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笑い合っていられるように 重ね紡いでいく

2015/08/19(Wed) Category : 二世帯同居・介護
母が右足を骨折した。
父の不注意ですねの部分にひびが入ったのだが、全治3ヶ月。1ヶ月は安静にするように言われた。

なんとも言えない気持ちがあった。
いろいろな気持ちが湧いた・・・



同居して1年―
意識がしっかりし、押し車を押しながら時折散歩もした。
しかし、その距離はどんどん短くなっていった。

やがて散歩がなくなり、週3日のデイサービスと近くの歯医者に通うことが、少ない外出の機会となった。

そのデイサービスさえも時折サボり病が出る。
お風呂やリハビリが気持ちいいので、それが行く動因だった。
にもかかわらず、行かない日は「あぁよかった」とホッとしている。



何しろ、母もまた母親以外とつながらない「母親一神教」だし、
その脚本は「なにもせずにそこにいろ」なのだ。

若い頃は、そう見えなかったけれど、年が行くにつれて「あぁそうだったんだなぁ」と、ハッキリしてくる。

私がこの1年闘っていた相手は、
寝たきりになろうとする母の無意識だった。

こちらの意気に感じて母も奮起することがあったが、ともすれば横になりたがり、デイサービスに行かない日は、ほとんど寝ているようになった。

塗り絵、Wii、ジグソーパズル・・・一時楽しんでも、意欲が続かない。それに・・・父が手を出してしまう(まぁ、父は母の手なので)。

学校みたいに友人ができるといいかも、と思い、週3日のデイサービスの内1日をお遊戯をやっている園に変えてトライしてみたが、1ヶ月で嫌だとギブアップした。賑やかで楽しいのは母の脚本に反するからなぁ・・・



妹夫婦がシーズンに一度両親を旅行に連れ出してくれる。行きたくないと言いつつ行動しなければならないので、カンフルのように少し歩けるようになるが、瞬く間に戻った。

歩き方はどんどん変化した。
左足が弱いのはあったが、太ももは全く上がらなくなっていった。
指導すればできるのだが、すぐにできない状態に戻ろうとする。

杖の突き方も、私もデイサービスでも教えているが、癖は直らない。すべからく、体に任せればできることを、脳が介入してできなくさせていることがわかる。



ジレンマは父の存在だった。一緒に散歩したり、家の中でも押し車で歩行訓練したり―せっかくそういう環境があるのだからしてほしいのだが、「ばぁさんが行かんと言う」か、やるときは強引に引っ張って返って危険なことになった。父にとってはどんな時であれ「自分」の見せ場なのだ。

そう言えば父は、姪っ子が幼児の時に世話をして、もう亡くなったその方は父を代理親として慕っていたようだ。だから自分が世話を焼ける「何もできない相手」がほしいのである。つまり、「なにもせずにそこにいる」という母とはベストカップルなのだ。

ただ世話をすると言っても自ら気を利かして行うのではなく、母の言うことをただ忠実に手足となって行動するだけ。この在り方を見ていて、以前母が3回骨折した時に思ったことは違ってたなぁとわかった。

あのときは、家の中のことで母が手を出し、結果、父が何もせずに物忘れが激しくなる―そのような関係性に対する警告と感じていた。
けれど、日常を眺めていてわかったことは、母は母で寝たきりというゴールに向かうために勝手にアクシデントを起こしているし、父は父で“探す”という時間を作るため(時間つぶしのため)、および人を自分に関わらせるため、ある意味わざとモノを無くしていた。

つまり母は脚本成就のための骨折であり、父はストロークを得る仕掛けとしての物忘れであり、個別バラバラ自分のため―そこには“夫婦の関係性”というものはなかった。



関係性はないのだが、二人の無意識がかみ合っていることは感じる。今回の骨折もありえない状況なのだが、母の「やれ」という無意識に応じて父がアクシデントを起こしたのだろうと思う。

というのも、先月四国旅行に行った4日間、母はデイサービスを父に断らせてほぼ寝っぱなしだったようだ。この年になると、1日動かないだけで目に見えるように筋力が落ちる。私たちが帰ってきたときは、足腰が立たないヨボヨボ状態になっていて驚いた。

