れるほど余裕があるわけじゃないし、予約の電話の受付は11時からであと2時間以上もあるし・・・etc

すぐにでも出かけたい気持ちが下から突き上げるけど、腰が上がらず、悶々としていました。

と、なんとなくこの記事が目に入り、「行かなくちゃ」と、出かけることにしました。

初めての川越・菓子屋横丁は、新緑の間を涼風が吹き抜けて、冷やし抹茶が美味しかったです( *´艸`)

 
    
 
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