それが再び歩けるようになってきていたのだ。
そこへ来ての骨折だから・・・ね。

力も抜けた。



母もどこか苦しいだろうとは思っていた。
頑張るつもりの表層意識とそうはさせまいとする無意識―

結局、歩けなくなるためにはアクシデントでなければならなかったので、その役を父が仰せつかったのだろう。

・・・親の愛を知らない二人の子供が、ここにいる。
家の中では下男のように扱われた父と
両親を「じいちゃん、ばあちゃん」としか呼んだことがない母。

その背後には「産めよ増やせよ」があり、
命を道具にした戦争があった。

私が戦争を憎むのは、このような悲しい存在を作ってしまうからだ。
両親の“仇”だったのかもしれない。



この1年、ある意味私は母(+父の連合軍)と闘ってきた。
母と父もまぁ、よく相手をしてくれた・・・

その時期も、一段落したようだ。



再び新たなフェーズに入る。
せっかく要介護度2まで改善してきたのに、現状は一人では起き上がることさえできな状態だ。トイレも私がベッドから抱きかかえて押し車に乗せ、移動し、抱きかかえて便座に下ろし・・・という状態。

朝昼晩のオムツ換えは、妻と二人。よく気がついてくれる妻がいてありがたい。二人三脚でなければできない。

問題はお風呂。ケアマネさんに相談すると、すぐに訪問入浴のサービスをする事業者につないでくれ、毎週金曜日16:00から在宅入浴を始めることになった。看護師さんも付いてくれるので安心。

今時は凄いね。風呂桶をリビングで組み立て、ボイラー付きの車で湯を沸かして、寝たきりの人を洗ってくれるんだから。車が駐車できなければ、自宅の浴槽や湯の蛇口からパイプで汲み入れる。

風呂は2つに分割できるので、マンションなどにも搬入できる。1日で8軒ほど回ることもあるという。いやはやそんなにニーズがあったとは。

親を介護してつくづく感じるが、この連携の速やかさ、そしてサービスの素晴らしさ―日本に生まれて本当によかったとつくづく感じる。



ともあれここからは気持ちを入れ替えよう。
悲しみはあるけれど、二人の脚本や不安と闘うのはやめ。

これからも変化に応じた対応を続けていくことだろう。
二人とも相変わらず仕掛けてくるだろうけど、
そういう中で、笑い合える日をもっと多くしていきたいと思う。







私は、女性が舞うのを見るのが好きだ。
妻が、軽やかにくるくると舞うのを見た―それもきっかけだったかもしれない。

その後ろには、「なにもせずにそこにいろ」に対する反発があったのかもしれない。母にも舞ってほしかったのかもしれない。


下のPVを何度も見ていた。
女性が溌剌と舞える世界を守るために、それを脅かそうとするものと男は闘う。

男が闘う理由はそこだけだと思う。
お金や資源のためではない。




【和楽器バンド「暁ノ糸」】



笑い合っていられるように
重ね 紡いでいく






なぜか、涙が出てくる・・・・








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このところ、同じことの繰り返しの毎日がどうしようもなく面倒臭く、そんな怠惰な自分に辟易していました。
死ぬときには、この面倒臭さから解放されて、ホッとするんじゃないかと思うくらい、気持ちが膨らんでました。
この気持ちはどこからくるんだろう、と、思いを置いたまま過ごしていました。
そんな時に目にした、「寝たきりになろうとする意識」という言葉に、稲妻が走りました。これだ!と…。
わたしの脚本も、「なにもせずにそこにいろ」のようです。
小さい頃から、母の不安を解消するための道具として、なにもしない、できないということを実行してきました。
いま、母との関係性から離れ、自分がしたいことへ舵を切ろうとしている時期です。
脚本ちゃんが、必死になって、私をなかったことにしないで…!と叫んでいるのかもしれません。

 

ありがとうございます。

中尾先生
書いて下さってありがとうございます。

 
    
 
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